シリア反政府派が攻勢を強める

2016.8.23


 シリアの東部と西部の戦況を示す記事を2つ紹介します。

 alarabiya.netによれば、監視団体は日曜日、シリア政府軍との戦闘を止めるロシアの調停の努力が失敗したあと、シリア北東部のハサカ(Hasaka)でクルド人戦闘員が前進したと言いました。

 「The Syrian Observatory for Human Rights」とクルド軍筋は、土曜日夜の激戦で、クルド人が街の南にあるいくつかの近隣地域にわたる領域を占領したと言いました。

 監視団体は、クルド人がズアー(Zuhur)で前進したと言い、クルド軍筋はアル・ナシュワ(Al-Nashwa)とガウィラン(Ghweiran)で前進したと言いました。

 地元記者は政府派の国家防衛部隊の民兵がアル・ナシュワから撤退するのを見たと言いました。

 シリア軍の航空機が日曜日朝、大半をクルド人が支配する市の上空を飛びましたが、爆撃は行わなかったと監視団体は言いました。

 シリア軍機は水曜日、クルド軍が占領する陣地を爆撃しました。

 前例のない攻撃は米主導の同盟国に、クルド人戦闘員を支援する特殊作戦部隊を守るために航空機を緊急発進させました。

 監視団体によれば、水曜日以降、政府軍民兵とクルド軍の間の闘いは、少なくとも死者43人(民間人27人、その内11人が子供)を出しました。

 民間人数千人が街から逃げました。

 政府派のアル・マスダ・ニュース(Al-Masdar News)ウェブサイト版は土曜日に、ロシア軍代表団による近郊の街カミシリ(Qamishli)での調停活動が失敗した後、再開した戦闘が起きたといいました。

 記事はシリア政府がハサカから政権側民兵は撤退せよとの要求を拒否し、両者の武装解除を提案したと言いました。

 シリア政府高官は、ロシアの調停への努力は日曜日まで続くと言いました。

 シリア軍とクルド軍が共通の敵、イスラム国を共有しますが、ハサカでは彼らの間に緊張が高まっています。

 alarabiya.netによれば、シリアの反政府派高官が、反政府派はトルコ国境でイスラム国の街を占領する攻撃を開始する準備をしていると言いました。

 自由シリア軍(FSA)の旗の下でトルコが支援する反政府派は数日後にトルコ領内からジャラブルス(Jarablus・kmzファイルはこちら)を攻撃する予定だと、計画に詳しく匿名を希望した反政府派当局者は言いました。

 「反政府派は(トルコ領内)国境近くの地域に集合しています」とい反政府派は言いました。

 もう一つの反政府筋は。彼らはトルコ軍基地の近くカーカミス(Qarqamish)に集合していると言いました。

 「毎日、シリア国内から秘密の越境点を通って、ジャラブルス攻撃の準備で集まっているトルコの基地へ入る戦闘員のグループがあります」と情報筋は言いました。

 大半がフィラク・アル・シャム(Failaq al Sham)、スルタン・ムラド(Sultan Murad)、アーラー・アル・シャム(Ahrar al-Sham)、ジャブハ・アル・シャミヤ(Jabha al Shamiya)のグループからなる戦闘員がシリア北西部の反政府派支配地域イドリブ州(Idlib)とアザズ(Azaz)からやって来ます。

 もう一人のアーラー・アル・シャムの情報筋は、ジャラブルスへの攻撃は数日で始まると予測しました。

 ユーフラテス川西岸のジャラブルスは、シリア・トルコ国境のイスラム国グループに占拠された最後の重要な町です。

 町は反政府グループが最近、イスラム国から奪った国境の街、アル・ライ(al-Rai)から54km東にあります。

 ジャラブルスを彼ら自身が奪取することで、反政府グループは、8月6日に南方30kmにあるマンビジ(Manbij)をイスラム国から奪った、クルド人が支配するシリア民主軍(SDF)によって、町への攻撃を防ぎます。

 SDFと同盟し、ジャラブルスの軍事評議会を自称するグループは、日曜日に、トルコが急進派民兵グループを支援していると非難し、米主導の同盟国に評議会への支援を要請する声明を出しました。

 米主導の同盟国は昨年以来、シリア北部でイスラム国民兵に対する大きな成果を出すためにSDFを支援してきました。

 自由シリア軍の重要な支援者であるトルコは、クルド人がSDFのイスラム国に対する西方への拡大を、シリア北部にわたる彼らの影響力を強めるために利用していると懸念しています。

 SDFはすでにユーフラテス川の反対にあるジャラブルスの東岸を占拠します。

 土曜日、トルコのビナリ・ユルドゥルム首相(Prime Minister Binali Yildirim)は、トルコ政府は、これからの半年間、民族の系列に沿って裂けるのを止めるために、シリア紛争に対処する上でより活発な役割を果たすと言いました。

 アーラー・アル・シャムの反政府筋は、トルコの砲兵隊が金曜日以降、国境付近でジャラブルス周辺の村のイスラム国陣地を攻撃していると言いました。

 主にスンニ派アラブ人の反政府グループは現在、戦略的に重要な、アレッポの田園地方にあり、現在は強力なクルド人民兵、YPGが支配するタル・リファート(Tal Rifaat)とマレア(Marea)の支配を再獲得することを狙っています。

 イスラム国はここ数日で、ジャラブルスから隊員を引き揚げたと、反政府派指揮官は言いました。

 金曜日、イスラム国戦党員の家族はジャラブルスともう一つの近くの町、アル・バブ(al-Bab)から、拠点のラッカへ(Raqqa)と避難したと、監視団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は言いました。

 反政府派の作戦はトルコ国境でのイスラム国の存在を効果的に終わらせることを狙っていると、当局者は言いました。

 「確かに抵抗があるでしょう。彼らはそれを強く心するでしょう。ジャラブルスへ入る作戦は簡単ではないでしょう」。


 記事は一部を紹介しました。

 ハサカで、ロシア軍が調停をやったという点が気になります。それほどシリア軍が劣勢で、時間稼ぎのためにロシア軍が出てきたように見えます。その点で、この前進の記事は信憑性が高いように思えます。

 ジャラブルスはマンビジから道路でつながっていて、トルコ国境からマンビジへ向かうときの通過点でした。ここを占領すれば、ラッカ攻略がまだ一歩前進します。

 もっと早くに着手されるかと思ったラッカ攻略ですが、やはりシリアは広く、簡単には進展しないようです。

 


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