活動グループが全面戦争の危険を指摘
sudantribune.comによれば、南スーダンのサルバ・キール大統領(Salva Kiir)が反対勢力の指導者レイク・マシャル(Riek Machar)を排除して、タバン・デン・ガイ(Taban Deng Gai)を第一副大統領に指名したことは全面戦争に火をつける可能性があると、活動グループが月曜日に報告しました。
活動グループ「Enough Project」の設立ディレクター、ジョン・プレンダギャスト(John Prendergast)は「この動きは南スーダンのゆっくりとした政治的自殺におけるもう一つの目印を意味します」といいました。
「全面戦争に近づく南スーダンのステップを不要に進め、対話のためのもう一つの扉を閉じ、南スーダン政府と反対勢力SPLA-IOによって支持される民主主義のプロセスを踏みにじります」と彼は付け加えました。
「the Enough Project」の政策副ディレクター、ブライアン・アデバ(Brian Adeba)は、もしキール大統領が元反政府指導者を追い出して、彼をガイと置き換えるならば、草の根の支持がないエリート層の一部となることを証明し、それは和平協定を弱体化させるといいました。
「南スーダンの指導者たちが和平合意を実行し、さらに暴力と不安定化をもたらす排他的な権力争いを許さないことは責務です」と彼は観察しました。
南スーダンの和平合意によれば、各派閥はそれぞれの大臣を指名したり取り下げたりできます。
記事は一部を紹介しました。これまでに報道されたことも含まれていて、それらは省略しました。
日本政府が「現地は平穏」と言い続けている国の実態がこれです。「政治的自殺」という末期的症状が活動グループから出たのです。「Enough Project」はアフリカに平和と正義をもたらすために活動するグループです。そこが全面戦争の危機を宣言したのです。
日本政府はPKO五原則が成り立っていないと自衛隊を国連平和維持活動に派遣できません。その一つ「和平合意の成立」が崩れると撤退しなければならないので、それをしたくない政府は和平が崩れていないと嘘を言うしかないのです。もはや歌謡曲「三年目の浮気」みたいな話になっています。PKO五原則は以下のとおり。
- 紛争当事者の間で停戦合意が成立していること
- 当該平和維持隊が活動する地域の属する国を含む紛争当事者が当該平和維持隊の活動及び当該平和維持隊へのわが国の参加に同意していること。
- 当該平和維持隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的立場を厳守すること。
- 上記の基本方針のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、我が国から参加した部隊は、撤収することが出来ること。
- 武器の使用は、要員の生命等の防護のために必要な最小限のものに限られること。
「法律があるのだから日本政府が戦争を拡大させることなどあり得ない」と素直に信じ込む日本人が多いのですが、南スーダンにおいては当初の見積もりは狂っています。2011年、与党だった民主党(野田佳彦内閣)は国連からの要請を受けて、現地調査を行い、一川保夫防衛大臣が指揮して派遣団を送ることを決めました。その背後には外務相があって、能のない民主党が外務省が敷いた線路に乗ったのが真相と思われます。防衛省からは疑問の声が出たと聞きます。
「中立的立場を厳守」についても、国連部隊はキール派とマシャル派の両方から、相手を支援していると批判され続けてきました。双方が相手を憎んでいるため、間に立つ国連軍が批判の矛先となっているのです。中立を守ること自体、できなくなっています。
朝日新聞2011年10月15日付けの記事「南スーダンに陸自の施設部隊派遣へ PKO」はこう書いています。
調査団はまた、施設部隊の宿営可能性などをめぐってジュバとマラカルを比較。治安についてはジュバが『強盗や窃盗などの犯罪のみで比較的安定している』とする一方、マラカルは部族間衝突や地雷の危険性があると指摘している。
その首都ジュバでクーデターが起きるようになったのです。ジュバは安定から状況は大きく変わり、クーデターが起きても「首都は平穏」としているのです。一旦派兵すると、撤退は難しく、気がついたら紛争の中にいるのが戦争というものです。平和ボケした与党も野党もそれに気がつかず、日本国民も同様の姿です。
私は派遣されている自衛官に被害が出ても驚きません。すでに、そうなってもおかしくない段階に来ています。
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