アフリカ連合などがキール大統領包囲網を形成中

2016.7.20


 sudantribune.comによれば、サルバ・キール大統領(President Salva Kiir)が指導する南スーダン政府は、隣国ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領(President Uhuru Kenyatta)と彼の政府が、ジュバ(Juba)に治安を提供し、国の平和を回復すべく、現在の国連平和維持軍に参加するため追加の軍隊を派遣する提案を支持する立場を取ったことを「残念」と言いました。

 一方で、レイク・マシャル第一副大統領が指導するSPLM-IOは、ケニア大統領の立場を歓迎し、南スーダン国民と地域の平和と安全のために好ましいと言いました。

 ケニヤッタ大統領は潘基文国連事務総長との最近の会談で、彼の国を含めたこの地域は、数百人を殺した先週のジュバでの暴力の結果として、指導層と脆弱な民間人に保護を与えるために、緊急に南スーダン国連派遣団(UNMISS)へさらなる兵士を提供するべきだと言いました。

 ケニヤッタ大統領は彼の国とこの地域の国々は、南スーダンに平和と安全を回復するために連帯的に対応をとると言い、この国は再び転落していると言いました。

 「我々はすべて南スーダンでの出来事を悲しみと共に見ています。我々の最も若い兄弟国はまたしても分断と暴力へ転落しました。平和を回復し、永久的に回復することは、我々の、我々すべての、特にこの地域の国々の責任です」とケニヤッタ大統領は言いました。

 「明らかにしておきたい。この地域の我々の仲間の国々は、ここの平和と安全に一義的な責任があります。しかし、その責任は連帯的でもあり、我々すべてが平和のために慎重に考察し、賢明に活動しなければなりません」と彼は付け加えました。

 ケニヤの指導者は国連安保理に暴力に転じた者を分離できるように、南スーダンが建設したインフラを保護できるように、和平を実施できるように、UNMISSの委任事項を修正するようにも主張しました。これは連帯責任手段というものです」。

 政府間開発機構(IGAD)、アフリカ連盟(AU)、国連安保理はすべて和平を回復するために、ジュバに追加の兵士を送ることに同意しています。

 IGADのマボウブ・マーリム(Mahboub Maalim)は3点のアプローチを提案しました。

 「第一に、南スーダンへ即時武器禁輸を行います。第二に、和平を台無しにするために活動する指導者と指揮官を狙いを定めた追加の制裁を行います。第三に、UNMISSを強化します」とIGAD事務局長は言いました。

 エチオピア、ケニヤ、ルワンダ、スーダン、ウガンダからなる5カ国の参謀長は、同じUNMISSの委任事項の下で、この地域からUNMISSの兵士を増強する提案をしました。

 しかし、南スーダンのマーチン・エリア・ロムロ官房大臣(Martin Elia Lomuro)は月曜日に、ケニヤッタ大統領とケニヤ政府が南スーダンへ追加の外国軍を派遣することを支持すると決めたのは残念だと言いました。

 「問題はもうひとつの問題によっては解決しないため、この提案は機能しません。この考え方は残念です。ケニヤ政府はこれよりもよいことをすべきでした」とマーチンは言いました。

 キール派のロムロ大臣は、南スーダンへ一兵たりとも派遣されることを認めないという大統領のコメントを繰り返しました。

 ケニヤ、エチオピア、ルワンダの兵士は、ジュバ国際空港を含めた必須のインフラを管理するために、すぐにジュバに展開することになっています。

 兵士たちは暴力行為を始めたり、民間人に脅威を及ぼしたり、和平合意の実行を妨げるすべての派閥に対して、武力行使を含めた、より強力な命令を与えられることになっています。

 sudantribune.comによれば、アメリカは南スーダンを不安定化することを狙う、いかなる軍事攻撃も行わないものの、この国の大使館を支援するために小規模な派遣団だけを送るといいました。

 先週金曜日、バラク・オバマ大統領(President Barack Obama)は、米政府は戦闘用装備を持つ最大200人の兵士を、ジュバの米国民とウガンダ軍が配置された大使館を守るために南スーダンへ送ると発表しました。


 記事は一部を紹介しました。

 UNMISSは表向き、紛争中の両者に平等な立場を貫きますが、すでにキール派への圧力をかける構えを見せています。

 特に「和平を台無しにするために活動する指導者と指揮官を狙いを定めた追加の制裁」は、明らかにキール派に対していわれていることです。もちろん、国連ヘリを撃墜したのはマシャル派とみられていますから、すべてキール派が問題だとは考えられません。

 今後、事実関係の把握のために、両者から言い分を聞くのでしょうが、これまでの経緯を見ても、マシャル派からの情報が圧倒的に多く、理解できるものであるため、キール派は国際機構に対しても大した説明はできそうにありません。結論が出たときに、彼らがどう出るかが問題です。

 南スーダン軍の兵数は2013年に21万人とされましたが、2015年には15万人に減っています。反政府派が分裂した結果、減ったのだと思われます。主力戦車は T-72が110両。12,000人の軽装備の国連部隊では圧力のかけようがありません。追加で派遣される地域の軍隊の兵数はいまのところ分かっていません。

 新しく国連部隊が展開する以上、近い将来、キール派が我慢ができなくなり、動き出すはずです。国連部隊がいれば、自分たちの動きが取れません。国際機構からの批判、反政府派の掃討ができないという苛立ちから、武力で圧力を跳ね返そうとする可能性は十分にあります。

 こうなると、部外者である日本人には、満足な支援ができるはずもなく、自衛隊が現地にいても大きな意味はなくなります。言語も分からないし、いつ戦闘が再発するか分からない状況で、支援活動はできません。すでに地域の軍隊へバトンタッチして帰国して構わない状態ができあがっているのです。より人種が近い人たちにまかせる方がうまく行くでしょう。これを引き揚げるための好機と見るべきです。

 こういう判断を外務省がやれるのか、甚だ疑問です。そもそも認識していないと想像します。

 


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