アサド大統領がシリア全土を奪還すると宣言

2016.2.13


 シリア和平会議は難航しており、どのタイミングで取り上げようか迷っていました。アサド大統領の周囲の評価と本人の意向について取り上げます。

 alarabiya.netによれば、サウジアラビアのアデル・アル・ジュビア外務大臣(Foreign Minister Adel al-Jubeir)は金曜日、シリアのバシャル・アル・アサド大統領(President Bashar al-Assad)の排除はイスラム国を打倒するために重要だと言いました。

 ミュンヘンで行われた安全保障会議で、ジュビア大臣はアサド大統領はシリアをイスラム国の民兵のために肥沃な土地に変えたことで、イスラム国の創設に責任があると言いました。外務大臣は彼らをサイコパスと表現しました。

 彼はアサド大統領を「この地域で過激派とテロリストの単一の最も効果的な磁石」と呼び、彼の排除は安定を取り戻すために重要だと言いました。

 「それは我々の目的で、我々は成し遂げるでしょう」と彼は言いました。「シリアで変化が起きるまで、ダーイシュはシリアで打倒されないでしょう。以上です」。

 ジュビア大臣はロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣(Serge Lavrov)との二国間協議の後で発言しました。

 BBCによれば、アサド大統領は反乱軍から全土を奪還するつもりだと言いました。

 希なインタビューで、彼はAFPに彼に反攻するグループを打倒することは地域的な権力が関与しているため、かなりの時間がかかると言いました。世界の大国は1週間の停戦を促進することで同意しました。国連は支援物資を24時間以内にシリアの包囲された一部の地域に配送することを望むと言います。アサド大統領は和平会談に支持を表明しましたが、交渉はテロリストと戦うのを止めることを意味しないと言いました。米国務省報道官、マーク・トナー(Mark Toner)はアサド大統領は紛争に軍事的な解決があると考えるのなら、彼は惑わされていると言いました。

 ほぼ5年間の戦いで、250,000人以上が殺され、約1100万人が難民になりました。一部の都市は戦闘のために1年以上支援物資を打ち切られています。1350万人は支援が必要だと国連は言います。

 アサド大統領は、ミュンヘンで木曜日の夜遅くに合意した停戦の取り引きに先立って、木曜日にダマスカスで話しました。

 広範なインタビューで、アサド大統領は次のように言いました。

  • アレッポに対する政府軍の攻勢→トルコからの反政府軍の補給路を切るため
  • 戦争犯罪に関する国連の告発→シリア政府に対する最近の主張は政治化されている
  • ヨーロッパで亡命を求めるシリア人→ヨーロッパは内戦のためにテロリストを支援している

 彼は政府軍はいかなる躊躇もなくシリア全土を奪還するが、地域的な権力の関与が解決に長い時間をかけさせ、大きな代償を招くことを意味すると言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 こんな風にアサド本人やジュビア外務大臣の見解は食い違っていて、こんな状況で和平会議をやってもまとまるわけがありません。ある程度、話がまとまってから取り上げようと思いましたが、やはり会議は混乱しています。

 アサド大統領はロシアとイランの支援で立場がよくなり、自信を深めているようです。しかし、イスラム国の支配地域まで占領するつもりでいるのでしょうか。現実的には疑問です。

 とりあえず、会議がまったくまとまっていないことをご紹介しておきます。

 


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