ロシア軍機パイロットを射殺した男が裁判へ
alarabiya.netによれば、トルコの裁判所は日曜日、トルコ軍機に撃墜された後にシリア上空で脱出したロシア人パイロットを殺害したとロシア政府に訴えられたトルコ人民兵を武器不法所持で拘留しました。
アルパルスラン・セリキ(Alparslan Celik)と他6人はエーゲ海沿いの街、イズミル(Izmir)の裁判所により再留置されました。公判期日は設定されていません。
セリキは先週、イズミルのレストランで友人と食事中に逮捕されました。警察は内部情報に基づいてカラシニコフ小銃、無線機、拳銃6丁、弾丸を押収しました。
セリキは11月24日にシリア国境でトルコ軍機が航空機を撃墜した後、地上にパラシュート降下した時、パイロットのオレグ・ペシュコフ(Oleg Peshkov)を殺したとロシアから訴えられていました。
不法武器の所持での拘留はロシア人パイロットの事件と直接の関係はありませんが、セリキの弁護士はこの動きを政治的だと直ちに非難しました。
「裁判の念頭にあるのは依頼人ではなく、愛国主義です。大きな政治的要素がここにあります」とナシ・タタック弁護士(Naci Tatac)は言いました。
民族主義者行動党「the Nationalist Movement Party」の有名な地元政治家の息子のセリキは、2014年以来、シリアのトルクメン軍について戦っています。
少数派アラブ系シリア人の一つであるトルクメン人は、現代のトルコ語に非常に近い言語を話し、ロシアの同盟であるシリア軍との戦いで信頼できる同盟です。
セリキは1月に、シリアでトルクメン民兵との戦いで殺されたトルコ人国家主義政治家の葬儀で公に姿を見せました。
ロシア大使は12月にペシュコフを撃ったとセリキを直接非難しました。
トルコ政府はロシアとのいざこざを収めたいとのサインを示す好機を迎えました。それはセリキの逮捕を関係正常化の条件の一つにしました。
記事は一部を紹介しました。
記事に書いてあるとおり、トルコ政府からロシア政府へのサインですね。しかし、パイロット殺害では逮捕せず、比較的軽い処罰で済ませることになるのでしょう。普通なら自分の味方の民兵をこういう理由では逮捕しません。
ロシアの派兵が終わったタイミングを狙っての動きと思われます。
問題はロシアがなんと言うかですね。ロシアは表向きはなにも言わず、目立たない分野から関係改善を図るかも知れません。
セリキがペシュコフを殺した状況については詳細が分かりません。着地した後に撃ったのか、滞空中だったのかも不明です。本人が撃ったと述べているので事実だと考えられています。彼はペシュコフは自分たちを爆撃していたと主張しますが、ミサイルが命中してから墜落するまでの距離を考えたら、彼がペシュコフが爆撃を行ったと特定した訳はなく、単に自分たちを攻撃するロシア人だから報復したのだと考えられます。
パラシュート降下中のパイロットを攻撃することが合法的な戦闘行為かは議論があるでしょう。類似する事例に、太平洋戦争中、洋上を漂流中の米パイロットを日本軍が攻撃した事件がありますし、同じことを米軍パイロットがやったとの情報もあります。パイロットが地上にいて、降伏の意思を示しているのに攻撃したら、明確な国際法違反ですが、こういうグレーゾーンの判断について判例などがあるのかが気になっています。
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