ラマディ奪還の前にファルージャ奪還へ

2015.7.11


 ようやくラマディ(Ramadi)奪還作戦が始動したようです。alarabiya.netによれば、イラクのスンニ派民兵はアンバル州(Anbar)で反撃の第一段階として、イスラム国戦闘員が占領するファルージャ(Falluja)で締め付けを行っています。

 当初、イラク政府は素早くラマディを奪還すると言いましたが、いまはファルージャに転じたようです。ファルージャ近くで戦うイラクの第1師団第4機甲連隊指揮官、アリ・アル・ヤシリ大佐(Colonel Ali al-Yasiri)は、ラマディを奪還する攻勢計画は6月に指揮官たちが、先に取り組まない限り、ファルージャはラマディの軍隊に向けた短剣だと結論づけたあとで棚上げされたと言いました。「ラマディを失って1週間後に我々の指揮官は我々にラマディを奪還する反撃を開始するために再編成を命じました」「この決定はすべての軍指揮官から支持を得られませんでした」。

 イラク政府が領域を奪還しようとして、アバディ首相はイラク軍よりも成功すると証明している主流のシーア派ハシド・シャービ(Hashid Shaabi)の民兵に依存しました。4月に民兵はティクリート(Tikrit)を奪還しました。しかし5月のラマディ陥落までに、イラク政府はシーア派戦闘員を。スンニ派部族が数代に渡って部外者と敵対してきたバグダッドの西へ配置することを躊躇しました。イラク軍はイラクが支援するグループを含めた民兵参加のグループによる追加の能力を活用しているようです。

 イラク軍は18ヶ月間、アンバル州でスンニ派武装勢力を取り込もうとして失敗したとして、ヤシリ大佐はハシビの関与を歓迎しました。アバディ首相とイラク軍は米主導の航空支援にも依存でき、米将校がファルージャから15km以内の軍基地に移動し、そこでスンニ派部族新兵の訓練を監督し始めてから、より緊密に調整をしています。ジェット機と大砲はファルージャとラマディ両方を攻撃しており、医療筋によると民兵と民間人に日々大きな犠牲を出しています。

 シーア派民兵は彼らが戦場で軍隊をリードすると言います。「市周辺の補給路のほぼ全部を占領した後、ハシド軍はファルージャ内部のダーイシュのテロリストに接近しています」と、イランが支援するバドル軍の指揮官ハディ・アル・アメリ(Hadi al-Ameri)の副官、ムエン・アル・カドヒミ(Muen al-Kadhimi)は言いました。

 シーア派戦闘員とイラク軍は今週、前進を止めるために自動車爆弾を送るイスラム国戦闘員の激しい抵抗にも関わらず、ファルージャの北で前進しました。権威筋は彼らがすでにファルージャ東部、南部、西部の接近路を支配すると言います。

 アンバル州の部族と武装勢力筋は、金曜日、ファルージャとラマディの間にある村でのイスラム国の攻撃を報告しました。「現在、我々はファルージャ中心部から5km足らずにおり、街の解放計画は完璧に進んでいます」とカドヒミは言いました。彼はラマディを奪還する前にファルージャを奪還する戦略を確認しました。「我々は先にラマディに行き、背部をさらしたままにできません。それがファルージャが優先目標である理由です」。

 ワシントンはラマディ奪還を急がないという計画を支持しました。


 記事は一部を紹介しました。

 非常に驚きました。こんなセンスのよい発想がイラク軍にあるとは、これまで考えたことがありませんでした。ファルージャを放置している理由がこれまで分かりませんでしたが、ラマディよりも先に奪還する方針に決まったとのことで、少し安心しています。

 これまで、ラマディの話ばかりで、ファルージャの話は一つも出ませんでした。常識的に考えたら、ラマディの先にファルージャを解放すべきなのです。話が出ないので、イラク軍で話題にならないのだと思っていました。こんなにすんなり方針を変えられるのなら、なぜ今までやらなかったのかという疑問もあります。

 これとは別にシーア派がイラク軍に代わって戦闘を主導する場合、現地の部族とのいざこざが起こりそうです。イスラム国を排除するだけでなく、現地の民兵まで排除しようとすれば新しい戦闘が起きることになります。

 米軍など同盟国が現地にいることが悲劇の防止柵になることを願うしかありません。イラクは最後まで部族問題が国の統一を妨げるのでしょう。

 


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