ロシアが世界の国々へシリア支援を要請

2015.9.12


 military.comによれば、金曜日にロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣(Foreign Minister Sergey Lavrov)は、イスラム国に対抗する最も効果的な軍だとして、世界の国々へシリア軍を武装するのを支援するよう要請しました。

 アメリカとNATOはバシャル・アサド大統領(President Bashar Assad)をシリア内戦の原因をみなしたときから、ロシアのシリアにおける軍事増強に懸念を表明してきました。

 一方、ロシアはイスラム国の民兵と戦うための国際的な努力の一環として、アサド政権への武器供給を模索してきました。

 ロシアのシリアにおける活動の増加は、イスラム国との戦いが西欧とのロシアのつながりを向上させるというウラジミール・プーチン大統領(President Vladimir Putin)の望みと同じく、長年の同盟が崩壊に瀕しているというモスクワの懸念を反映しています。

 ラブロフは金曜日にモスクワで、ロシア派アサドへの武器の提供を続け、他の国にシリア政府とその軍隊を助けるよう要請しました。「イスラム国は空爆だけでは打ち破れません」「地上軍と協力する必要がありますし、シリア軍はイスラム国と戦うための最も効果的な強力な地上軍です」とラブロフは言いました。

 ラブロフ大臣はシリアに武器を送ることでロシアはアサド政権を支えるのではなく、イスラム国を打ち破ることに貢献していると示唆しました。「私は、我々の隊員と軍事専門家達はロシア軍のハードウェアを保守し、ハードウェアの使用でシリア軍を補佐するためにそこにいると、もう一度言えるだけです」「そして、テロリズムと戦うことにおいて適切な戦闘の準備を確実にするために我々はシリア政府へそれを提供し続けます」。

 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領(President Petro Poroshenko)は金曜日、ロシア軍のシリアでの増強を非難しました。


 記事は一部を紹介しました。

 ロシアがシリア政府支援を公言するようになりました。これまでアサド政権が倒れなかったのは、彼らの支援のためかも知れません。

 自分の意志を正当化するための理由として「テロリズムとの戦い」を各国が用いるようになったのは、ジョージ・W・ブッシュ政権のせいです。「テロリズムとの戦い」は軍事専門家からは定義が不明だと批判され、アメリカが対テロ戦略を誤る原因となった言葉です。ゲリラ相手に正規軍の大軍を投入し、莫大な費用を投じて国の財政を危機に陥らせ、大勢の犠牲者を出し、テロ組織がより拡散するのを手助けしました。

 それだけでなく、テロリズムとの戦いと言いさえすれば、何でも正当化できるという考え方が全世界に広がり、アサド大統領は反政府派の弾圧にこの言葉を用いてきました。

 シリア政府を打倒する可能性はかなり低いということです。何か別の決着を考える必要があります。イスラム国とアルカイダがいる複雑な状況では、適当な決着などありそうにありません。こういう状況になってようやく、世界はシリア難民に目を向け始めたというのは、まったくの皮肉です。国益しか見ない国家戦略の所以でしょう。

 


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