アメリカは北朝鮮の核ミサイルを防げるか?

2016.3.30

 military.comが北朝鮮の弾道ミサイルに対するアメリカの防衛策について報じました。

 北朝鮮がアメリカの都市に核兵器を搭載したミサイルを発射した場合、国防総省のミサイル防衛は一定しない実験記録を克服して、米沿岸の彼方でそれを撃墜できますか?。

 アメリカはそうした現実の危機に直面したことがなく、当局者は宣伝したとおりに防衛が機能すると確信すると言うものの、国防総省は北朝鮮やその他の国がいまではなくいつかは開拓できるかもしれない潜在的な隙間を認めています。

 一つの脆弱性の可能性は敵の対抗策、あるいはデコイが長距離ミサイルにアメリカの迎撃ミサイルに間違った目標を攻撃させるデコイを含みます。

 国防総省は10年間に少なくとも840億ドルをミサイル防衛に注ぎ込み、別の33億ドルを今後5年間に単一のシステムの要素、地上配置型ミッドコース防衛「GMD」へ費やす計画です。

 その主要部分は地下サイロから打ち上げ、敵ミサイルの通り道へ宇宙空間を飛び、それを粉砕し、破壊するよう設計された迎撃ミサイル網です。

 そのシステムは最後の4回の迎撃テストのうち3回が失敗でした。

 その連続の中で唯一の成功は2014年6月の最も最近のテストでした。

 議会の監視機関、政府説明責任局(the Government Accountability Office)は金曜日、国防総省は飛行テストを通じて、最近のミサイル防衛の脅威に対して米本土を防衛できることを証明していないと言いました。

 アメリカ北方軍の指揮官、アダム・ゴートニー提督(Adm. William Gortney)は今月、議会に国はより能力のある軍隊と広範な選択肢を必要とすると言いました。

 鍵となる改善点は飛来するミサイルをより効果的に追跡する「長距離ミサイル識別」レーダーを含む作業の中にあります。

 金曜日の「いつでも米本土に致命的な打撃」で対処することを含めた北朝鮮の辛辣な弁舌は、一つには米艦軍事演習に関連があります。北朝鮮はそれを侵略のリハーサルとみなします。

 北朝鮮の核攻撃という青天の霹靂を誰も予測しませんが、北朝鮮が表面上、米本土に届く核を装備したミサイルを配備するのが近づき、脅威はより大きく現れます。

 今年すでに彼らは水素爆弾実験を成功させたと主張し、人工衛星を宇宙軌道へ投入し、アメリカをミサイルで攻撃するのに必要な再突入体のノウハウのシミュレーション実験に成功したと主張しました。

 木曜日、北朝鮮は固体燃料ロケットの実験に成功したと主張しました。これは本当なら重要な技術的前進となります。

 固体燃料の使用は打ち上げ準備時間を減らし、アメリカの防衛に警告時間を短くします。

 さらに多くのものは蓄えられているように見えます。

 国営メディアは今月早く、金正恩が核弾道爆発実験と核弾頭を運搬できる数種類の弾道ロケットの打ち上げテストを行うよう命じたと報じました。

 たとえ誇張されているとしても、北朝鮮が核兵器の分野で大きな前進を主張していることは米政府の注意をひいています。

 今週、ワシントンでの核保安サミットで州知事50人に演説する予定のバラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は、北朝鮮が核兵器とミサイル計画を追い求めることはアメリカを益々危険にさらすと言いました。

 特に心配なのは北朝鮮で開発中の長距離ミサイル、KN-08です。

 国防総省の北朝鮮に関する最新の公開レポートは、KN-08は5,470km以上の射程を持ち、大陸間弾道弾に分類されたと言います。

 ゴートニー提督はKN-08は、特に移動型兵器として配備されることが強く推測され、探知するのを難しくする車両で移動し、打ち上げられることを意味すると言いました。

 そうした機動性は、北朝鮮がアメリカの事前の打ち上げ警告システムを避け、混乱させることを可能にすると彼は言いました。

 ゴートニー提督は北朝鮮は核弾頭をKN-08 に搭載できるまでに小型化する方法を知ったかもしれないと言います。

 「KN-08はテストされていないものの、模型はそれが核兵器を米本土へ十分飛ばせるかもしれないことを示します」と、3月10日に上院委員会で言いました。

 北朝鮮の長距離ミサイルを止めるよう設計された米ミサイル防衛の部分はアラスカ州のフォート・グリーリー基地(Fort Greely)とカルフォルニア州のバンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)に配置されています。

 3年前の今月、当時の国防長官、チャック・ヘーゲル(Defense Secretary Chuck Hagel)は、国防総省がフォート・グリーリーで迎撃ミサイルの配置数を14基増やして44基に増やすと発表しました。

 その拡大の費用は、初期に10億ドルと見積もられていましたが、15億ドルまで急騰しました。

 追加の14基はまだ配置されていませんが、すべては来年末までには配置されることになっています。

 先週、アシュトン・カーター国防長官(Defense Secretary Ash Carter)は下院委員会に、国防総省がより効果的なキル・ビークルについて作業をしていると言いました。それは迎撃ミサイルの先端につけ、その内蔵システムは飛来するミサイルに向けて飛び、衝撃で破壊するのを助けます。


 記事全体を簡単に訳しました。

 迎撃ミサイルは思っている以上に進展していません。かつて、北朝鮮がテポドン2号を打ち上げると発表した際、アメリカはとりあえず、迎撃すると発表し、日本はそれに同調して、迎撃態勢をとりました。私はアメリカは必ず発表を取り下げると予測し、その通りになりました。私は別に特別なことを考えたわけではなく、当時の迎撃ミサイルの試験結果から、迎撃が失敗する可能性がかなり高く、それはアメリカの威信に打撃を与えると考えただけです。それが分からない日本政府は迎撃態勢をとるようになり、現在に至っています。この経緯を、多くの日本人は気がついていないか、忘れているでしょう。

 当時でも迎撃ミサイルの命中率は低かったのに、いまでも大して進歩していません。

 今のところ、北朝鮮の主張はハッタリと思われます。ゴートニー提督は責任者だから、一応の可能性を考え、計画を立てる立場にあり、その見地から発言しているのです。

 時間がないので、ここまでにします。


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