熊本地震は仙台原発を破壊するのか?

2016.4.20


 changer.orgで「川内原発を止めてください。」というキャンペーンが行われています。そこに掲示されている図が不正確で非科学的だとの指摘を目にしました。

写真は右クリックで拡大できます。

 この図は熊本地震を起こした活断層が仙台原発まで続いていることを示しています。しかし実際には、活断層はつながってはいません。また、仙台原発の近くに活断層はありません。産業開発総合研究所の活断層データーベースで仙台原発付近の活断層を見ることができます。下の地図の赤丸が仙台原発です。

写真は右クリックで拡大できます。

 従って、熊本地震の影響が仙台原発に及ぶ可能性は低いという仮説が成り立つのは認められるのですが、そう断言するのも非科学的といえます。

 下の図は熊本地震の震源(マグニチュード4以上)と活断層を示していて、縮尺は上の地図と同じです。見ての通り、必ずしも活断層に沿って震源が並んでいる訳ではなく、離れた場所にも震源があることが分かります。阿蘇山の北東には活断層がまったくないのにマグニチュード4を越える震源があります。

写真は右クリックで拡大できます。

 国土地理院のサイトでは活断層について「そして『断層』のうち、特に数十万年前以降に繰り返し活動し、将来も活動すると考えられる断層のことを『活断層』と呼んでいます。」と書いています。また、「現在、日本では2千以上もの「活断層」が見つかっていますが、地下に隠れていて地表に現れていない「活断層」もたくさんあります。」とも書いています。

 つまり、つながっていない活断層がつながっていることもありえるのです。しかし、現在の原子力政策では、現に見つかっていない活断層は考慮しないため、原発を造った後に活断層が見つかることも起きています。

 実のところ、地中のことはよく分かっていません。だから、防災の観点から仙台原発を止めるという判断は否定することはできないと、私は考えます。

 事実関係はよく調べないと、とんでもない間違いをしてしまうものです。私自身、当たり前と思っていたことが、実はまったく分かっていなかったということを何度も経験しています。積極的に手を動かして確認を行い、間違いないと確認できるまでは何も信じるな。それまでは結論を出すな。これが私の人生訓になっています。

 昨日紹介した、仙台原発を止めると電力が不足し、メルトダウンが起きるといった類の「理論的に見えて非論理的な考察」をしないように、我々は注意を払うべきなのです。

 


Copyright 2006 Akishige Tanaka all rights reserved.