ランド社の報告書が見る尖閣と沖縄

2015.9.24


 先日のランド社の報告書に日本に関係する記述があるかが気になり、調べてみました。(関連ページはこちら

 尖閣諸島という名称は南沙諸島シナリオの結論において一度だけ登場します(93ページ)。

 内容を簡単に紹介すると、台湾シナリオでは中国軍は数多くの空軍基地を使えるものの、南沙諸島シナリオでは米軍と同様に利用できる基地は少なく、給油機や指揮統制用航空機が少ないことから、中国の空軍基地を攻撃する許可が出れば、米軍は制空権をとれます。尖閣諸島に中国が一つ以上の小規模な空軍基地や地対空ミサイルを配置しても大きな違いは生じないということです。しかし南沙諸島の基地が完成すると、状況は変わります。

 南沙諸島と尖閣諸島はかなり離れていますが、中国軍にとって、使えそうな滑走路はここくらいということです。また、滑走路を造るには尖閣諸島は狭すぎ、作業は困難を極め、ほとんど不可能でしょう。

 沖縄という言葉は16回登場しますが、ここが侵略されるという話は一度も登場しません。沖縄にある米軍基地に対する中国軍の攻撃能力についての記述はありますが、着上陸作戦を心配する記述はありません。南沙諸島への攻撃を成功させるために米軍基地を攻撃する話だけです。

 138ページには台湾シナリオと南沙諸島シナリオで中国軍が活用する空軍基地が色分けして示されています。

図は右クリックで拡大できます。

 この地図を見れば、沖縄に着上陸作戦を行う場合、中国空軍はかなりの距離を飛行して、効果的に上陸部隊の支援を行う必要があることが分かります。沿岸部の空軍基地を破壊すれば、内陸部や台湾対岸の基地しかなくなり、より遠回りさせることができます。

 台湾侵攻のシナリオは、沖縄への着上陸侵攻を考える上で役に立ちそうです。時間がとれれば、読み込んでみたいと思っています。

 


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