オスプレイの救援活動は4回分の物資運搬

2016.4.19


 military.comが米海兵隊のMV-22B「オスプレイ」の熊本地震での救援活動について報じました。

 第31海兵遠征部隊に配属された第265海兵隊中型ティルトローター航空隊のティルトローター機4機は地震後の支援を提供するために日曜日にフィリピンを出発し、夜間に岩国の海兵隊航空基地へ到着しました。

 月曜日、オスプレイ2機は岩国基地を発ち、救援物資の配布ポイントの陸上自衛隊の高遊原分屯地に、水、毛布、食糧、洗面具を含めた補給品を積み込むために到着しました。

 それから、航空機は補給品を南阿蘇村の白水運動公園(kmzフィアルはこちら)へ届けました。

 航空基地へ戻る前に陸上自衛隊との協力で2時間以内に2度の移動を行い、オスプレイは全部で4回分の救援物資を届けました。

 「オスプレイは長距離任務を実行し、白水運動公園の厳しい場所に補給品を素早く届けることができ、遠隔地で準備がない地面に着陸し、必需品を届ける能力を示しました」と第31海兵遠征部隊指揮官のロミン・ダシマルチ大佐(Col. Romin Dasmalchi)は声明の中で言いました。

 オスプレイは地震に酷く襲われた地域を調べるためにも使われました。

 「2機のMV-22が地震の損害、着陸可能地を調査し、被災地に補給品を運び、状況の全般的な理解と我々が対応する必要があるものへの理解を得るために(ダシマルチ大佐と)共に行きました」と、第265航空隊のクルーチーフ、ザカリア・シュルテス伍長(Lance Cpl. Zachary Schultes)は言いました。

 「私は出て行って支援し、何かを変えることができるよう願っています」。

 第31海兵遠征部隊は、要請があれば救援活動を支援するために、さらに4機のオスプレイを沖縄の普天間海兵隊航空基地に待機させています。


 記事は一部を紹介しました。

 昨日、白水運動公園に着陸が可能かどうか疑問だと書きましたが、支障なく着陸できたようです。

 国内報道では「オスプレイが飛んだ」ばかりで、その中身を評価していません。この記事にはいくつか興味深い点があります。

 派遣されたのは4機で、昨日動いたのは2機。2回飛行して、4回分の荷物を運搬したことになります。オスプレイの輸送能力は低いことで有名で、最大重量では垂直離着陸ができません。垂直離着陸をするためには、かなり荷物を減らし、ゆっくりと飛ぶ必要があるといわれています。 沖縄タイムスによれば、運んだのはペットボトルの水2リットル計1200本や食料(ごはん・パン)、テント80張り、簡易トイレ160個で、合計20トンです。カタログデータでは最大積載量は9,070kgですから、昨日は36トン程度は運べたはずですが、実際には55%程度の力しか発揮していません。これがオスプレイの実用性能です。

 高遊原分屯地は熊本空港と同じ場所にあり、ここから白水運動公園までは20kmしかありません。オスプレイにとってこれはごく短距離です。フィリピンからの移動の方が任務としては大変だったでしょう。

 不思議なのは熊本県八代市沖に停泊しているヘリコプター搭載型護衛艦「ひゅうが」でオスプレイの燃料補給を行うことです。高遊原分屯地には補給隊もあり、ここで燃料補給ができるはずです。なぜ、さらに70kmも余計に飛んで、「ひゅうが」で補給を受ける必要があるのでしょう?。共同で活動するための実績作りですか?。ちなみに、岩国基地と南阿蘇村間の距離は約180kmです。

 オスプレイがフィリピンから移動する必要があったのは、フィリピン軍との合同演習のために派遣していたからです。このように海兵隊は常に沖縄にいるわけではありません。

 第31海兵遠征部隊指揮官ダシマルチ大佐が来たのも意外です。指揮官が来なくてもよさそうなものです。合同演習の方が重要でしょう。

 陸上自衛隊のヘリコプターでも同じことができました。これまで陸自のヘリコプターが被災地に物資を運んだニュースを見ていないのが不思議なくらいです。

 オスプレイの派遣は象徴的な意味合いと、将来の日米共同作戦のための実績作りに思えます。

 


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