熊本地震でヘリコプター活用はどうなっている?
防衛省のホームページを見ると、九州地震の救難・支援活動について書かれているのですが、詳細までは分かりません。
陸上自衛隊は全部で70機のヘリコプターを保有しているとしています。輸送力の高いCH-47を多数保有する陸自ですから、これで被災地へ救援物資を空輸しているものと思われるのですが、ニュースではほとんど取り上げられません。報じられるのは、避難所によっては救援物資の不足が起きているということです。
現在は、各自治体が災害時にどこに臨時離着陸場を設けるかの計画を立てていて、学校のグラウンドなどを活用できるようになっているはずです。熊本地震では、こうした臨時離着陸場の活用をほとんど聞きません。陸上自衛隊が公表している写真にも、こうした活動を示すものが見当たらないのです。
海上自衛隊が公表した映像によると、オスプレイは護衛艦「ひゅうが」で救援物資と燃料の両方を補給しているようです。下の写真は「ひゅうが」の甲板上で海自隊員がオスプレイに物資を積み込むところを示しています。
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前にも書きましたが、高遊原分屯地で補給はできるはずなのです。高遊原分屯地は熊本空港に併設されていて、ヘリコプターや輸送機が着陸できます。当然、燃料も補給する施設があります。救援物資は高遊原分屯地にも送られているはずですから、ここで両方を積載すれば足りるはずです。
ところが、「ひゅうが」は演習でMV-22「オスプレイ」を着艦させた実績がありました。2013年6月10日から26日、カリフォルニア州で行われた統合訓練「ドーンブリッツ13」に初めて参加し、演習中にオスプレイが「ひゅうが」に着艦したことがあるのです。
おそらく、「ひゅうが」は救援物資を熊本県に運ぶためだけに出動し、最初はオスプレイを着艦させる予定はなかったのかもしれません。この艦の母港は舞鶴港ですから、関門海峡を通って、大分県沖に進出した方が、岩国から来るオスプレイに補給をしやすいのです。政府内の誰かが、米海兵隊にオスプレイを派遣させ、「ひゅうが」への着艦をさせた方が、将来的に、国民にオスプレイを慣れさせる機会になることに気がついたのかもしれません。その結果、オスプレイはあえて「ひゅうが」でも補給することになったのでしょう。
この緊急事態に、政治的意向で非効率的なことをやる防衛省、日本政府の正気を疑います。被災地にいない政府高官たちが、勝手に自分たちの都合で、被災者救援の名を借りた政治ショーをやっているのです。非常に不愉快です。
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