オスプレイが沖縄沖合に「墜落」
military.comによれば、太平洋の海兵隊当局は、MV-22オスプレイの海兵隊乗員は、航空機が日本の沖縄沖合で墜落(went down)したあと、治療を受けているといいまさした。
第三海兵遠征軍の声明によれば、乗員5人は現地時間午後10時頃にキャンプ・シュワブ(Camp Schwab)の海岸の浅瀬に降りた(landed)あとで救助されました。
第一海兵航空団第36海兵航空群の海兵隊員は嘉手納空軍基地のHH-60Gペーブ・ホークで、彼らが治療を受けたキャンプ・フォスター(Camp Foster)の海軍病院へ空輸されました。
海兵隊は事故を調査中です。
第三遠征軍当局は当初、墜落(crash)について二件のツィートを投稿しました。最初はオスプレイ事故が起きたことを認め、二番目は墜落(downed)した航空機の乗員が海軍病院へ輸送されたと報告しました。
海兵隊の航空機が日本の近くで墜落(crash)したのは一週間で二回目です。
12月7日、海兵隊のF/A-18Cホーネットが岩国沖合約120マイルで墜落(crash)しました。パイロットのジェームズ・フレデリック大尉(Capt. James Frederick)は航空機から脱出したものの墜落(crash)から生還しませんでした。
この事故について、国内メディアの多くはオスプレイが不時着を試みたと書きました。しかし、アメリカのメディアは墜落と表記しています。
引用した記事には英単語も付記しました。どこにも不時着を示す言葉「crash landing、emergency landing、forced landingなど」はありません。
第三海兵遠征軍のホームページに掲載された声明にも不時着を試みたとは書いてありません(遠征軍の該当記事はこちら)。アメリカの大半のメディアは、この声明を引用しています。
では、誰が不時着といったのかといえば、防衛省です(防衛省の該当記事はこちら)。事故についての発表の中で「不時着水」と書いています。
記者は不時着という説明に反発して、「不時着を試みて墜落した」と書いたのでしょう。
BuzzFeed Japanは次のように書いています。
BuzzFeed Newsは防衛省に取材をした。報道担当者は「アメリカ側から説明を受けた時に『不時着水』という表現を使っていたため、報道資料にもその言葉を用いた」と説明した。英語では「landing in shallow water」だという。
「landing in shallow water」を「不時着水」と訳するのが適切だと考える人はいないでしょう。先に書いたように、不時着の英語は「landing」という言葉と別の言葉を組み合わせたものです。「浅瀬に降りた」などと訳するのが適切です。防衛省は恣意的に意訳したといわれても仕方がありません。
毎日新聞によると、米軍は防衛省に「事故機は周辺海域で空中給油訓練中だった。空中給油機と事故機をつなぐ給油ホースが切れ、事故機にトラブルが生じ、飛行困難に陥った。操縦士は住宅に囲まれた普天間ではなくキャンプ・シュワブに向け飛行中に着水した」と説明したとのこと。
切れたホースがローターなどの機体にあたり、損傷したために飛行困難になったと考えられます。正確にはホースではなく、給油ドローグね先端部分が外れたと想像します。給油機から給油ドローグを伸ばし、オスプレイからは給油プローブを出して、漏斗型のドローグがパイプ型のプローブに差し込まれて燃料が送られます。プローブは機首にあり、すぐ近くにローターがあります。オスプレイは構造上、給油プローブがローターに近く、接触する可能性が高いのです。
この通りなら、オスプレイはほとんど操縦不能であったことになり、不時着水という表現は一層不適切といえます。
なお、那覇市の気象データ(21瞬時30分〜22時30分)をみると、事故当時、平均風速は秒速3〜4メートル台で、瞬間最大風速は8.5メートルでした。それほど厳しい気象条件ではありませんでした。(データはこちら)
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