韓国が北朝鮮の核爆弾小型化を否定
聯合ニュースによれば、韓国の国防部は9日、北朝鮮が弾道ミサイルに装着できるよう核弾頭を小型化したと主張していることについて、「小型化された核弾頭と(移動式の大陸間弾道ミサイル)KN08の実戦能力を確保していない」と評した。
また、「4回目の核実験とミサイル開発を受け、国連安全保障理事会の強い制裁が進められている時期に再び挑発的な威嚇を行うことは国際社会にとって容認できない挑戦」と批判した。
北朝鮮の朝鮮中央通信は同日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が核兵器研究部門の科学者や技術者らに「核弾頭を軽量化し、弾道ロケットに合わせた標準化、規格化を実現した」と述べたと報じた。朝鮮労働党機関紙、労働新聞はKN08と核弾頭の模型とみられる写真を掲載した。
元記事に新聞に掲載されたという模型の写真が載っていますので、ご覧下さい。見たところ爆縮型のプルトニウム型原爆の模型に見えますが、模型は模型であり、いくらでも制作できるため、証拠にはなりません。
当初、北朝鮮が公開したのは図面だとの報道がありました。図面なら最高機密であり、公開するはずはありません。偽情報と断定して構わない話です。模型は外観だけのもので、内部構造までは示しませんから、秘密の度合いはより小さいことになります。しかし、その大きさを明確に示し、どこまで小型化できたかを明確に露呈してしまいます。本物を公開することには強い疑問があります。
北朝鮮は現実にない物の模型を造るのが好きです。これまでも実現していないミサイルや無人攻撃機の実物大模型をパレードに出しています。民生用品でも高級品はショーウィンドウに飾るだけで買えないものがあるのです。
北朝鮮は原爆・水爆実験と称することを何度も行っていますが、それが本当に核爆弾だったと特定できるほどの証拠は出てきていません。大型の核爆弾の実現が怪しいのに、いきなり小型化に成功したとは考えにくいものがあります。金正恩の身長はシークレットブーツ込みで175cmといわれます。この核爆弾の直径は100cm程度ということになります。一気にここまでサイズを縮められるとは考えにくいのです。
90年代から脱北者の口から、北朝鮮が原爆を完成したとの情報が伝わるようになっていますが、それらはすべて「誰かから聞かされた」という伝聞情報で、核兵器開発やその周辺にいた人物の証言ではありません。北朝鮮政府が士気を維持するために、核兵器のような新兵器の開発話を国内に流すことは十分に考えられることです。第二次大戦末期、アドルフ・ヒトラーに終戦を進言しようとした将軍たちは、ヒトラーから新兵器の完成が近いといわれ、考えを翻したという話があります。決定的な兵器があるといわれると、誰もが「まだやれる」と考えます。それと同じとが北朝鮮で行われていると、私は想像しています。
テポドン2号を打ち上げ、核実験らしきものをやれば、核兵器を持ったと信じてもらえると北朝鮮は考えています。しかし、テポドン2号は低軌道への打ち上げ実験で、核ミサイルの高軌道での打ち上げはやったことがありません。さらに、弾頭を洋上に落下させ、命中精度を確認する実験はやっていません。大気圏の摩擦から核爆弾を守る再突入体の実験もやっていません。これで核ミサイルでアメリカを先制攻撃すると主張しているのです。明らかに変です。
現在進行中の韓国軍と米軍の演習「キーリゾルブ」がテポドン2号の打ち上げで規模が拡大され、金正恩の暗殺を想定した演習も行われたとあり、韓国の声明に「斬首」の文字が含められたため、北朝鮮は必死で威嚇をしようとしているのでしょう。それは彼らの恐怖心を反映しています。演習は演習に過ぎません。韓国とアメリカには北朝鮮が南進した場合の防衛計画はありますが、進行する計画はありません。なのに、脅えまくり、こうした情報戦や短距離ミサイルの発射で恐怖心を紛らわせようとしているのです。
韓国とアメリカが今回の発表を本気にしないのは、こうした理由があります。
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