モスル作戦実施の見通しは遠い

2016.3.8


 military.comによれば、イラクのハイダル・アル・アバディ首相(Prime Minister Haider al-Abadi)が繰り返し誓約したにも関わらず、イラク軍はモスル(Prime Minister Haider al-Abadi)を奪還する準備をするのに、さらに数ヶ月間かかり、今年中に奪還できない可能性もあります。

 アメリカとその同盟国がモスルを奪還する手強い任務のために数千人の兵士を訓練するため激務に就くとき、イスラム国戦闘員はバグダッドと周辺で自爆攻撃の陽動作戦を行っています。彼らの狙いはすでに仕事を抱えているイラク軍にモスル作戦を準備するのではなく首都などを守るために、もっと散開させることです。それに対するイラクの答えは首都の周辺に壁を造る計画でした。

 一方で、米主導の同盟国とイラク人はイスラム国から奪還した孤立した領域を守るために苦労しています。「モスル作戦は非常に難しくなっています。それは軍隊が混合します。よく計画することを確実にすることは非常に重要です」とベレット・マッギーク特使(Brett McGurk)は土曜日に言いました。

 同盟国の報道官、クリストファー・ガーバー陸軍大佐(Army Col. Christopher Garver)はさらにはっきりと言いました。「街の中の攻撃を行う軍隊はまだ準備が整っていません」。

 同盟国によるとモスルにいるイスラム国戦闘員の人数は数千人から精々一万人の間です。イラク軍はまだ再編成に苦労しています。モスルがイスラム国に陥落したとき、数千人の兵士が逃げるために軍服を脱ぎ、武器を捨てたために、軍の3分の1以上は崩壊しました。その後数ヶ月間、数万人のイラク兵は「幽霊兵士」、彼らの給料が指揮官のポケットに入る存在しない兵士となりました。

 米主導の同盟国は訓練計画を数ヶ月後の2014年12月に開始しましたが、今のところ約7ヶ月間続いた教程で訓練されたのは兵士と治安部隊たった18,500人だけです。専門家はそうした短期集中コースが十分な準備かを疑問視します。

 同盟国とイラク当局は8〜12旅団、24,000〜36,000人がモスル奪還作戦に必要と見積もります。今のところ、2,000〜3,000人が、モスルの南東67kmに位置する、モスル奪還の足場となるマクムール基地(Makhmour)に配置されています。

 軍はマクムールとバグダッドの間の補給路を確保するために100km以上のイスラム国戦闘員を相当しなければならないと、モスル作戦の準備を担当する軍指揮官は言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 昨日書いた通り、マッギーク特使の話はリップサービスで、モスル奪還はかなり遠そうです。前から指摘しているようにイラク軍が弱すぎるのです。2003年以降、イラク軍は繰り返し米軍から訓練を受けているにも関わらず、脱走、武器の横流しが横行し、未だにまともな力を持てずにいるという訳です。この体たらくに関しては、当時、何度も当サイトで取り上げました。イラク人に自意識はないのかと言いたくなります。

 これだから戦闘能力が決して高いとはいえないイスラム国戦闘員でも戦えるのです。彼らができるのは無能な自爆攻撃くらいです。それでも、これがモスル奪還の準備を遅れさせるかもしれないのですから、話になりません。

 気を長く持って待つしかないようです。

 


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