デンプシー大将が対イスラム国戦争の展望を述べる

2015.5.23


 military.comによると、米軍の統合参謀本部議長マーティン・デンプシー大将(Gen. Martin Dempsey)がイラク軍はラマディ(Ramadi)から追い出されてはいないと言いました。

 デンプシー大将は水曜日、ブリュッセルへの途中、イラク軍司令官は先週末、イスラム国戦闘員が防衛線を破り、街中に溢れたため、ラマディから撤退する戦術的な決断をしたと言いました。

 イスラム国が攻撃した時にこの地域に砂嵐が報告されましたが、中央軍広報官、パトリック・ライダー大佐(Col. Patrick Ryder)は「弱い塵ともや」で、同盟国の航空作戦に影響は全くなかったと説明しました。

 「イラク軍はラマディから追い出されていません」とデンプシー大将は主張しました。「彼らはラマディを出たのです」。彼はイラク人指揮官は「より防衛できる位置と見た場所へ移動するという一方的な決定にみえるものをなしたのです」と言いました。彼はラマディ市内のイラク軍は、その他の政府軍よりも十分に支援されなかったと言いました。同時に、アメリカがイスラム国との戦いに参加することを望むアンバル州のスンニ派部族はまだシーア派が支配する政府と同盟していないと、大将は言いました。

 スンニ派部族指導者はイラク政府が過激派と戦うための武器と装備を十分に与えなかったと不満を述べました。アメリカはイラク人にスンニ派を武装させるように訴えてきましたが、政府内のシーア派はスンニ派戦闘員がイスラム国に武器を渡したり、シーア派に反攻することを恐れ、この動きに反対します。

 米議会の一部議員はオバマ政権にスンニ派とクルド人に直接武器を提供するよう主張しています。この提案はシーア派の有力な政治家から攻撃の的となってきました。

 デンプシー大将は昨年の作戦開始以来、イスラム国を打倒するには何年もかかると考えてきたと言いました。大将はイラクでイスラム国を弱体化するか破壊するには少なくとも3年間かかると思っていたと言いました。彼は水曜日に、この努力はさらに長くなることもあると示唆しました。「最初、私は3年間だと言いました」「それは依然として本当かも知れません。我々は3年間で目的を達成できるかも知れません。しかしその後に私は言い、さらにいま、戦術的なやり取りがあるかも知れない……イラク軍と共に行くもの、イスラム国と共に行くものがあると、私は繰り返して言います。しかし、同盟国は時間をかけてあらゆる戦略的な優位を持っています」。


 記事は一部を紹介しました。

 デンプシー大将の発言で分かるのは、ラマディにはもともと十分なイラク軍部隊はおらず、イスラム国が防衛線を突破する可能性は折り込み済みだったということです。万一の場合、ハバニヤの空軍基地まで撤退することは打ち合わせ済みのはずです。

 3年間という数字は暫定的にあげられることが多いので、あまり気にしなくても構いません。イスラム国との戦争がいつ終わるかは分からないのです。

 記事中で気になるのは、イラク政府がスンニ派に武器を渡したがらないということです。部族紛争を解決しないとイラクに未来はなく、分裂の危機は常に存在します。もともと中東の国境は欧米諸国が決めたもので、本来存在した部族関係に基づいていません。紛争が多いのはその為でもあります。イスラム国はその不満を利用して勢力を拡大しました。こういう複雑な勢力関係は簡単には解決しません。それを前提に戦略を考えていく必要があります。

 


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