次期大統領補佐官フリン中将の人物像
military.comがドナルド・トランプ(Donald Trump)が安全保障担当補佐官に任命した退役陸軍中将で、情報将校だったマイケル・フリン(Michael Flynn)の人物像を報じました。彼はイスラム過激派とその信仰そのものの厳しい批判者で、イスラム過激派をアメリカへの実存的な脅威とよびます。
共和党全国大会での熱烈な演説を含めて、声高かな演説と公のコメントの中で、フリンはイスラム国民兵が世界規模の脅威をもたらすと強弁し、このグループに対する遙かに攻撃的な米軍の作戦を求めました。
6月のCNNとのインタビューで、フリンはイスラム過激派を信用しない必要があるのに、「我々は現在、そうすることが許されない」といいました。
しかし、世界で15億人以上に実践されるイスラム教に関する彼のコメントは時々、信仰の範疇で過激派を非難するのを越えました。
フリンの本「戦いの場 我々はいかにしてイスラム過激派とその同盟者に対して世界的戦争に勝てるか(The Field of Fight: How We Can Win the Global War Against Radical Islam and its Allies,)」の中で、彼はイスラム教を平和な宗教とよぶアメリカの指導者たちを非難しました。
「聖戦の存在を否定するこの主張は、イスラム国がイスラム教徒と関係がないという不合理な主張へオバマ大統領を導きました」とフリンは書きました。
8月、彼は反イスラムグループ「Act for America」が主催したダラスでのイベントで、イスラム教を「癌」で「疑いなく宗教であることに隠れた」「政治的なイデオロギー」だとよびました。
カルフォルニア州に拠点を置く公民権団体「Muslim Advocates」は声明の中で、フリンの指名を「反イスラム政策への支持を示し、わが国の安全を蝕み、イスラム教徒とアメリカ人すべてをすべに安全ではない気風を悪化させる」といいました。
12月に58歳を越えるフリンは、軍情報部で少尉として1981年に任官してから陸軍で30年以上を務めました。
彼の軍歴はアメリカが率いるアフガニスタン国際治安支援部隊の情報部長を含みます。
しかし、それは国防総省の最高諜報機関を率いた荒れ狂った2年間のあと、彼が2014年に国防情報局の責任者から辞任を強制されたときに終わりました。
機関を去った後、フリンはイスラム国グループに対する戦いの実行に関して、オバマ政権の厳しい批判者となり、トランプの最も声をあげる後援者の一人となりました。
選挙期間の間、経済制裁の解除と引き替えに核開発計画を抑制することを狙ったイランとの7カ国協定の再交渉を含めて、フリンはトランプの外向政策準備の多くを支持しました。
フリンはイスラム教の暴力の危険に関して悲観的な警告を出す一方で、彼の私的なコンサルティング会社はイスラム教寄りの政府のトルコ当局とつながるトルコ人ビジネスマンが率いる会社のためにロビー活動をしました。トルコ政府はトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(President Recep Tayyip Erdogan)に対する7月のクーデター未遂の後、数前任の反対派を取り締まり、投獄しました。
ビジネスマンのエキム・アルプテキン(Ekim Alptekin)は金曜日にAP通信に対して、彼は同国の経済省が運営する外国経済関係委員会のメンバーではあるものの、彼はエルドアン大統領の政府と関係を持たないといいました。
選挙直前のワシントンの新聞「The Hill」の特集記事で、フリンはトルコは支援を必要としており、ペンシルベニア州に住むトルコ人イスラム聖職者は米国内に避難場所を与えられるべきでないというエルドアンの警告に賛同したと書きました。
エルドアン大統領は聖職者のフェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gullen)を、7月のクーデター未遂事件を組織したと非難し、彼の引き渡しを要求しました。
オバマ政権は応じませんでした。
アルプテキンは金曜日、エルドアンを支持するフリンの論説は、彼の会社のロビー活動やトルコ政府と無関係だと言いました。「トルコ政府はそれを命じませんでした」と彼は言いました。
倫理法の専門家数人によれば、フリンがトランプに加わったとき、「The Flynn Intel Group」は議会にも8月に大統領の諜報ブリーフィングにおいてロビー活動をしました。これは潜在的に保安上の誤りです。
「将軍が彼のビジネスの利益に影響しかねない機密情報を受け取ると、明らかな懸念となります」と、選挙倫理の弁護士で、外国企業のロビイストに彼らの活動を登録することを求める法律の専門家、ジョー・サンドラー(Joe Sandler)は言いました。
サンドラーらは、なぜフリンの会社が、連邦外国エージェント登録法の下でより詳細な活動報告を求める司法省のより厳密な外国エージェント部ではなく議会にロビイストとして登録しているかに疑問を示しました。
「外国法人がアメリカの政策に影響を及ぼすことを狙って議会にロビー活動をするには、外国エージェント法の下で申請する必要があります」と、ワシントンの無党派のプロジェクトと外国エージェント活動の専門家、リディア・ベネット(Lydia Bennett)は言いました。
フリンのコンサルティング会社は9月に議会に、2005年にアルプテキンがオランダで登記した「Inovo BV」のためにロビイストとして登録しました。
アルプテキンはフリンの会社のロビイスト、ロバート・ケリー(Robert Kelley)は、それはエネルギー会社のための活動の一環として、アメリカとトルコの関係を向上させるのを狙っていたと言いました。
ケリーと「Flynn Intel Group」はAP通信の電話と電子メールに応じず、トランプの政権移行チームはコメントの要請に応じませんでした。
フリンは、ケリーがヤフーニュースに提供した声明の中で「政府の業務に戻れば、私の会社と私の関係は断ち切られます」と言いました。
フリンが辞任するに至った経緯については、あとで調べてみたいと思います。この経験が彼をさらに反イスラムにしたのかも知れません。その結果、トランプ政権において、彼がどんな政策を推進するかが分かるはずです。
理論的には、イスラム教は「聖戦」という概念を持ち、自分のコミュニティなどが攻撃されたとき、報復する義務を持つとされます。これはよい方向に発揮されれば、自治の一環となりますが、テロリズムの原因にもなります。
アルカイダやイスラム国は直接被害を受けたわけでもない外国人を徴用して、戦闘組織を作っていて、これは本来の聖戦の考え方とは違うはずです。普通、あくまでも自分に近い人たちに関する事柄で行動することを意味するのだと、私は解釈しています。
フリンがどう考えようと、過激思想にかぶれるイスラム教徒はごく一部です。
アメリカには、時として、こういう本人が過激思想と思える補佐官が搭乗します。ソ連嫌いで有名だったある補佐官は、街でサイレンが鳴ったのを聞いて、「奴らが攻めてくる!」と叫んで、ビルの窓から身を投げて死にました。大統領は彼がいつから正気を失っていたかを知ろうとして、過去の発言を調べさせたといいます。
ブッシュ政権(パパの方)の安全保障担当補佐官のスコウクロフトも軍人でしたが、冷静で切れ者でした。彼とフリンはかなりタイプが違いそうです。
時間がないので、これくらいにします。フリンの言動は今後も要注意です。
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