イスラム国がヒート市内で激しい抵抗

2016.4.6


 military.comによれば、ヒート(Hit・kmzファイルはこちら)中心部へ前進するイラク軍は激しい抵抗に遭っています。

 火曜日、前日にヒートに入った後、沢山のIED、自動車爆弾、重迫撃砲が、前進するイラク軍をほとんど停止するまでに速度を落とさせています。

 イラク軍は月曜日、激しい爆撃の下で、街を奪還する作戦を開始してから1週間後にヒートに入りました。多数の民間人が戦闘で市内に閉じ込められ始めたため、彼らの前進は速度が落ちました。バグダッドでの政治危機と悪天候がさらに前進を遅めました。

 作戦を指揮するイラク人指揮官は火曜日、反撃とIEDを除去する工兵チームの不足が前進を遅めていると言いました。

 「専門の工兵がもっといれば、我々はこの状況にはないでしょう」と対テロリズム部隊指揮官、アブデル・ガーニ・アル・アサディ大将(Gen. Abdel Ghani al-Asadi)は言いました。

 フシャム・アル・ジャブリ大将(Gen. Husham al-Jabri)は対テロ部隊は火曜日朝に北からヒートに前進したら迫撃砲の集中砲火と一連の自動車爆弾の攻撃を受けたと言いました。彼は犠牲者の数は言いませんでした。

 「我々の前進速度は直面する抵抗次第です」とジャブリ大将は言い、犠牲者を最低レベルに保ちたいと付け加えました。

 ヒート南端の仮設の基地で、最前線のイラク兵は携帯無線機で指揮官が「迫撃砲が雨のように降っている」と言うのを聞くことができました。

 対テロ部隊は国内で最も能力のある地上部隊ですが、未だに地域を掃討するために米主導の同盟国の空爆に大きく依存しています。

 アサディ大将は激しい抵抗と遅い進展には驚かないと言いました。

 「幹線道路すべてに爆発物が仕掛けられています」とアサディ大将は言い、地域で爆発物除去をしなければならない3つの小さな工兵チームは爆弾の密度に対処するのにまったく不十分だと説明しました。

 過去5日間に、イラク軍が使う装甲ブルドーザー2台がIEDの爆発で使用不能になりました。

 「爆弾が仕掛けられていないのは空だけです」とアル・アサディ大将は言いました。

 日曜日、彼らが街の北端に入った時、ロケット攻撃がイラク兵2人を殺し、4人を負傷させました。金曜日以降、10回以上の自動車爆弾の攻撃があったとアル・ジャブリ大将は言いました。

 「自動車爆弾接近。300メートル。以上」とイラク人前線航空管制官が同盟国のオーストラリア軍に無線で連絡しました。同盟軍は約50km離れたハバニヤ(Habaniyah)空軍基地で自動車爆弾が接近する通りを特定するコードネームを使って確認しました。しばらくして、上空にいる航空機から発射されたミサイルが前進中のイラク軍に達する前に自動車爆弾を破壊しました。

 火曜日、街の北端で家族たちが戦いを逃れ続けました。イラク軍はイスラム国戦闘員は人々が逃げるのを思いとどまらせるために、月曜日の夜、逃げる民間人を撃ち始めました。

 男たちは難民キャンプへ移動を許される前に尋問のために女性子供から引き離されました。イラク軍は、12月にイラク軍が初めてラマディ(Ramadi)の一部を奪還して以来、1,500人以上の男がイスラム国のメンバーである容疑で逮捕されたと言います。

 「これはすべてあなたたちのせいで起きたの!」と、暴力を逃れた男性で一杯のトラックに叫びました。「あなたたちが彼らを街に定住させ、彼らは私たちを代償を払うために置き去りにしただけ」と彼女は口汚く叫び、彼女の幼児の1人を抱きしめました。
 
 長らく主流から外されたスンニ派の多くと同じく、ヒートの多くの民間人は最初、シーア派政府の代替としてイスラム国戦闘員を歓迎しました。

 しかし、イスラム国の統治が政府の行政サービスの欠如、無作為の暴力、増加する食料と飲料水の入手をもたらすと、過激派の統治に憤慨し始めました。

 「あなたたちは、もはや男と思えない」と女性は街の外れから避難させられるためにトラックによじ登る前に叫びました。「子どもたちの方がマシよ!」。


 記事は一部を紹介しました。

 昨日紹介したように、市街に入れば抵抗に遭うのは織り込み済みですから、あまり慌てる必要はありません。

 イラク軍の作戦がわずかに見えてきました。南端には仮設ながら基地があるようです。街に北から侵入したということは、南側を包囲した上で、ユーフラテス川北岸の街に侵入したのでしょう。北側の市街を占領したら、南側の占領に取りかかるのだと考えられます。

 イスラム国の戦術は相変わらず自爆攻撃です。頭数が尽きたら終わりです。イスラム国はあまり多数がいるように思えませんから、割と早くに占領できそうに思えます。迫撃砲も考えなしに撃てば、早々に弾がなくなります。

 アメリカの民間軍事会社「Sterling Global Operations Inc,」が爆発物除去とイラク人訓練のためにラマディにいるという、alarabiya.netの記事もありますが、彼らは戦闘地域には出ないのでしょう。

 イラク人女性の叫びは日本人には理解しにくいイラク人の政治意識を示しています。シーア派政府が気に入らないから外部の武装勢力が定住するのを認めるなんて、日本人には考えられません。今まで不思議に思っていましたが、同じように考える人がいたのを知り、安堵しました。

 


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