中国軍が南シナ海に戦闘機を配置

2016.2.25


 military.comによれば、地域のすでに危険な緊張をさらに高めそうな動きの中、中国は戦闘機を南シナ海の競合する島、先週中国が地対空ミサイルを展開したのと同じ島に送ったと、米当局者は言いました。

 劇的なエスカレーションはジョン・ケリー国務長官(Secretary of State John Kerry)が中国の王毅外交部長(Foreign Minister Wang Yi)を国務省で応対した時に起こりました。

 王外務部長は火曜日、彼は競合する島での接近した軍用機の飛行と米海軍艦のパトロールを終わらせることを望むと言いました。

 ケリー国務長官は中国が南シナ海で競合する島の軍事化を終わらせることを望むと言いました。「我々は占領した地物の拡大と軍事化を止めることを望みます」。

 王外務部長はさらに米軍が飛行したり、パトロールするのをこれ以上見たくないと付け加えました。「我々はこれ以上、軍隊の接近した偵察やミサイル駆逐艦や戦略爆撃機を南シナ海に派遣するのを見たくありません」。

 しかし、ケリー長官は南シナ海で軍を増強することで中国を直接批判することを避けました。「いかなる干拓、建設、軍事化の一方的なステップにも従事しないことは、中国、フィリピン、ベトナムなど、すべての国のために重要です。そして、中国、ベトナム、その他の国によるステップがあることは、残念にも増加するサイクルを作り出しています」。

 過去数日間、中国軍の殲-11と殲轟7が米諜報機関により永興島(Woody Island・kmzフィアルはこちら)で確認されました。ここは先週、オバマ大統領が東南アジアの指導者10人をパーム・スプリングで応対している間に、中国がHQ-9地対空ミサイルの部隊を送ったのと同じ島です。

 ある米当局者は中国軍の軍用機の数は一桁で「10機未満」と言いました。

 王外務部長は火曜日に国防総省訪問を提案されましたが、訪問はキャンセルされました。どちらの側が訪問をキャンセルしたのかは不明です。国防総省報道官、ピーター・クック(Peter Cook)はスケジュール上の対立が会合を妨げたと言いました。

 先に北京で質問した時、王外務部長はミサイルの配置は防衛上の目的のためだと言いました。


 記事は前半部分を紹介しました。

 南シナ海への配置ということで、南沙諸島のことと勘違いしている人がいるかも知れませんが、永興島はもっと中国沿岸に近い西沙諸島にある島です。天然の島で人口島ではありません。

 地対空ミサイルの配置が防衛上の目的という王外務部長の説明は、ある意味で当たっています。射程120kmのHQ-9地対空ミサイルでは西沙諸島しか守れないのです。下の地図で黄色い円がHQ-9の射程圏内です。ここを避けて通ることはさほど難しくありません。つまり、これは配置した戦闘機を航空機の攻撃から守るための措置ということになり、その意味では防衛的といえます。しかし、戦闘機とのセットで、基地の戦闘力はかなり高まったことになります。

図は右クリックで拡大できます。

 しかし、機数が10機未満とは、これが全数だとすると、戦闘単位に満たないので奇妙に感じます。あえて十分な数を配置しないことで、軍事化していないと説明するつもりかもしれません。戦闘機を派遣しては、訓練を行い、また本土に返すというやり方です。ここには漁民も誘致して民間人も住まわせています。軍基地ではないことを説明するためかもしれません。観光も使っています。

 台湾、ベトナムと領有が競合する島なので、ここをこのように開発する点で問題はあります。アメリカとしては、どの国が問題を起こすか分からないという懸念があるので、今回は中国を名指しすることは避けているのでしょう。南シナ海の島の領有は複雑に入り乱れていて、中国だけが問題を起こしているわけではないのです。

 


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