防衛相の南スーダン帰国会見はたったの4分間

2016.10.11


 あまりにも程度の低い発言が続いたため、稲田朋美防衛大臣の記者会見について書く気が失せていました。南スーダンから戻った時点での記者会見が掲載されたので、それについて書きます。

 南スーダンについて報告する記者会見なのに、11日の会見は11時30分から11時34分まで、たった4分間で終わってしまいました。 いくらなんでも、これはひどすぎます。質問しない記者も問題です。

 国連から派遣部隊の施設部隊に国連施設外での作業依頼はないと、稲田大臣は述べています。

Q:活動の範囲についてですが、一部報道で、国連側から国連の施設外でも自衛隊活動してほしいというような要請が自衛隊側にあったというような事があるのですけれども、大臣として、ジュバ市内を御覧になって落ち着いているというふうに仰ってましたけれども、国連の敷地外でも自衛隊は活動ができるというふうに御覧になったでしょうか。
A:まず、そのような要請があるというのは承知しておりません。その上で、PKO5原則は維持されているということは、私も確認しましたし、ジュバは落ち着いており、いろいろなところにも行きましたが、子供さんや女性も歩いておられたり、平常通りの生活をしているように見受けられたところでございます。しかし、PKO5原則におけます、隊員が安全を確保しつつ、有意義な活動ができるかどうかを含めてしっかりと政府全体で検討したいと思っています。

Q:国連の施設外で自衛隊は以前に活動したと思うのですけれども、それについてはいかがですか。
A:私も建てかけの橋、JICAが一緒にやっていた橋ですとか、道路もかなり、でこぼこしているところはありました。自衛隊がかつては綺麗にしたところが、すごく、ぼこぼこになっているところもあったわけでありますが、ロイ事務総長特別代表とお会いしたときに、そういった具体的な要請はありませんでした。

 ロイ代表が国連施設外での作業を求めなかったのは、治安が不安定で、そういう場所での作業が危険だと、国連が判断している可能性があります。稲田大臣が気がついたように、かつて整備したところが荒れているのに、そこをまた直して欲しいとはいわれなかったのです。これはとても不自然に思えます。JICAが建てていた橋の工事が止まったままなのは、それ自体、治安が不安定であることを示しているように思われます。戦闘から3カ月経っているのに、JICAが作業を再開できないこと自体が問題です。

 首都の中で事件が起きないのは、政府軍が首都周辺に防御戦を張っているからです。幸い、副大統領派はイスラム国のような自爆攻撃はやりません。武器を持ち込んで、死ぬのを覚悟でテロ攻撃をやる気質もなさそうです。だから、首都の中は静かだというだけで、防御戦の外はいつでも戦地になりえるのです。

 また、副大統領派が首都に接近して、攻撃を行えば、首都の中も戦地になります。

 もともと、和平が実現して、戦闘がなくなった国へ自衛隊を派遣するためにPKO法を作ったのに、いつの間にかなし崩し的に、派遣部隊がいる場所で戦闘がない限り派遣できると変わってしまいました。

 これを利用して、駆け付け警護を実施してしまい、他の国での紛争に介入できるようにするのが、政府の狙いでしょう。既成事実を作るためには、南スーダンではむしろ戦闘に巻き込まれない方が都合がよく、既成事実化した後で、別の紛争で本番を迎えるのは理想的な展開です。

 以下は記者会見の全文です。(該当ページはこちら

Q:南スーダンに行かれて、駆け付け警護などの新任務判断の付与の時期についてですけれども、政府全体で議論すると仰ってましたが、具体的に来月、既に新しい交代する部隊が南スーダンに向かう予定ですけれども、これについては、いつを判断の目処としていらっしゃいますでしょうか。
A:まだ、時期については決めておりませんし、今回、南スーダンで見てきたこともありますし、それに限らず様々な状況もありますので、そういったことをしっかりと緊張感をもって検討した上で、政府全体で決めていきたいと思ってます。

Q:活動の範囲についてですが、一部報道で、国連側から国連の施設外でも自衛隊活動してほしいというような要請が自衛隊側にあったというような事があるのですけれども、大臣として、ジュバ市内を御覧になって落ち着いているというふうに仰ってましたけれども、国連の敷地外でも自衛隊は活動ができるというふうに御覧になったでしょうか。
A:まず、そのような要請があるというのは承知しておりません。その上で、PKO5原則は維持されているということは、私も確認しましたし、ジュバは落ち着いており、いろいろなところにも行きましたが、子供さんや女性も歩いておられたり、平常通りの生活をしているように見受けられたところでございます。しかし、PKO5原則におけます、隊員が安全を確保しつつ、有意義な活動ができるかどうかを含めてしっかりと政府全体で検討したいと思っています。

Q:国連の施設外で自衛隊は以前に活動したと思うのですけれども、それについてはいかがですか。
A:私も建てかけの橋、JICAが一緒にやっていた橋ですとか、道路もかなり、でこぼこしているところはありました。自衛隊がかつては綺麗にしたところが、すごく、ぼこぼこになっているところもあったわけでありますが、ロイ事務総長特別代表とお会いしたときに、そういった具体的な要請はありませんでした。

Q:ロイター通信の報道によりますと、10日に南スーダンのジュバに繋がる幹線道路で、市民を乗せたトラック4台が、反政府武装勢力と見られる集団に襲撃されまして、21人が死亡して、20人が負傷したという報道がありますけれども、この事実関係の確認と、今の治安情勢についての分析についてよろしいでしょうか。
A:御指摘の報道について、ジュバに行っているときには代表からも、政府側からもそういった、また、部隊からもそういう情報はなかったのですけれども、そういったことがあったことは情報として承知をいたしております。南スーダン、その各地において、偶発的、散発的な衝突が発生しているその一つではないかと認識いたしております。また、一方で、先ほどもお答えしているように、ジュバの市内、かなり何点か行きましたけれども、そこは比較的落ち着いているという印象をこの目で見て感じたところでありますが、引き続き、現地情勢を注視しつつ、わが国の要員の安全の確保には万全を期していきたいと思っております。



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