シリア東部では退却も、北部では押収物多数

2016.6.30


 military.comによれば、水曜日にイスラム国は、アメリカが支援するシリア反政府派が「カリフ」を二分しようとして、シリア・イラク国境の街を占領しようとした攻勢を断念させた反撃で反発力を示しました。

 穏健派のシリア反政府派を訓練し、装備するアメリカの活動へのもう一つの打撃で、イスラム国による攻撃は、イラクのアル・カイム(al-Qaim)の国境を超えたところにあるアル・ブカマル(al-Boukamal)を占領しようとする新シリア軍(New Syrian Army)の努力を打ち破りました。

 新シリア軍は退却させられ、砂漠で再編成をしていたと伝えられます。

 新シリア軍の報道官、ムザヘム・アル・サロム(Muzahem al Saloum)は、「我々は遠くの砂漠へ撤退し、作戦の最初の段階は終わりました」と言いました。

 「ニュースはよくありません」ともう一つの反政府派筋はいいました。

 「私は我々の兵士が窮地に陥り、多くの犠牲者を出し、何人かの戦闘員が捕虜になり、武器も奪われました」。

 人権団体「The Syrian Observatory for Human Rights」も新シリア軍がアル・ブカマルから撤退したと報告しました。

 イスラム国につながるアマク通信社(The Amaq news agency)は、イスラム国の戦闘員も近くのハムダン空軍基地(Hamdan)から、人質15人と弾薬を奪って反政府派を追い出したと言いました。

 アル・ブカマルはイスラム国のイラクとシリアの支部間の最後の補給・通信ルートと考えられていました。

 水曜日の早い段階で、バグダッドでの記者会見でクリス・ガーバー大佐(Col. Chris Garver)は新シリア軍が米軍の空爆の支援を受けてアル・ブカマルへ着実に前進していると言いました。

 シリア北部のマンビジ(Manbij)では、シリア・アラブ合同軍(SAC)が主要なトンネル施設の入口を占領し、大領の書類、携帯電話、ハードディスクを押収したとガーバー大佐は言いました。

 しかし、イスラム国の防衛者たちはマンビジを占領しようとする努力を鈍化させようとして、シリア・アラブ合同軍に厳しい戦いを与えていると、ガーバー大佐は言いました。

 「ファルージャでのイスラム国の抵抗は、我々がラマディで見たものほど堅固ではありませんでした」とガーバー大佐は言いました。

 alarabiya.netもマンビジでの捕獲物について報じ、書類1万点以上、テキストブック、宣伝ポスター、携帯電話、ラップトップ、地図、デジタル記憶装置を押収したとしています。


 記事は一部を紹介しました。

 退却の話であっても、これは重大問題ではありません。この程度のやり取りはあるものです。反政府派は攻略を放棄したのではなく、砂漠に後退して、再編成し、もう一度攻撃を仕掛けるのです。米軍の空爆が支援していますから、時間の問題でしょう。ここを占領し、シリアとイラクの連絡網が切れれば、かなりの打撃になります。

 マンビジでは、トンネルの入口を占領したということですが、これはイスラム国が地下道のネットワークを構築していたことを示します。日本軍も得意だった戦術ですが、トンネルは最後の砦なので、マンビジの陥落は確実です。反政府軍はトンネルの中にガソリンを流し込んで放火したり、火炎放射器があれば使うでしょう。

 情報を多数残していたのは、イスラム国もお粗末です。これらはイスラム国の組織解析のために使われます。

 


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