中国がガス田に水上レーダーを設置

2016.8.8


 産経新聞によれば、中国が東シナ海の日中中間線付近で拡張するガス田開発の海洋プラットホームに、水上船舶を探知する水上レーダーと監視カメラが新たに設置されていることが7日、分かった。

複数の政府関係者が明らかにした。日本政府は5日に外交ルートで中国側に抗議した。中国側が今後、航空機の動きを監視する対空レーダーを設置するなど東シナ海の軍事拠点として利用する可能性もあり、日本政府は警戒を強めている。

 日中中間線付近に16基ある海洋プラットホームにレーダー設置が確認されたのは初めて。日本政府が「第12基」と呼んでいる海洋プラットホームに、レーダーのような機材と監視カメラが設置されているのが6月末に確認され、防衛省が分析した結果、船舶を探知する水上レーダーと判明した。

 海事関係者によると、水上レーダーは軍用ではなく商用船舶と同じもの。通常であれば、20キロ以上の範囲を監視できる性能があるという。

 日本政府関係者は「水上レーダーが直ちに軍事目的と結びつけられるかは判断が難しい」と指摘する一方、中国が水上レーダーを改良したり、対空レーダーを加えたりするなど、徐々に日中中間線周辺領域の監視能力を強めることも想定される。東シナ海の自衛隊の防衛体制や、米軍の活動まで把握されることにつながりかねず、安全保障上の脅威レベルが増したと事態を重くとらえている。

 中国は平成25年11月、尖閣諸島(沖縄県石垣市)の上空を含む東シナ海に防空識別区を設定したが、中国の地上レーダーが捕捉できる空域は限定的とみられる。

 日本政府は6月2日にも海洋プラットホーム16基のうち3基で追加工事が行われていることを確認、中国側に抗議したことを明らかにしている。


 各紙が報道していますが、この水上レーダーを取り付けた意義が分かりません。下の写真の丸印内が水上レーダーです

写真は右クリックで拡大できます。

 レーダーは電波を飛ばして、その反射波を受信し、周囲にあるものを探索する装置です。写真のようなレーダーはアンテナを回転させて360度全方向を探索します。

 この取り付け位置では、ガス田のプラットフォーム自体が電波を反射してしまい、アンテナがプラットフォームの方向を向いた時は何も映らないように思えます。半分近くが死角になるおかしな位置に取り付けられています。ヘリポートの上に取り付けるのが適切なはずです。

 私は最初、対空レーダーを設置したのかと勘違いしましたが、写真をどう見ても船舶用のレーダーで、防衛省の分析でもそれは確認されています。第12基の位置からして、ここに対空レーダーを設けるのは、明らかな挑発行為です。しかし、水上レーダーでした。

 産経新聞の記事の見出しは「東シナ海 中国、ガス田にレーダー 軍事拠点化か 政府は抗議」ですが、記事では「水上レーダーが直ちに軍事目的と結びつけられるかは判断が難しい」と、よくある腰砕けの内容でした。

 20kmしか探知できないレーダーはどの程度脅威なのか、第12基の正確な位置が分からないので、その付近に半径20kmの円を描いてみました。この程度では脅威にはなりません。正直なところ、このレーダーを取り付けた意味は理解不能です。船舶の衝突回避のためにつけたのかも知れません。

写真は右クリックで拡大できます。

 


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