少なすぎる補償金を国境なき医師団が批判

2016.2.29


 military.comによれば、米軍はアフガニスタンで「国境なき医師団」の病院銃撃事件の負傷者と死者に数十万ドルを払っていますが、金額が低いとの批判が出ています。

 支払額は死者1名につき6,000ドル、負傷者は3,000ドルだと犠牲者の代表者は言いました。攻撃時に病院で雇われていた職員46人(※)全員は補償金を受け取るとみられます。

 アフガン駐留米軍は「哀悼の意を表明し、140以上の家族と個人に弔慰金を支払いました」と同軍報道官、マイク・ローホーン大佐(Col. Mike Lawhorn)は言いました。彼は詳細を述べることは拒否しました。

 死者のうち、14人は病院職員で、24人は患者、14人は大半は患者の親族の介護者でした。別に27人の職員が負傷しました。

 軍の内部調査は公表されませんでした。APが入手した米軍とNATOの合同評価では、AC-130は指揮官が間違いに気がついて攻撃を中止する前に211発の銃弾を施設に30分間発射しました。アフガン当局による初期の主張に反して、報告書は病院はタリバンによって占領されておらず、敵対行動もなかったとしました。米軍の平行した調査は、編集された後で公表されるという3,000ページの報告書を生みました。彼らはそれが公表される日を提供していません。

 アフガンの医師団代表、ギルヘム・モリニエ(Guilhem Molinie)は報告書は団体と共有されていないと言いました。「我々は未だにクンドーズでその夜に何が起きたのか、まったく分かりません」。彼はグループが米軍と慰謝料について話し合い、支払額を「不合理」と言いました。彼は家族の多くが唯一の稼ぎ手を失い、金はすぐに使い果たすと言いました。「これらの金額はまったく人命損失の補償ではありません」。

 弔慰金としては、こうした少ない金額は、攻撃が生んだ死亡や負傷のための補償や賠償よりは、葬儀のような基本的な費用をまかなうに相応しいものです。アメリカは2013年の米兵によるアフガン人大量殺人のような同様の事件で死者一人に50,000ドルを払いました。金額はケースバイケースで評価されます。

 ハミド・カルザイ前大統領(President Hamid Karzai)政権は、殺された人の家族に100,000アフガニ(現在の為替レートで1,500ドル)を支払いました。アシュラフ・ガーニー大統領(President Ashraf Ghani)の事務所は情報の要請に応じませんでした。

 しかし、クンドーズ州知事報道官、アブドル・ワセ・バジル(Abdul Wase Basil)は、9月28日のタリバンの攻撃以降約3週間続いたクンドーズ市占領で影響を受けた州政府は400家族に補償金を支払ったと言いました。負傷者は20,000アフガニ(290ドル)、遺族は50,000アフガニが支払われたと、彼は言いました。

 ザビウラ・カーン(Zabiullah Khan・25歳)は看護士として働いていた病院で、爆撃で両手と片眼を失いました。彼は家族で唯一の稼ぎ手でした。「私はなぜ米政府が我々を爆撃したのか、我々は何を悪いことをしたのかを知りたいのです」「いま、我々は収入がまったくありません。アメリカ人には私に先進治療を海外で提供して欲しいのです」。

 アナヤトーラ・ハムダード(Anayatullah Hamdard)は医師の父親を失いました。彼はいま米軍との対応の代表に選ばれ、彼らがどうすればさらに補償を受けられるかについて法的なアドバイスを受けられることを望んでいます。「我々は我々を助けるために、戦争犯罪の知識を持つ誰かを必要とします」。彼らの法的オプションはアフガンに米軍駐留を管理する合意により制限されています。合意はアメリカに米軍隊員を起訴することで独占権を与えます。

 モリニエはクンドーズ事件が世界中で刑事免責の文化を促進した後、アフガン軍に責任の欠如を恐れます。戦争地域で活動するその他の慈善団体と同様に、医師団は厳しい中立方針に従い、所属を問わずに誰でも治療します。しかし、ここ数週間で、その施設はシリアとイエメンで爆撃されました。

 米軍はクンドーズで病院を再建すると申し出ました。しかしモリニエは、最優先事項は「クンドーズで起きたといわれる驚くべきエラーの連鎖、ミス、技術的失敗が再び起こらず、再び起こり得ないことを確実にすることです」と言いました。「我々が病院を運営できる基本的保証を確保することは、我々にとって病院の再建よりもはるかに重要です」。

※ 原文では「460人」ですが、病院職員として多すぎるので「46人」としました。


 記事のほぼ全体を紹介しました。

 6,000ドルは今日の為替レートで682,140円です。数ヶ月でなくなる金額です。3,000ドルは341,070円で、重傷者の治療費にはまったく足りません。アメリカ人が死んだり負傷した場合に、この金額でアメリカ人は満足するのでしょうか?。裁判をやって、もっと多くの補償を得ようとするでしょう。一体どういう評価基準で、こういう数字を出したのでしょう?。ここでケチってどうするのでしょう。アメリカの威信が傷つくとは考えないのでしょうか。少なくとも治療費くらいは全額補償したらどうでしょうか?。

 こういう問題は日本もいまから考えておかないと、自衛隊が海外で民間人を殺傷したときに慌てることになります。それは南スーダンで今日起きてもおかしくないのです。

 


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