核攻撃命令を拒否して指揮官が逮捕?
フェイスブックで途方もない話を耳にしました。米海軍ヘザー・E・コール大佐(Captain Heather E. Cole)が、昨年3月にロシアへの核攻撃命令を拒否したために解任・逮捕されたという話です。
eutimes.netが昨年3月に報じた記事は衝撃的です。
国防省の外国情報局(the Foreign Intelligence Service: SVR)が準備したクレムリン内部で回されている報告は、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)の核戦争通信指揮官が、ロシア連邦に対するイギリスによって計画された同様の奇襲攻撃と共同で核兵器の第一撃を承認する発射コードを送信することに失敗した後、コール大佐は逮捕され、解任されたとしています。
SVRによれば、米海軍ヘザー・E・コール大佐(Captain Heather E. Cole)は、オクラホマ州のティンカー空軍基地(Tinker Air Force Base)海軍の第1戦略通信航空団の指揮官でした。ここのE-6B「マーキュリー」は大統領とアシュトン・カーター国防長官(Secretary of Defense Ashton Carter)が、アメリカの戦略核戦力を構成する潜水艦、爆撃機、地上発射ミサイルと直接つなぐ通信リンクを提供します。3月16日月曜日、コール大佐は国防総省から承認されたロシア連邦に対する限定的核攻撃の発射命令を受け取りましたが、パーミッシブ・アクション・リンク(PAL)の致命的な機能停止はこの計画された攻撃を中止させました。PALは核兵器の安全装置で、その目的は核兵器の承認されていない照準や起爆を防ぐことです。SVRの専門家は報告書の中で、この過程での致命的な機能停止はロシアへの攻撃に関わることを拒否して先月職を追われたチャック・ヘーゲル前国防長官(Chuck Hagel)が命じた追加された保安手段でした。報告はカーター長官がヘーゲル長官による保安の変更に気がつかなかったことも説明します。
navytimes.comに掲載された記事は米海軍の公式発表を紹介しています。
コール大佐は指揮能力に対する信頼を失ったために解任されました。海軍航空隊は記者発表の中でコール大佐が将校に要求される高い基準を発揮しなかったとしました。
warmonitor.netはこの疑惑について検証しています。ここの記事が一番信頼できそうです。
報道官によれば、大佐を解任した調査は2月に始まりました。「交替は彼女の能力不足の為と調査結果の中で特定されました」。報道官は不足は部隊の任務と関係なく、部隊内の文化的な問題だと言いました。コール大佐は公式調査の結果が出るまでサンディエゴの基地に再配置されました。一部メディアが主張したように、彼女が逮捕され、投獄されたとの情報はありません。しかし、指揮を交替した将校が、一時的に逮捕されたり、その場から連れ出されるのは珍しくありません。
大佐の解任は無線技術者が北極で演習中だった米露軍による小競り合いを報告した数時間後に起こりました。「ロシアへの核攻撃を拒否して指揮官が逮捕」という話になるまでは時間がかかりませんでした。
彼女が核兵器を発射することに関して少しでも権限があったようには見えません。
小競り合い、あるいはドッグファイトは彼女が解任される数時間前に起きたように見えました。しかし、これらの出来事は未確認でした。よりありそうな説明はこれが演習だったということです。
記事は必要なところだけ紹介しました。
外国情報局が始終、こんな馬鹿な情報を報告しているとすれば、ロシア政府の判断がおかしくても不思議はありません。昨年3月に核戦争の必要なんかなかったはずです。
発射コードが送信できなかったとか、ヘーゲル国防長官が核戦争に反対して追加の保安手段を講じたなんて、馬鹿げた妄想です。アメリカとイギリスが核攻撃を行おうとしたとして、アメリカが攻撃に失敗したのなら、イギリスだけが発射していたはずです。同時に攻撃しないと奇襲にはなりませんから。また、コール大佐が拒否したところで、彼女が解任されて別の者が攻撃を行ったでしょう。
海軍が調査が2月に始まっていたことを示唆しています。これは大佐の解任が核戦争に関係がないことを示します。部隊の文化に関する事柄が原因なら、それは部隊内の規律に関することや指揮官の公私混同などを連想させます。大佐級の将校が逮捕されることは特に珍しくありません。
こんな信じるに値しない記事でも、信じる人は信じてしまいます。この種の誤報がもっと致命的なことに関してテレビなどで流された日には、パニックが起こりかねません。全世界が不安定の方向に進む現代においては、これはあり得ることです。
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