自衛隊は米軍の最新医療を見習え

2016.11.28


 十分な戦闘利用体制を確立できないまま、外務省の言いなりで南スーダンに派遣を許した防衛省は、戦闘医療で大きく立ち遅れている実体をさらしています。しかし、それで鼻血を出している場合ではありません。military.comによれば、米軍の戦闘医療はずっと先を進んでいます。

 米陸軍外科研究所の研究者、医師、バイオ技術者たちは、重傷の状況で兵士に血液を投与する、新しい、より効果的な方法に取り組んでいます。

 粉末血液の可能性を試しています。

 研究者たちは「どうやって赤血球を複製するか」を探求していると、サンアントニオ(San Antonio)のブルック陸軍医療センター(Brooke Army Medical Center)のジェフリー・ジョンソン准将(Brig. Gen. Jeffrey Johnson)はいいました。

 11月16日、アシュトン・カーター国防長官(Defense Secretary Ash Carter)の病院訪問の間、ジョンソンは、施設が育成する最新の医療技術は「戦場にあるが故に、我々とって大きな問題」だといいました。

 誰かに輸血するとき、血液を「適切な温度、適切な量で、酸素をまだ保持できるようにして」保つことは難しいと、ジョンソン准将はいいました。その結果、研究者たちは人工の血液製剤を開発しようとしています。

 「我々は(液体に)もどせる粉末の製品を研究しています」と彼はいいました。

 それは遠隔の地域や戦場にいる間、生の全血を保持するために必要な方法を省きます。

 ジョンソンは施設が、現場で火傷の犠牲者を修復する方法も研究しているといいました。

 「彼らは人工皮膚、人の非常に小さな皮膚の断片から作る皮膚も研究していて、それらは大量に作られることができて、それからスプレー瓶に入れられる皮膚です」と彼はいいました。皮膚の霧は体の表面に塗布されて、再生し、成長します。

 新しい進展は医師が手術室で提供される道具を使わずに外傷を手術や対応する方法も助けます。

 ブルック陸軍医療センターは、医師や技術者が厳しい環境で重要な決断をできるようになることを望んでいると、ジョンソンはいいました。


 記事は一部を紹介しました。後半は省略しました。

 ろくな医療体制がない自衛隊と違い、米軍は問題点を見つけ出し、それを解消しようとします。自衛隊ではかねてから、自衛隊の医療は永遠に駄目などといわれてきましたが、南スーダンでの駆け付け警護任務付与で、その危険性はいっそう増しています。戦闘が起きた場合、重傷者はその場で死ぬ危険性がとても高いのです。医官の数が足りず、手術装備も持って行っていませんから、重傷者はその場で応急処置だけして、ジブチから空自の航空機が来て、ジブチで手術受けるまでに死んでしまう可能性がとても高いのです。

 実際、ある陸自幹部から「損害は出るものだから」という言葉を聞いたことがあります。「出てしまう」のだから仕方がないと考えている損害を、できるだけ減らそうという発想は陸自にはないようです。

 ところが、米軍では常に現場には改善すべき問題があると考え、新しい技術の開発にも熱心です。

 記事が紹介するのは、戦場というよりは、その後方で用いられる技術です。アフガニスタンのバグラム基地のような戦域に設けられた施設であっても、輸血用血液を適切に保存するのは困難です。発電機で電気が供給されていても、生の状態の血液を保管することは簡単ではありません。そこで、粉末状にして保存し、必要な時に液体に戻せる血液を開発するのです。火傷の治療をより簡単にするために人工の皮膚を開発するのです。自衛隊には夢のような話でしょう。

 自衛隊は米軍に視察団を出して、どんな技術が開発されているのかを学んでくるべきなのです。戦闘救命士についても研究し、出来るだけ早く訓練を行うべきでしょう。



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