Military.comがトランプの中東政策を批判
military.comによれば、次期大統領ドナルド・トランプ(Donald Trump)の中東問題への立場は、実行されれば、世界で最も燃え上がりやすい地域を、これまでよりもさらに不安定にする可能性があります。
イランとの国際的核交渉を破棄するという一方で、トランプはイスラム国の民兵との戦いを増やすと言い、イスラエルの強硬派の右派に味方することで、パレスチナ人をさらに絶望的にさせるかもしれません。彼はオバマ政権のエジプトのアブドル・ファタ・エル・シーシ(Abdel-Fattah el-Sissi)のような権威主義者への冷たい態度も終わらせるようです。
トランプは多くの場合で、中東での計画について漠然としていて、しばしば完全に矛盾していました。そして、彼のスタンスは変化することもありました。アメリカにイスラム教徒が入ることを禁じるという彼の要請は、この地域で多くの人を心配させましたが、その後このスタンスを和らげ、湾岸地域の多くのオピニオンメーカーは、これは少なくとも単に選挙用の巧言だとよびます。
全体的に、トランプはイスラム国の民兵と戦うことを重視し、そうする有力者に賛同することに関心を示しました。彼は人権への懸念や中東の多くの派閥と利益の複雑な詳細にはより関心を示しませんでした。それはある者の目には単純で両極端のスタンスですが、それは反感ももたらしかねません。
イスラム国、イラクとシリア
トランプは繰り返しイスラム国との戦いを激しくすると誓約し、このグループの壊滅が主要優先事項だといいました。それが両方の国(シリアとイラク)での紛争と、オバマ政権がバランスをとろうとした複雑な同盟へどんな影響があるかは不透明です。トランプはイスラム国を打倒すると誓った以上に、戦争に対して僅かな政策やビジョンしか示していません。
シリアでは、反政府派が最大の敗北をするかもしれません。オバマ政権の反政府派への支援と対称的に、トランプは反政府派はバシャル・アサド大統領(President Bashar Assad)よりも悪いものかもしれず、シリアの指導者を排除することより、イスラム国を打倒するのが、より重要だといいました。それはあらゆる支援を止めることを意味します。それ以上に、彼はイスラム国に対して、アサドの主要な同盟であるロシアと、さらなる、よりよい協力を望むといいます。
トランプは空爆を進めるといい、民兵たちを爆撃し尽くすといいます。彼は戦いの遅いペースを批判し、イラクに現在の6倍のレベルの3万人を派遣するよう要請しました。しかし、空爆を激化すれば、民間人の犠牲を増やす反動が起きる危険があります。イラクのハイダル・アル・アバディ首相(Prime Minister Haider al-Abadi)は、イラクにいる数千人の米兵について、政敵から攻撃されています。
1月にトランプが就任する前にイスラム国はイラクで破壊され、シリアでは追い詰められているかもしれません。昨年中、オバマ政権の空爆作戦は、地上軍の訓練と共に、2014年にイスラム国が獲得した領域の大半をイラク軍とクルド軍が取り戻す手助けをしました。彼らは現在、イラク最後の主要拠点のモスルを攻撃しています。
シリアで、トランプがイスラム国に対してロシアと同盟すれば、反政府派に対するアメリカの支援から大きくシフトすることになります。ロシアと緊密に活動するオバマ政権の試みは、ロシアが反政府派を爆撃するために崩壊しました。トランプはロシアの作戦についてのアメリカの苦情すべてを取り下げそうです。
オバマ同様、トランプはイスラム国との戦いというレンズを通じてシリア戦をみます。しかし、紛争は絡み合っています。反政府派に背を向けることは、アサド追放と反政府派の支援を誓うトルコ、サウジアラビア、カタールを怒らせ、あらゆる紛争において潜在的に壊し屋となりかねません。
トランプはオバマがもつ同じ戦いにも直面します。トルコとその手厳しいライバル、シリア系クルド人とバランスをとることです。彼らはアメリカが支援する主要な地上軍です。トルコ軍とクルド軍は今年早くにシリア北部で戦いました。炎はアメリカの調停で収まりました。
イスラエルとパレスチナ人
トランプはパレスチナ人よりイスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相(Prime Minister Benjamin Netanyahu)にとても同情的にみえます。それはイスラエル占領後50年後に独立するパレスチナ人の夢にとって、ほとんど兆しとならず、彼らを発達した暴力的な反乱に転じるほど絶望を育てかねないという若干の警告を導きました。
ネタニヤフが過去8年間をイスラエル入植地建設と和平努力の行き詰まりでオバマ政権と衝突する一方、トランプはネタニヤフに多大な親近感を示し、オバマをユダヤ国家の災難とよびました。
彼はいかなる解決も押し付けないといい、米大使館をエルサレムへ移すと約束しました。これは、街の左側へ移すというパレスチナ人の主張を低下させるステップです。
イランとの核協定への彼の反対と、国連での反イスラエルの決議を拒否するという彼の約束もエルサレムで共鳴します。
さらに、彼はイスラエルの強硬派右派に近い顧問を周辺に置きます。彼らの中には、ニュート・ギングリッチ(Newt Gingrich)、元ニューヨーク市長ルディ・ジュリアーニ(ルディ・ジュリアーニ)、元国連大使ジョン・ボルトン(John Bolton)、保守的な億万長者シェルドン・アデルソン(Sheldon Adelson)がいます。
ギングリッチはパレスチナ人をでっち上げられた民族とよびました。ジュリアーニは最近、トランプが和平協定の一部としてパレスチナ国家を建設するアメリカの目標を捨てるよう勧告しました。
共和党の政策は、ネタニヤフすら支持した考えのパレスチナ国家の地位に言及しません。ネタニヤフ内閣を支配する入植者支持の政治家はトランプの当選を暖かく歓迎しました。イスラエルのナフタリ・ベネット教育大臣(Education Minister Naftali Bennett)は、それをパレスチナ国家のアイデアを取り下げるための機会とよびました。
しかし、気まぐれなトランプは選挙中にイスラエルで、紛争に中立を保ち、イスラエルはアメリカから受けた軍事支援数十億ドルを返すべきだと示唆して、若干の懸念も起こしました。
パレスチナ人は静観の態度をとっています。
当局者はクリントン(Clinton)が当選したら、オバマが任期最後の数ヶ月を、政治的声明をだし、彼の後継者が和平の努力を進めるためのお膳立てをする国連決議を促進するために使うことを期待していました。トランプの勝利で、この機会は遠いようです。
リアド・マリキ外務大臣(Foreign Minister Riad Malki)は、パレスチナ人はいまだにトランプ次期大統領の政策を知りませんが、二カ国の解決を実現するよう促進すると望んでいます、と言いました。
エジプト
トランプとエジプトのエル・シーシはすでに絆を示しました。トランプは9月に国連総会に合わせて会ったとき、よい相性があったと言いました。エル・シーシはトランプは疑いなく、強い指導者に向かうと言いました。
共通基盤がどこにあるかは明らかです。エル・シーシはイスラム民兵と戦う中で自身を指導者として色づけしており、スタンスはトランプの優先課題と同じです。結果はエル・シーシとオバマの寒い関係のあとで、より近づいたつながりとなり得ます。
軍指揮官として、エル・シーシは、彼と彼のムスリム同胞団(Muslim Brotherhood)の広範な抗議の中、エジプト初の自由に選ばれた大統領、イスラミスト・モハメッド・ムルシ(Islamist Mohammed Morsi)の2013年の追放を導きました。オバマ政権は追放に対して若干の批判をいい、いくつかの支援を短期停止しました。以来、特にエル・シーシの政府が敵を厳しい取り締まってから、オバマは距離を置いています。
トランプは人権に関する任務をエジプトに持って行きそうにありません。かわりに、彼はシナイ半島とリビアのイスラム国につながる民兵と戦うエジプトの指導者としてのエル・シーシの政治的支援を投射しそうです。
エジプトの政府支持派のメディアは、しばしばオバマを罵り、アメリカが同胞団と活動家グループを支援したと非難しました。彼らはいまやトランプの勝利を祝っていました。
この記事を読んでも、トランプの対外政策は支離滅裂です。さっぱり分かりません。やはり思いつきで、その場の雰囲気で喋っていただけなのでしょう。
顧問の顔ぶれを見ても、先行き心配になる人たちばかりです。
空爆を激化するといっても、イラク侵攻以降、米軍は政府へ作戦を勧告するにも慎重で、実行し得る作戦を提示し、長所と短所を説明するようになりました。説明した項目には、友軍の損害だけでなく、民間人の損害も含まれていました。その上で慎重に空爆を行っているのですが、少なくない人たちが犠牲になる結果となっています。それを単純に拡大すれば、犠牲者はもっと増え、批判がアメリカに跳ね返っていくのです。その時、トランプは「誤爆したのは空軍だ。俺じゃない」とでもいうのでしょうか。
見栄えのよいイスラム国との戦いだけ強調して、アフガニスタン戦を語らなかったのもおかしな話です。
時間がないので簡単にしかコメントしませんが、要するに、難しい部分を避けて話したので、トランプの方がマシにみえただけの話です。
military.comは世論調査で読者の大半がトランプ支持と知りながらも、冷静な論評を書いたと思います。ずっとシリア内戦を見てきた者としては、こういうバカ者に複雑な戦略が台無しにされるのは見ていられません。
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