米海軍が海自の中古ヘリコプターを購入

2015.5.29


 アメリカから最新型の航空機を買うことに熱中する日本ですが、米海軍は日本から中古ヘリコプターを買うとmilitary.comが報じました。一体なぜでしょう?。

 米海軍は退役した日本の軍用ヘリコプター2機と追加の中古部品を購入し、5年間以上行った国際取引を完了しました。MH-53E「シードラゴン」の古い飛行隊を維持するため、部品をとるために航空機を集める計画です。

 海軍広報官は獲得金額を言いませんが、約67,000ドルを支払い、大幅値引きで中古ヘリコプターと部品を買ったようです。シードラゴン1機は約6,000万ドルです。「これは両国のハードワークと強調の結果です」と海軍航空システム司令部広報官、ケリー・バーディック(Kelly Burdick)は言いました。

 10年前に退役するよう決められた海軍のシードラゴンは、交換部品の不足、軍が飛行隊全体に潜在的に危険な燃料経路と配線の調査と修理を命令した後、今年頂点に達した問題に長らく悩まされています。そうした修理を行うのに必要な部品の一部は入手できず、もはや製造元が生産せず、二重に手間のかかる選択肢を残します。部品を造るかサプライヤーにカスタムオーダーを出すことです。その結果、ノーフォーク海軍基地に拠点を置くシードラゴンの大半は地上に置かれたままです。

 それらのヘリコプターの部品の一部は取り外されて、韓国とバーレーンに前進配備された7機の修理をするため海外へ送られました。

 日本の中古ヘリコプターを獲得する努力は数年間現状を遡りますが、「疑いなくこれらの部品は飛行隊を助けています」とバーディックは言いました。

 他国から中古の軍用品を探すことは、疑いなく世界最大の国防消費者である米軍にとって珍しいことですが、前例があります。2011年、アメリカはイギリスから退役したハリアー(Harrier)を多数獲得しました。しかし、大抵はアメリカは中古部品を他国に輸出します。

 取引は5月13日に完了しました。獲得に含まれるのはヘリコプター掃海任務を行うために必要な部品で、機体2機、エンジン12個、牽引ブームとランプ・ボックスのセット2組です。

 「The Pilot」紙は提案された取引を詳述する内部の電子メールを手に入れた後、昨年日本の中古ヘリコプターを買うための交渉を最初に報じました。その時、米海軍と日本防衛当局はコメントを拒否しました。

 バーディックは水曜日、相互安全保障上の必要に基づいて日本と最終的に合意したと言いました。日本は1980年代に米海軍のために掃海ヘリコプターを製造した時、シードラゴンを購入した唯一の外国でした。

 日本は予定された就役期間の終わりに近づいたシードラゴン11機を過去10年間で退役させ、よリ小型で効率的なイタリア製のMCH-101に置換することに決めました。ほぼ同じ頃、米海軍は唯一の掃海機シードラゴンを退役させる予定でした。しかし、より小型のヘリコプターに掃海装置を装備させる努力に失敗した後、高官たちはシードラゴンを2025年まで飛ばし続ける必要があると判断しました。アメリカが購入したシードラゴン40機以上の内、28機が就役中です。海軍は日本のシードラゴンをさらに購入する可能性を排除しないと言いました。


 興味深い記事なので全体を訳しました。

 日本では「旧式化した」という理由で退役に追い込まれ、新しい利権のために航空機を導入しようという動きが活発です。しかし、最強といわれる米軍は古い航空機を大事に使っているわけです。先日のネパール地震の救援にも旧式のUH-1が投入されました。

 MH-53の初飛行は1967年。その改良型のMH-53Eの初飛行は1974年です。兵器というものは、これくらい長期間使われることが珍しくありません。

 この取引が5年前から日本で行われていたのに、国内マスコミはまったく報じてきませんでした。実際、米軍の武器調達の記事を読むと、その事情は日本よりも複雑です。それが実際のところなのでしょうが、日本ではマスコミも政治家(野党政治家までもが!)も「旧式化した」との理由を繰り返し言い、まるでミリタリーマニアのように新しい武器を欲しがるのです。私はこうした日米の格差が以前から気になっていました。

 しかし、これを日米当局が隠したがったのは何故なのでしょう?。アメリカは武器輸出禁止の例外とされているはずで、これは関係ないような気がするのですが。

 


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