南スーダン紛争がさらに不透明に

2016.3.22


 日本政府が自衛隊の南スーダン派遣隊に「宿営地の共同警備」任務を付与することを計画しているとの報道を知り、現在の南スーダンの状況を確認したところ、大きな動きがあることが分かりました。

 「The Voice of America」の記事から引用します。まず、2月13日付けの記事から。

 南スーダンの反政府派指導者、レイク・マシャル(Riek Machar)は、彼の軍隊が治安を提供するために配置されれば、首都ジュバ(Juba)に戻ると言いました。

 マシャルは南スーダンの大統領が彼を副大統領に再任した翌日、アジスアベバで記者会見を開きました。

 マシャルは記者に、彼はすぐにジュバに戻る、現在、彼は南スーダンの副大統領に再任されていると述べました。

 「この準備の中に困難があります。政府は我が軍の移動に責任を持ちませんでした」と彼は言いました。「国際社会は400人の小部分に責任を持ちました。私がジュバにいられるよう、我々は依然としてその他の人たちにこれらの軍を出来るだけ早く移動する助けを求めています。3日間以内に軍が移動されれば、私は翌日にジュバにいるでしょう」。

 南スーダンの対立する派閥は8月に統一国家の暫定政府と政府と反政府派の三権分立を求める和平協定に調印しました。和平合意は10州を設立するとしたのに、サルバ・キール大統領(President Salva Kiir)が28州にすると政治的状況を変えた後、政治的実施は遅れ、不可能に見えました。

 マシャルは週の数の問題は素早く処理されるだろうと言いました。「一旦政府が形成されれば、たとえ明日形成されようと、28州案は一時停止されます。そして1カ月以内に、我々は交渉し、合意された州の数を審理しなければなりません。失敗すれば、我々は和平合意の10州に戻ります」。

 2月25日の記事によれば、マシャルは国連事務総長潘基文(Secretary-General Ban Ki-moon)に3月にジュバに戻る準備ができていると電話で保証しました。

 インタビューでマシャルは彼は、帰還する前に和平協定で合意されたとおりに、保安の手配の第一段階が実施されるを待っていると言いました。

 潘事務総長は宜誓就任するためにいつジュバにいるのかを確かめたかったのです。マシャルは潘事務総長にキール大統領と署名した和平協定の完全な実現への支持を約束しました。彼のコメントは事務総長がキール大統領と木曜日にあった後に出されました。

 マシャルは合意はそれを実行するための資源を欠いていると、アフリカ諸国元首との最近の会合で言いました。

 「私は彼に、特に今回、統合監視評価委員会(Joint Monitoring and Evaluation Commission: JMEC)がジュバは非武装化され、1,370人の我が軍はジュバに輸送されなければならないことを私に確認し、保証したので、私はジュバに行く準備はできています」とマシャルは言いました。「だから、私は空輸が始まるのを待っているのです。空輸が完了したら、私は間違いなく彼らの後を追います」。

 マシャルは潘事務総長に、政府が形成され次第、彼は援助会議を招集し、保安合意の実行のための資金を得るのを手伝うとも言いました。「この合意には、軍隊を集め、収納するような国際的な支援を必要とするいくつもの面があります。それは兵士のためのシェルター、食糧、飲料水、医療サービスを供給することを意味します」と彼は言いました。

 マシャルは彼はまだ彼らが署名した和平協定についてキール大統領に話していないと言いました。

 彼は、彼がジュバに戻るとき、同僚、利害関係者、その他の南スーダン人と相談した後、合意の実行についてキールと相談することになるだろうと言いました。

 彼はボル(Bor)、マラカル(Malakal)、ジュバ、その他の地域に、これらの地域で暴力を終わらせるために警察を合同で派遣する必要があるとも言いました。

 一旦、和平が戻れば、合意の他の面は実行されるとマシャルは言いました。「私がジュバに戻り、政府を形成すれば、我々は討議を始めなければなりません」と彼は言いました。「私はその時までにサルバ大統領が28州案を一時停止することを望みます」「大きな活動は南スーダン国民に和平が来たことを保証します。それは政治的な安定と治安が維持されることを意味します」とマシャルは言いました。「そしていま、我々は国内難民のような問題に対処できます。それらは国連の保護センターの中にいます」。

 3月16日の記事によると、南スーダンの反政府派は将軍23人が次の月曜日に、マシャルが来る準備をするためにジュバに到着することになっていると言いました。

 マシャルは彼の軍隊と警察約3,000人が首都にいて、ボル、マラカル、ベンティーウ(Bentiu)に追加の警察官1,200人が派遣される場合にだけジュバに来るとされています。

 反政府派と政府の意見の相違は続いています。2015年8月の和平協定の実行は反政府派と政府の大統領の28州案のような問題をめぐる口論のために遅れました。彼らは停戦違反を互いに訴えもしました。

 反政府派は彼らは和平に対して真剣だと言います。反政府派報道官、ウィリアム・ガジャス・デン大佐(Colonel William Gatjiath Deng)は、将軍23人の到着は反政府派が2015年8月の和平合意の実行に関与するさななる徴候だと言いました。

 デン大佐は将軍23人を送る決定は、3カ所に反政府軍を輸送する準備があるという3カ国(米、英、ノルウェー)の決定に影響されたと言いました。

 反政府派はジュバに重火器を持っていきます。反政府派は戦車を含む重火器をジュバに持ってくると強く主張もしています。デン大佐は重火器は政府軍とのもう一つの紛争を起こすとの批判を払いのけました。彼は反政府派は南スーダン軍との過去の経験から重火器を必要とすると言いました。

 「我々はもう一つの戦争をするためにジュバに戻るのではなく、話をするために戻るのです。我々は装備を我らと共に持たなくてはなりません。戦った相手のところへ、軽機関銃を持って戻ることはできますか。これは可能性の問題ではありません」とデン大佐は言いました。

 彼は将軍23人が到着し、反政府軍が様々な基地へ輸送されたら、マシャルは1週間でジュバへ行くと言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 まとめると、キール大統領はマシャルを副大統領に指名した。米英、ノルウェーの三カ国が協力して、反政府軍を南スーダンの各地に移動させ、首都にも配置し、それが完了したらマシャルが首都に戻り、副大統領として活動するということです。今ごろ、反政府軍の将軍23人がジュバに到着する予定ですが、それはまだ報じられていません。

 どうもよく分からない話です。キール大統領は反政府軍の再配置を承知しているのでしょうか?。それをまず議論して、合意を得る必要があるのに、どうもそれらしい気配はありません。2月25日の記事ではジュバに行くのは1,370人といっているのに、3月16日の記事では、警察も含めてですが3,000人になっています。こういう重要な問題がコロコロと変わるのでは、厳密な決定があるようには見えません。

 マシャル大統領の発言は驚くほど理性的です。しかし、重火器がないと安心できないというような状況では、実態は信頼できる和平とは言い難いと考えるべきです。この政府が未来永劫、統一されたままとは考えられません。

 考えやすい展開としては、首都で反政府軍と政府軍が小競り合いを始め、それが大きな戦闘へ発展するシナリオがあります。

 陰謀を前提に考えると、マシャルはこのチャンスを使い、キール大統領の追放を図ります。密かに首都に近くに移動した部隊と、首都に派遣された部隊が合流し、クーデターを起こすというシナリオです。

 自衛隊が宿営地を共同防衛するという話は、実は政府軍と反政府軍の戦闘から宿営地を守るということです。やはり、最悪の事態を想定しなければならないと思います。当初、私は北部から反政府派が南進するシナリオを考えていました。反政府軍が首都にやって来るのは時期尚早です。もっと綿密な合意を先にまとめるべきと思います。食糧危機や石油の減産が南スーダン経済を圧迫しており、ここは休戦して、支援を受けながら、次の展開を考える。こんなところが両者の思惑でしょう。彼らの考え次第で、自衛隊の運命は天と地を行き来することになります。どれだけの日本人が、この危機を理解しているでしょうか。

 


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