東倉里で打ち上げ準備が進行中

2016.2.4


 北朝鮮監視サイト「38north」が東倉里で進む打ち上げ準備についてさらに報告しました。

 写真はリンク先をクリックして元記事でご覧下さい。記事の写真をクリックすると大型の写真が表示されます。

水平処理棟での活動

 最近の商用衛星写真は、西海衛星打ち上げ場(東倉里)の水平処理棟での活動が宇宙ロケットの準備を示唆し、2月8日〜24日までとした北朝鮮の発表を支持します。

 過去の打ち上げの間に、この建物は様々なロケットの機体を受け入れるのに使われました。一旦受け入れられると、それらはすべての接合をテストするために水平位置で組み立てられ、サブシステムの最終テストを実行し、発射台に据え付けるために機体を準備します。

 具体的には2月1日、9台の車両があり、その内2台はバスのようです。1月25日の車両1台だけと比較し、活動のこのレベルは2012年の過去の打ち上げに見られたそれと類似しており、打ち上げ準備を示唆します。

 近くの覆われた鉄道駅で、屋根がその中でのいかなる活動を見ることを妨げます。2月1日、屋根の北東角付近に小さな電柱(照明や通信用)が築かれました。

発射台で新しい活動はなし

 最近の写真は1月25日に最後に見られた時以来、発射台では大きな変化がないことを示します。ガントリータワーの作業足場は包まれたままで、周辺のカバーにより、その中で行われているかも知れないいかなる活動も見えません。宇宙ロケットが足場の中にすでに存在するかどうかも見ることはできません

 人員や車両は発射台や燃料・酸化剤保管庫のどこにも見えません。地下基地や固定式処理棟から様々なロケットの機体を発射台へ移動するのに使うレール搭載の移送構造物は固定式処理棟に隣接する南端にあるままです。差し迫った打ち上げを示す活動はないものの、ガントリータワーと発射台の施設は2月8日〜24日までに発表された打ち上げ期間内に発射を行う能力のある状態に見えます。

その他の主要な打ち上げ関連施設で低レベルの活動

 1月25日に比較して、最近の写真は打ち上げに関係があると思われるその他の主要施設で未だに低レベルの活動があることを示します。

  • 打ち上げ管制棟と思われる物では重要な変化がありません。建物はよい状態に見えます。この施設での活動は打ち上げ日が間近になると増加しなければなりません。
  • 北朝鮮がかつて衛星管制棟と特定した建物では活動はありません。1月25日にVIP用住居地区の2つの建物に車両5台がありました。2月1日までに、車両1台だけが存在します。この地区での拡張された車両の活動は、2012年の打ち上げの前に見られ、科学者とエンジニアがいることを意味します。
  • 1月25日と2月1日の間に、隣接するヘリポートが除雪されているにも関わらず、国家航空宇宙開発部(NADA)の講堂と考えられる物には大きな変化がありません。来賓、高官、労働者たちがこの位置から打ち上げを見ます。

垂直エンジン試験台は準備ができている模様

 先月中の垂直エンジン試験台での活動は、僅かな予告でエンジン試験がいつでも行えることを示します。1月25日と2月1日の間の垂直エンジン試験台で大きな変化はありません。レール搭載の覆いは試験台に隣接したままです。人員は見えず、エンジン試験が最近行われたとの徴候はありません。施設はいつでも試験を行う能力があるように見えます。


 記事は一部を紹介しました。

 この記事で分かるのは、恐らく、現在は機体の仮組やテストが行われているか、発射台への据え付けが始まった段階かということです。以前と違い、鉄道駅に覆いを掛け、そこに機体を保管し、さらに発射台にある処理棟で組み立て、それをレールで発射台横まで運び、ガントリークレーンで据え付けるため、作業の進展はほとんど分かりません。舞水端里だと発射台での組み立てが丸見えでした。

 最新の衛星写真を記事中の写真「Figure 1. Increased activity at the Horizontal Processing Building and rail station.」と、2015年3月15日に撮影されたGoogle Earthの写真とで比べると、ホームの大半を覆う240m長もの屋根がつけられたことが分かります。テポドン2号の全長は40mを下回り、1段機体は25m程度ですから、十分すぎるくらいの屋根をつけたことになります。下はGoogle Earthの写真です。北朝鮮は作業の進展を隠蔽するためにかなりの努力を払っていることが分かります。ここまでやると、夜間などに機体の移動を行えば、進展の大部分は隠蔽できます。

写真は右クリックで拡大できます。

  発射台のカバーがとられること。タンクローリーが燃料・酸化剤貯蔵庫に集まることが、次なる進展の徴候ですが、これも夜間や偵察衛星が通らない時間帯に活動することで、かなり隠蔽できるかもしれません徴候が見えなくても打ち上げが行われる可能性もあるということです。天候は依然として大きな変化はなく、準備さえ済んでいれば8日以降、すぐに打ち上げられる環境にあります。

 


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