米軍の防弾ヘルメットに大量の欠陥
military.comによれば、契約業者が米陸軍と海兵隊に刑務所収容者が製造した、深刻な防弾不良を含めた多数の欠陥を持つ数千個の防弾ヘルメットを販売したと、新任の米国防総省監察長官のオフィスは言いました。
水曜日に公表された報告によれば、監察長官は、米陸軍の一部の支援を得て国防犯罪調査部(the Defense Criminal Investigative Service)と共に、「Federal Prison Industries(以下、FPI)」と「ArmorSource LLC」が進化型戦闘ヘルメット(ACH)と軽量型海兵隊ヘルメット(LMCH)を軍に対して製造し、販売したが、契約上の仕様を満たさず、結果的に不完全だったとの疑いに関して、2つの統合調査を開始しました。
2006〜2009年、ArmorSourceとFPIは下請けとして、126,052個のヘルメットを製造し、ArmorSourceは30,336,461ドルを受け取りました。
2008年5月、FPIはLMCHヘルメットの製造を、初期コスト23,019,629ドルで契約を与えられました。
FPIは約23,000個のヘルメットをテキサス州ボーモント(Beaumont)の工場で製造し、その内3,000個を販売し、国防総省に供給しました。
報告書によれば「しかし、FPIはこれら3,000個のヘルメットの代金を受け取りませんでした。
これらの半数以上がその後に不完全であると特定され、23,000個すべてが最終的に締め出されました」。
「調査官はさらに、FPIが製造したACHヘルメットも不完全であること、ACHとLMCHの両方が使用者に潜在的な安全のリスクをもたらすことを明らかにしました」。
報告書によれば、これらの調査官は、不完全なACHヘルメットを使った結果として、軍要員が負傷したり、死亡したことを示す情報はまったく明らかにしませんでした。
しかし、126,052個のACHヘルメットはリコールされ、政府の金銭的損失と経費は19,083,959ドル以上になりました。
両方の調査は、FPIはボーモントで固有の製造上の問題を持ち、ACHとLMCHの両方が不完全で、契約仕様に従って製造されなかったと確定しました。
調査官はACHとLMCHは、ヘルメットの再プレスと共に深刻な防弾不良、気泡、穴の取り付けと大きさの不適正を含め、多くの欠陥を持つことを見出しました。
報告書によれば「ヘルメットは品質が低く、許可されていない防弾素材で製造され、(LMCHに)使用期限が切れた塗料を使い、許可されていない製造方法で製造されていました。ヘルメットは、変形のようなその他の欠陥も持ち、調査官は却下されたヘルメットは国防総省に販売されていたと分かりました」。
報告書によれば、国防総省とACHの契約は無作為に選択することを要求していたのに、FPIは調査のためにヘルメットを事前に選択して、試験に合格させるために提出していました。
調査官は以下の欠陥を見つけました。
- 完成したACHヘルメットのシェルがほじくられ、ケブラー繊維を取り出し、ケブラー繊維のくずが耳の部分に追加され、ヘルメットのシェルが再プレスされました。
- ヘルメットは契約仕様に違反して、気泡と泡を除去するために再プレスされました。
- LMCHとACHはそれぞれ、エッジがついて、塗膜密着性が不完全でした。
- FPIは製造工程を帰る前に国防総省から承認を得ませんでした。
- LMCH適合認証はFPI職員の指導で収容者によって準備され、LMCHがヘルメットが契約仕様に従って製造され、必要な素材のトレーサビリティがあると不正に保証して出荷された数ヶ月後にFPI職員により署名されました。
- ヘルメットのシリアル番号は取り替えるか変更されました。
2016年1月26日、監察部と軍要員による抜き打ち試験は、ボーモントのFPIの施設が公に即製のツールをACHヘルメットに用い、ヘルメットの防弾素材を損傷し、刑務所内でツールが武器として使える潜在性を生み、それによって施設職員の安全を危険にして、刑務所の警備を低下させました。
ACH、LMCHヘルメットを製造したFPIのボーモント施設は閉鎖され、全職員は連邦刑務所局の他の任務へ移りました。
報告書の大半がFPIに集中する一方で、報告書はArmorSourceはACHの製造に十分な監督を行わず、それが契約仕様に従って製造されないヘルメットという結果を生んだといいました。
報告書によれば、これらの調査から生じる犯罪訴追は取り下げられ、虚偽請求取締法に基づく潜在的な告訴を解消するために、司法省民事部商業訴訟部、テキサス連邦地区連邦地検は、提示された支払い能力に基づき300万ドルを支払うことで、ArmorSourceとの民事和解合意に入りました。
記事は一部を紹介しました。
アメリカではしばしば、こうした装備品の欠陥が問題となります。反面、日本ではほとんどこういう話を聞きません。
そうなる理由は日本の製造技術が世界一で、欠陥品を造らないからではありません。アメリカの方が改善に積極的だからです。
M4小銃に装弾不良が起きるとか、敵兵に当たっても倒れないといった苦情が出た時、米軍は嫌々ながらも試験を行い、最終的に弾を変更する措置を取りました。その背景にはmilitary.comのようなメディアが積極的に問題を取り上げ、提言を繰り返したこともありました。
日本では、自衛隊は創設以来、憲法違反と叩かれ、そのためか悪いニュースは公表しないという悪癖が定着してしまいました。その結果、皮肉にも、現在の自衛隊の公報は大本営発表並みに巧言令色で塗り固められています。
米軍にも問題隠しが起きることはありますが、それがばれて処分される場合も多いのです。
自衛隊でこういう話を聞くことが少ないのは、問題が少ないからではなく、問題を直視しようとしないからです。
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