南スーダン政府軍が反対勢力との戦闘を否定

2016.8.4


 sudantribune.comによれば、南スーダン軍SPLAはレイク・マシャル(Riek Machar)のSPLM-IOとの活発な戦いをしていることを軽視する声明を発表しました。

 ルル・ルアイ・コアング准将(Brigadier General Lul Ruai Koang)は火曜日、週末に大きな攻勢があったことを否定し、対立する軍隊との間に小さな戦闘があったことだけを認めました。

 これは反対勢力と国連の報告と逆です。

 「ジュバ(Juba)周辺で激戦はありませんでした。これは反和平分子による、民間人を怖がらせるための生理的な戦争です。現実は、我が軍が偵察に遭遇し、交戦したということです。彼らは少し抵抗しましたが、最後には打ち負かされ、別々の方向に逃げました」とコアング准将は国営放送SSBCで放送した声明で言いました。

 コアング准将は、反対勢力が上ナイル州(Upper Nile)、ナシル(Nasir)の政府軍陣地に砲撃をしたとも非難しましたが、反対勢力は否定し、逆に政府軍がソバト川(Sobat)の対岸の彼らの陣地に攻勢を始めたと非難しました。

 軍報道官はナシルの状況は火曜日現在穏やかで、政府は依然としてナシルを完全に支配していると言いました。

 彼は反和平分子に1センチメートルも与えていないと言いました。

 政府側のラジア州(Latjor)の情報大臣、ピーター・ホス・トアチ(Peter Hoth Tuach)は月曜に別のインタビューで、ナシルの政府軍陣地はソバト川を越える2日間の砲撃を受け、この地域の政府軍は自衛のために応戦したと付け加えました。

 彼は反政府軍が渡河しようとした限定的な攻撃を小競り合いと説明し、撃退されたと付け加えました。

 「戦争は誰の利益にもならず、我々は国民すべてにインターネットの噂を無視するよう訴えます。政府は和平の実行を約束し、SPLA-IO軍も停戦を監視するために野戦指揮官に明確な指示をすることで同じ約束を示さなければなりません。我々の側では、2016年7月11日に大統領が宣言した停戦は、国内どこに配置されていようとも勇敢なSPLA軍により監視されています」とトアチは説明しました。

 マシャルの報道官、ジェームズ・ギャトデット・ダク(James Gatdet Dak)は火曜日、激戦がジュバ・イエイ線とジュバ・ムンドリ線、首都北西部のカティギリ地区(Katigiri)のブッシュの中で進行中で、反対勢力の軍隊はマシャルを探そうとして攻撃中の1万人を超えるキール大統領の軍隊と自衛のために反撃していると言いました。

 彼は「キール大統領の兵士数百人がすでに殺されているものの、政府は兵士を失望させず、ジュバの市民を惑わせないために、ブッシュの中で本当に何が起きているかについて真実を知らせたくないのです」と言いました。

 彼は攻撃が続けば、反対勢力の軍隊はジュバへ移動を強いられると、キール大統領派が達成不能と否定した主張をしました。

 統合監視・評価委員会(JMEC)は、キール大統領にジュバ周辺のブッシュでマシャルを探すために軍を派遣するのを止めるよう要請しました。

 国連も争う両派閥に、ジュバ周辺での進行中の戦いを止めるように要請しました。

 前線から運ばれた数百人の兵士が首都の病院でみられ、どこかで戦闘が進行中であることを示しました。

 政府側の兵士数百人、主にディンカ族出身者が、ジュバの国連民間人保護施設へ逃げ、その中には前線から撤退した陸軍の上級将校が含まれます。

 報復を恐れて匿名を希望した政府軍上級将校は、ジュバ周辺で激戦が起きていたといいました。

 彼は政府軍が大きな損害を被ったことも明らかにし、最近、兵士を支援するために、野生動物担当や国家治安部隊を含めた警察部隊が前線へ配置されると付け加えました。


 記事は一部を紹介しました。

 ナシルの位置は不明ですが、ソバト川は南スーダン北部にあり、ナシルは上ナイル州にあります。首都と上ナイル州は軽く400kmは離れています。すでに状況は首都だけでなく、全土に及んでおり、全面戦争状態といえることが分かります。「首都は平穏」で済む話ではありません。

 北部の戦闘の真偽は不明です。現地へ入れる記者はいないので、両者の言い分から真偽を推測するしかありません。

 今回の記事には前にも紹介したのと同じ情報も載っており、普段はこういうのは省略するのですが、確認のためにもう一度書きました。

 この情報の上で、匿名の政府軍将校の証言と合わせて考えると、嘘をついているのは政府軍側だと分かります。

 野生動物担当の警察部隊は普段は密猟者相手の大規模な戦闘は未経験の者たちで、国家治安部隊はまさに最後の一手みたいな部隊ですから、政府軍が大きな損害を受け、彼らまで投入せざるを得ない状況になっていることが分かります。

 JMECや国連の職員が病院へ行き、負傷者の数を数えているはずですが、中立の立場から公表はしないのでしょう。

 しかし、首都で政府軍が優勢ではないことは間違いがありません。マシャルの軍隊へ増援がどれくらい届いたのかが分からないので、兵力の均衡がどうなっているのかも不明のままです。多少の損害を与えても、初期兵力では政府軍が凌駕しているので、そこが気になっています。

 この重要な時に、日本では萌え系自衛隊ファンが防衛大臣就任ですから、いかに日本が平和かであるかを思い知らされます。

 


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