南スーダンの7月騒乱のアムネスティ報告書
遅くなりましたが、アムネスティ・インターナショナルが南スーダン軍は7月に首都ジュバ(Juba)で故意に一般人を殺し、女性と少女を強姦し、資産を略奪した件についてまとめた報告書について、sudantribune.comの記事から紹介します。
報告書はサルバ・キール大統領(President Salva Kiir)の政府が、キールの元副官のレイク・マシャル(Riek Machar)が出身のヌエル族のメンバーを狙ったと非難しました。
「南スーダン政府の兵士がヌエル族出身の男性を殺し、女性と少女を強姦し、略奪する大キャンペーンを行ったと、アムネスティ・インターナショナルの上級危機対応顧問のジョアン・マリナー(Joanne Mariner)は言いました。
「政府軍によるこれらの攻撃は、武器の流れを止め、効果的なコンプライアンスを監視するメカニズムを確立することで、南スーダンへの武器禁輸を課す緊急の必要性をさらに証明立てます。国家は民間人を殺すのに使われる武器から利益を得てはなりません」と声明は言いました。
報告書は10月28日から30日まで行うように予定される、アフリカ連合の和平・安全保障評議会(AUPSC)による南スーダンへのフィールドミッションに先立って公表されました。
アムネスティ・インターナショナルはAUPSCに、訪問中に7月の暴力を検討し、これらはその他の犯罪を調査して、起訴する能力がある独立したハイブリッド法廷を確立することを確実にするよう要請しています。
7月、8月、9月に人権機関によって行われた実地調査に基づいて、報告書は南スーダン軍によって行われた計画的な殺害、無差別攻撃、強姦と大規模な略奪を詳述します。
6歳のジョイ・カミサ(Joy Kamisa)は武装ヘリコプターからのロケットで殺されました。ミサイルはジュバのグデレ地域(Gudele)にある彼女の祖母の家に命中したと、報告書は言いました。
2歳半のニャムチ(Nyamuch)は、破片が彼女の頭に命中した時に受けた傷で死亡しました。彼女と彼女の親族数人はジュバのジュベル地区(Jebel)にある国連基地の民間人保護施設に住んでいましたが、主要な国連基地へ逃げようとした時に爆発物で攻撃されました。
彼女の親族は生き残りましたが、負傷しました。
目撃者によれば、26歳のベイル・ガコース(Biel Gatkuoth)は祖父の住居で座っていた時に、弾丸がどこからか飛んできて、彼の脚にあたり、向こう脛の骨を折りました。傷が感染し、彼は数日後に死にました。
「南スーダン政府が未だに自由に武器を手に入れられるのは、それが国際法と人権に反した犯罪に関与するために繰り返し使われている時、恥ずべきことです。国際社会は包括的武器禁輸や、これらの違反に加担したとみなされる危険を課さなければなりません。
報告書は反対勢力のSPLO-IOによる虐待も詳述しました。
報告書は7月10日と11日に、反対勢力戦闘員がジュベル地区(Jebel)の国連施設に数回、少なくとも一度は大人数で侵入した方法を詳述します。
戦闘員がそうしたのは、攻撃から彼らを守ろうとしたのか、軍事作戦を妨げる目的だったかは分かりませんが、彼らの意図に関係なく、そうした動きは施設内の数千人の民間人を危険にさらしました。
7月8日に戦争がはじまると、すぐに政府軍兵士は部族と政治的忠誠に基づいて人々を狙いました。
顔にヌエル族の傷跡(ヌエル族は成人になると額に傷をつける習慣がある)がある32歳のジャーナリスト、ジョン・ギャトラク・マングエット・ナイアル(John Gatluak Manguet Nhial)は、7月11日、テランホテル(Terrain Hotel)で政府軍兵士によって、他の兵士が嘲って「ヌエル、ヌエル」と叫んだ時に射殺されました。
7月以降ヌエル族の夫が行方不明の24際のディンカ族の女性は、政府軍兵士が家族の住居を襲撃し、夫と義理の兄弟を逮捕したといいました。彼女が兵士たちに2人が政府で働いているというと、兵士たちは彼らが政府で働いていても、彼らはヌエル族であり「ヌエル族は反政府派だ」と答えたといいました。「私の人生は滅茶苦茶です」と彼女はいい、「彼がいない人生は絶望です」と付け加えました。
兵士たちは強姦するためにヌエル族の女性を探し、傷つけるだけでなく、彼女の夫にも恥をかかせ、罰を与えました。
3人の男に強姦された35歳のヌエル族の女性は男たちが「あなたの夫はヌエル族の男で、我々の敵だ」と強調したといいました。
報告書は政府軍の兵士がその他の非ディンカ族の女性と少女を強姦したと付け加えました。
クク族(Kuku)のメンバーは、7月11日にジュバのムヌキ地区(Munuki)で、14歳と17歳の彼の姉妹2人がどのように強姦されたかを詳述しました。彼は住居を略奪した兵士たちがマシャルを支援する家族を非難したと言いました。
アムネスティ・インターナショナルの調査は、国連平和維持軍の行動に深刻な欠点があることを明らかにします。
暴力への国連の対応を期待外れで不十分と批判し、新しい報告書はいかに国連平和維持軍は殺されたり、強姦されることから民間人を守れなかったかを詳述します。
ジュベル地区で政府軍兵士5人に国連基地の目前で強姦された24歳のヌエル族の女性は、国連平和維持軍と民間の警備員は攻撃をみえたはずなのに、彼女を支援するために来なかったと言ったとされます。
国連軍はテランホテルの攻撃の間に数人の女性が輪姦された間、基地からほんの1キロメートルしか離れていなかったのに介入することができませんでした。
「国連軍は民間人を守る彼らの任務に怯み、人々が殺され、強姦されたときに傍観しました」とジョアンナ・マリナーは言いました。
新しい報告書は虐待容疑の兵士を裁判にかける軍事法廷の使用を批判しました。
報告書は、民間人の計画的な殺害のような犯罪のために南スーダンで誠実な司法が慢性的に欠如していることは、こうした犯罪帯する司法権がある独立したハイブリッド法廷を迅速に確立する必要性を強調すると結論しました。
「こうした殺人と組織的な輪姦は処罰を受けなくてはなりません。南スーダン政府は、それらが迅速に、公平に、独立して調査され、これらすべての責任があると疑われる者たちを、死刑に頼らずに、公正な民間の法廷へ連れてくることを確実にしなければなりません」と報告書は言いました。
記事は一部を紹介しました。
国連の報告書と重複する部分もありますが、内容は共通している部分が少なくありません。
レイク・マシャルと彼に随行する部隊を殲滅し、同時に首都に住むヌエル族に対して暴力を振るい、ついでに国際社会に警告するためにNGO関係者も攻撃したと考えられます。ヌエル族を追い払い、国際社会にも南スーダンは自分たちの国で、余計な口を突っ込むなと警告したかったのでしょう。 それでいて、周辺国や国際社会に支援をするよう求める声明を繰り返し出すのだから、南スーダン政府は恥知らずの集団としか思えません。
この報告書が断定しているように、一連の暴力ははみ出し者が暴走したのではなく、組織的に行われているのです。
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