軍事評論家・神浦元彰氏が死去
軍事評論家の神浦元彰氏が5月4日に亡くなっていたことを昨日知らされました。
氏はホームページを去年の6月1日から更新しておらず、ツィッターも最近更新されていませんでした。どうされているのか、私は心配していました。
私が高校生の時、書店で見つけた神浦氏の『日本の最も危険な日』(青春出版社)は、私の軍事分析の基本的な考え方を確立するきっかけになりました。
いわゆる軍事専門家の言うことを信じなくなったのも、この本がきっかけだったかも。マスコミに登場する軍事専門家は、日本政府の仕事を引き受けていて、政府寄りの発言しかしない人。ただの軍事オタク。専門家とはいえないけど、テレビ局が番組に出すためにそう名付けた人がほとんどです。
そういう中で、神浦さんはどちらにも偏らない意見を披露することで知られていました。私は総合的な見地から判断することを神浦氏の評論から学びました。これを基にして、私は軍事分析の手法を独自に発展させていくことになりました。いまは軍事分析では、なにより事実にこだわるのが重要だと思っています。
神浦氏がホームページを開設したと聞き、私は定期的にそこへ投稿するようになり、それは私自分のホームページを開設するきっかけになりました。
自衛隊のイラク派遣が議論されていた2003年11月23日(日曜日)に、私は神浦氏に札幌に来て頂き、「これでいいのか!自衛隊のイラク派遣」というテーマで講演会を行ってもらいました。組織の後援のない、単純に私個人が思いついた企画でした。参加者は42名と低調でしたが、毎日新聞などに掲載されました。(関連ページはこちら)
2004年9月11日には、ドキュメンタリー映画『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元米国防長官の告白』を六本木ヴァージンシネマで神浦氏と一緒に観賞しようというイベントもやりました。
私はいつも思うのですが、人が亡くなった時に悲しむべきではありません。寂しさはありますが、残された者たちはそれを乗り越えて先へ進むべきものだと思っています。
神浦氏がいなくなったことで、バランスがとれた軍事評論の量は確実に減ります。それが悪い結果を招かないように、氏の意志を知る者たちは力を尽くさなければならないと思います。
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