オバマ政権が南スーダンに軍事支援を与える真意は
ワシントンポストによれば、バラク・オバマ大統領は子ども兵が使われている動乱の南スーダンと他6カ国に数百万ドルの軍事支援を続ける免責を出しました。
政権が戦闘に子供が使われることを防止することを、より優先しなかったことで擁護団体を失望させました。
この免責は2008年の子ども兵防止法を回避します。それは特定の種類の軍事支援を阻止することになっています。
免責はソマリア、コンゴ、ルワンダ、イラク、ミャンマーにも与えられます。
国々への支援は劇的に異なります。
イラクは毎年、軍事支援で数億ドルを受け取り、ミャンマーはここ何年か軍事支援を受けませんでした。
南スーダンの免責は目立ちます。
子ども兵の使用は東アフリカの国に蔓延します。そこで2013年後半に内戦が勃発し、和平協定にも関わらず、戦闘が続きます。
国連は子ども兵約16,000人が内戦が始まってから徴用されたといいます。
AP通信が入手した国連の内部文書によれば、サルバ・キール大統領(President Salva Kiir)は任命した上級の政治家は8月に脅迫を用いて村全体の12歳の少年を徴用しました。
AP通信も武器を取ると述べた十代と話をしました。
国連当局者はAP通信に、国連安保理の外交官が9月にこの国を訪問した間に、この問題を高い優先事項にした後ですら、南スーダン政府と反対勢力の両方がもう一つの戦いの季節を準備する時、先月子供数百人を徴用したと言いました。
当局者は記者と話す権限がないため、匿名で話しました。
ワシントンに拠点遠くスティムソンセンター政策研究グループによると、免責の下で、南スーダンは平和維持軍の支援のために2017会計年度に3,000万ドルを受け取れます。
アメリカは免責の使用を擁護しました。
ホワイトハウスの国家安全評議会の報道官、エミリー・ホール(Emily Horne)は「アメリカは子ども兵の使用を徴用を終わらせるため、これらの政府と緊密に活動を続ける一方で、改革の誘因を与えるために免責の可能性を用いることができます」と言いました。
オバマが発した免責は、南スーダン、コンゴ、ルワンダ、ソマリアが軍事訓練と平和維持軍の支援を続けることを可能にしたとホーンは言いました。
彼女はオバマはこれら4カ国の免責が「アメリカの国益である」と判断したと付け加えました。
「ヒューマン・ライト・ウォッチ」の子供の人権部門の部長、ジョー・ベッカー(Jo Becker)はインタビューで、コンゴでかつてオバマ政権は軍事訓練を廃止すると脅して、子ども兵の使用を止めることを政府に強制できたと言いました。
しかし、オバマは任期中に子ども兵を防止することにもっと積極的になれるはずだと彼女は言いました。
「ヒューマン・ライト・ウォッチ」は、免責は子ども兵を使う諸政府に、数億ドルのアメリカの軍事支援を受け取れるようにしたと言いました。
「南スーダンは問題のひどさで本当に目立ちます」とベッカーは言い、政権の国への免責はもっと狙いを絞れると言いました。
国家による子ども兵の使用は「明らかに悪化」しており、「完全な惨事」になりましたと、彼女は付け加えました。
南スーダンは2012年から毎年免責を受けました。
アメリカは政府・反対勢力の軍隊が国内で子ども兵を不法に徴用し、使うことを直ちに止めるよう要請しました。
子ども兵の使用に関係したと国務省があげた十カ国の中で、免責を受けなかったのはスーダン、シリア、イエメンだけでした。
ベッカーは3カ国はいずれにしろ、大きな軍事支援を受けることになりそうにないと言いました。
昨日の記事の中で取り上げた、南スーダンにアメリカが軍事支援を継続する件をもう一度考えました。
この記事でも、オバマ大統領の真意は分かりません。もっと詳細な情報がないと、評価は何ともいえません。軍事支援はするものの、米政府が南スーダン政府に予算の用途を限定し、監視する手段も用いるのなら、意味はあるかもしれないからです。単に金を渡しておしまいではなく、相当する金額分の物品による支援ということも考えられます。
いうまでもなく団体からの懸念は当然です。私もならず者の軍隊を支援したくありません。南スーダン軍は平和維持軍の活動を妨害しており、そのために支援が使われる恐れがあると、合理的に推測できます。子ども兵を使う国にはむしろ懲罰を与えたいくらいです。
それから、「南スーダン政府と反対勢力の両方がもう一つの戦いの季節を準備する時」との記述に注目しなければなりません。 南スーダンは現在、雨期ですが、11月からは乾期に入るのです。気象データを見ると、11月には降水量は半分程度に減り、12月から来年2月までは、ほとんど雨が降りません。乾期は軍の移動が容易になり、軍事活動には向いていて、大きな動きが予想されます。自衛隊が駆け付け警護を開始するのは、 戦闘が予想される時期にぶつかるのです。
上とは別件で、ワシントンポスト紙でも稲田朋美防衛大臣の南スーダン訪問を報じていますが、内容は前に紹介した記事と大差ありません(記事はこちら)。目をひくのは次の部分です。
日本の報道記事は、防衛大臣は南スーダンで危険な救出任務を請け負える平和維持軍を派遣することを検討しているといいます。国連当局者と会合した後、稲田は英語での所見の中でそれを言いませんでした。
ワシントンポストも「駆け付け警護」という言葉は用いず、「危険な救出任務」と書いています。これが普通の表記です。駆け付け警護なんて言葉自体がまやかしです。襲撃の現場に行って、味方を救出するのは非常に難しい軍事行動です。当然、危険ですし、味方を殺傷する危険もあります。稲田防衛省がいうように、危険は増えないとは、誰も考えません。任務の種類は「救出」であり、「警護」ではありません。こんなことは常識ですが、ガラパゴスのイグアナである日本人には分からないようです。
まだ政府内で決まっていないので、防衛省は何も言わなかったということでしょう。用意していった文を読み上げるだけですから。しかし、南スーダンはこれから戦いの季節に入るのです。そこで救出任務を命じることの意味を、どれだけ多くの日本政府関係者が理解しているのかは疑問です。
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