スーダンにクラスター爆弾が確認される

2016.4.7


 alarabiya.netによれば、国連制裁監視者は最新の報告書で、反政府グループが違法な金鉱山から現金を得ている一方で、国連の武器禁輸に違反して、紛争で荒廃したスーダンのダルフール地域(Darfur)にクラスター爆弾が存在することを確認しました。

 国連安保理のダルフール専門家委員会は、スーダンの空軍が最近、ヌラーヤ前進作戦基地(the Nyala Forward Operation Base)にクラスター爆弾RBK-500がある証拠を得たと言いました。

 「スーダンはクラスター爆弾禁止条約に署名していませんが、過去にクラスター爆弾を所有することも、使うことも否定しています」と委員会は報告書で言いました。

 クラスター爆弾は空中で爆発し、踏んだり拾い上げると起爆する小さな子爆弾を広範な地域にばらまきます。

 委員会がクラスター爆弾を目撃したことは、国連の地雷活動サービスのスーダン空軍がRBK-500を使ったという調査結果を裏づけます。

 委員会は金密輸に関する懸念も引き起こしました。

 スーダン政府とつながるロシア政府は委員会の報告に不満を抱いていました。

 ロシアのピョートル・イリイチョフ副国連大使(Deputy UN Ambassador Petr Iliichev)は、「専門家は彼らが必要とされているように振る舞わない」であるためロシアは報告書を公表する事に反対だと言いました。

 国連安保理制裁委員会は報告書を公表するために全会一致で同意しなければなりません。

 専門家は2010〜2014年の間に、約48,000kgの金がダルフールからアラブ首長国連邦へ密輸されたかもしれず、こうした輸出レベルはこの時期にダルフールの武装グループへの追加収入1億2,300万ドルと同じだと言いました。

 専門家は2015年6月にジェベル・アミル金鉱山(Jebel Amir)を訪問し、アバラ族の民兵(Abbala)が少なくとも400の鉱山を支配していることを確信したと言いました。

 彼らはこのグループが採鉱者への課税、ビジネスの支援、金の試掘と違法な輸出で年間5,400万ドルを稼ぐと言いました。

 委員会は南スーダンは、ダルフールの反政府グループ「正義と平等運動(the Justice and Equality Movement: JEM)」を南スーダンの領域で訓練することを止めず、それがダルフールへ武器を運ぶのを防がず、制裁に違反したと言いました。

 専門家は南スーダン政府は明らかに正義と平等運動の存在を知っており、そのために制裁に違反したと言いました。

 ダルフール紛争は2003年に、主に非アラブの部族がアラブ諸国が主導する政府に対して武器を取った時に始まりました。

 国連は最高300,000人が死亡し、数百万人が国内で難民となっていると言います。


 RBK-500はロシア製の武器で、そのためにロシアの副国連大使が報告書の公表に反対しているのです。安保理でロシアが反対して公表できなくなることが明らかなので、委員会はマスコミにリークしてしまったというわけです。

 さらに気になるのは、南スーダン政府が正義と平等運動を支援することで、彼らから金を得ていると考えられることです。国連の制裁に背きながら、国連の支援を受けるとは、実にしたたかです。自衛隊はこんな政府を支援していることになります。日本政府はこの事実を知っても、自衛隊を撤退させようとはしないでしょう。多分、派遣部隊に犠牲者が出た方が、政府には都合がよいのです。中途半端な派遣だったから被害が出た。もっと強力な部隊を派遣しなければダメだと言えば、国民は納得すると考えているのかもしれません。

 血で血を洗うような紛争の地に自衛隊が派遣されています。何が起きてもまったく不思議はありません。到底容認できる状態ではないのに、日本国民は何も知らされないままです。

 


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