クンドーズ誤爆事件の兵士の処分

2016.5.1


 military.comがアフガニスタンのクンドーズで国境なき医師団の病院を誤爆した事件で、兵士が裁判にかけられない理由などが報じられました。

 中央軍指揮官、ジョセフ・ボテル陸軍大将(Army Gen. Joseph Votel)は、攻撃を要請した現場の米特殊部隊とガンシップの乗員について「彼らは正しいことをしようとしていました」としながら、人的エラーと装備の故障の組み合わせは誤った攻撃目標に対する砲とガトリング砲の30分間の砲撃の雨を放つ結果となったと言いました。

 法律顧問との討議の後、ボテル大将はこれが意図的でなかった事実、意図的ではない行動は戦争犯罪(潜在的に軍事裁判となる犯罪)と考えられる領域から外れさせます」と言いました。

 「広範な調査はこの悲劇的な事件が人的エラー、プロセスと機材の故障による悪化の組み合わせが引き起こしたと結論しました」とボテルは言いました。

 当時のアフガン駐留米軍指揮官、ジョン・キャンベル陸軍大将(Army Gen. John Campbell)は、11月に「特定の人物が交戦規定と武力紛争法に適合できなかった」ことを見出しましたが、中央軍の調査はこれらの失敗が戦争犯罪に達すると結論しませんでした。

 調査は「戦争犯罪のラベルは一般的に意図的な行為のために予定されていますが、医療施設を攻撃していると知っている隊員はいませんでした」としました。

 ボテルは地上部隊と空軍隊員合計16人、将官を含む指揮系統上の他の者たちが懲罰のために選び出されたと言いました。

 彼は16人の名前は保安上の理由で公表されていないと言いました。

 将官は停職となり、アフガニスタンから出るよう命じられたと考えられています。

 6人はカウンセリングに送られ、7人は戒告状を出され、2人は再訓練を命じられました。

 ボテルは懲戒処分は、昇進と出世の拒否、軍からの潜在的分離を含めて経歴に厳しい影響をもたらすことができると言いました。

 オバマ大統領(President Obama)は昨年、アフガン人に攻撃について謝罪し、ボテルはアメリカが死者42人と128人と見積もられる負傷者の家族に、死者一人に6,000ドル、負傷者一人に3,000ドルの総額約252,000ドルの見舞金を払ったと言いました。

 ボテルはアメリカは新しい病院を建設するために570万ドルを注ぎ込む用意ができているとも言いました。

 キャンベルの後継者、ジョン・ニコルソン大将(Gen. John Nicholson)は、3月に着任した直後、犠牲者の家族と会い、個人的な謝罪を行いました。

 調査に対応して、国境なき医師団は「攻撃から7カ月経って多くの疑問が残っているままです」と言い、国際事実調査委員会による独立調査の要請を更新しました。

 ジュネーブ条約追加議定書の下で1991年に設置された委員会は、関係するすべての者が調査結果を順守する場合だけ調査を行えます。

 医師団当局は木曜日にボテルが彼らに2時間かけて調査結果を説明したと言いましたが、彼らはまだ3000ページの報告書を評価する時間がありませんでした。

 中央軍の調査はウィリアム・ヒックマン陸軍少将(Maj. Gen. William Hickman)、補佐はロバート・アームフィールド空軍准将(Brig. Gen. Robert Armfield)とショーン・ジェンキンズ陸軍准将(Brig. Gen. Sean Jenkins)でした。

 3人の将軍は客観的な展望を提供するためにアフガン外から連れてこられました」と調査報告書は言いました。

 将軍たちは1ダース以上の専門家によって援助を受けました。

 タリバンが支配する建物への空爆の初期要請はアフガン軍から来て、AC-130Uを誘導する統合末端攻撃統制官(JTAC)を含む特殊部隊チームにより支持されました。

 医師団の病院はアメリカの攻撃不許可リストに載っていましたが、任務の緊急性のために、AC-130Uは計画よりも69分早くに離陸し、乗員は十分な準備をしませんでした。

 「クンドーズへ向かう間、AC-130の重要な通信システムの一つが故障し、複数の司令部へ更新を受け取り、情報を転送することができなくなりました」。

 ボテルは、クンドーズへ向かう間に、ガンシップは携帯型ミサイルによる攻撃を受け、地上の攻撃目標の位置を見つける減損させられる回避行動をとらされたと言いました。

 「これらの要因はすべて事件に関係しました」と調査は言いました。


 記事は一部を紹介しました。

 目新しい情報があると思って読んだのですが、多くは既知の事実のままでした。

 兵士の処分の詳細、国境なき医師団が国際事実調査委員会への依頼を更新したこと。中央軍から報告を受けたこと。ガンシップがクンドーズへ向かう途中で攻撃を受けたことくらいが注意をひきます。

 ガンシップが携帯型ミサイルの射程内を飛んだこと自体が疑問ですが、それで機器が故障することに驚きました。

 それでも攻撃禁止のリストが現場で軽視されていて、緊急時には全員がそれを忘れていることに軍隊という組織の特徴が現れていると思います。軍隊は攻撃するための組織で、何かを守るための組織ではないということです。攻撃により、結果的に保護対象を守りますが、その手段は常に攻撃です。この事件はそれを改めて思い出させます。

 


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