女性パイロットの遺灰がアーリントンへ
military.comによれば、米上院は「WASP」として知られる第2次世界大戦中の女性パイロットをアーリントン国立軍人墓地に安置し続ける法案を可決しました。
火曜日の発声投票で、上院は共和党と民主党から支持を得た法案を可決しました。
WASPは「Women Airforce Service Pilots」と呼ばれた部隊で勤務しました。
彼女たちは男性パイロットを戦闘に出すために非戦闘任務で飛びました。
戦時中、女性たちは民間人とみなされていました。
1977年までに、連邦法は彼女たちに退役軍人の身分を与えました。
彼女たちには2020年以降、遺灰を軍の名誉と共にアーリントン墓地に安置される資格がありました。
しかし昨年、陸軍はWASPは安置されるべきではないと裁定し、適格性を取り消しました。
法案はこの決定を翻させます。
法案は現在、最終的な検討のために下院へ向かいます。
当時、ソ連でも女性が工場から戦場まで戦車を操縦して運んだと聞きますが、アメリカにも似たような動きがあったようです。
皮肉ですが、第2次世界大戦はアメリカの女性に社会活動に参加し、自分で給料をもらうきっかけを与えました。夫に養われるだけの存在ではなくなり、それが戦後のウーマンリブ運動の元となりました。
WASPについて調べてみましたが、35年間も記録が封印されたため、その存在を知る者はほとんどいなかったようです。しかし、特に理由がないように思われるのに、なぜ秘密にされたのかが分かりません。WASPは国内で軍用機の移動を担っていたはずですが、それが秘密にされる必要があるとは思えません。
1975年に、WASPは第2次世界大戦の退役軍人の地位を勝ち取るために議会に働きかけました。1977年にようやく記録が公開されました。ジミー・カーター大統領はWASPに正式に軍隊としての地位に与えました。1984年、WASPは第二次世界大戦戦勝記念勲章(the World War II Victory Medal)を授与されました。1年以上勤務した人は、大戦中の軍務に対してアメリカ戦域章(American Theater Ribbon)、アメリカ戦役章(American Campaign Medal)も与えられました。勲章の多くは受取人の息子や娘が代理で受け取りました。2009年、バラク・オバマ大統領と議会は、WASPに議会名誉黄金勲章(the Congressional Gold Medal)を与えました。
という訳で、流れはWASPの功績を認める方向にあるので、アーリントン墓地への埋葬も問題なく実現するでしょう。
アーリントン墓地は唯一、陸軍が管理する軍人墓地で、明文化された埋葬規定があり、一定の功績がある人だけに資格が与えられます。墓石型の墓地だけでなく、地下墓地もあり、そこに骨壺を安置できるようになっています。
陸軍がアーリントン墓地への埋葬を拒否した理由は分かりませんが、埋葬規定に合致しないと言うことなのでしょうか。また、遺灰が多く残っていた点も理由は分かりません。彼女たちは、いつかはアーリントンへ埋葬されることを願って、土葬にしなかったのでしょうか?。
日本では戦争が終わると、当時のことは頓着しなくなる傾向があり、依然として海外に戦没者の遺骨が散在しています。アメリカでは、戦中の功績を再評価したり、差別的取扱いを改める動きは珍しくありません。
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