北朝鮮のミサイル発射にまた破壊実施せず
ロイターによれば、9月5日、防衛省は、北朝鮮が正午ごろに発射した弾道ミサイルについて、3発とも日本の排他的経済水域内(EEZ)内に落下したようだと発表した。
ミサイルは同時に発射、ほぼ同地点に落下したとみられ、日本政府は北のミサイル技術向上に懸念を強めている。
防衛省によると、北朝鮮は午後0時13分ごろ、同国西岸から3発の弾道ミサイルを東北東へ発射した。いずれも約1000キロ飛行し、北海道奥尻島の西200─250キロ付近に落下したようだという。
稲田朋美防衛相は記者団に対し、「3発同時に発射し、しかもほぼ同じ地点に落下した。確実に能力は向上している」と述べた。そのうえで、「日本の安全保障上の重大な脅威であり、断じて許されない。深い懸念を表明する」と語った。
北朝鮮による弾道ミサイルの発射は、今年に入って21発目。移動式発射台や潜水艦から撃ったり、わざと高く打ち上げたりするなど、発射手法も多彩になっている。
今回の発射は、20カ国・地域(G20)首脳会議が中国・杭州で開かれている最中だった。稲田防衛相は「国際社会の強い圧力に対する示威行動の可能性がある」と指摘した。
防衛省はミサイルの種類について、飛行能力300─500キロのスカッドか、1300キロのノドンとみている。いずれも、移動式の発射台から撃つのが一般的という。
また、日本のミサイル防衛システムは動きませんでした。
今回は3発を同時に排他的経済水域の境界内に撃ったのです。朝鮮日報によれば、着弾点は日本の防空識別圏内に400km以上も入り込んだ場所です。領土、領海上ではないとはいえ、ここは各国の船や航空機が通過する場所です。もっとも、現在は船も航空機もリアルタイムで居場所を確認できます(航空機用のflightradar24はこちら 船舶用marinetraffic.comはこちら)。北朝鮮は大方、こういう情報を確認した上で、リスクが少ない時刻に打ち上げているに違いありません。しかし、ミサイルの発射実験をするなら、事前に国際機関に航行禁止区域を通告するのが常識であり、北朝鮮の行動はそれを逸脱しています。実際、少ないとはいえ、航空機、船舶の通行がある地域であり、危険は否定できません。
北朝鮮がミサイルを打ち上げたとされる黄海北道・黄州から奥尻島沖へ、飛んだとされる1,000kmの直線を描いてみました。発射地点が東海岸で、方向が違えば本州の重要拠点も狙えることが分かります。射程はもっと延ばせるかも知れませんから、東京も攻撃できる可能性があります。 今回のコースでも、東海岸から打ち上げれば札幌を狙えたはずです。その手前の北電泊原子力発電所も当然、射程下です。
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それでも、破壊措置命令は実行されませんでした。これでは、高額の税金を投入していて、これからも投入し続けるミサイル防衛は「張り子の虎」かとの批判が湧き起こるのは当然です。
いや、当然のはずですが、安倍政権に対して批判的意見を報じないマスコミは、だんまりを決め込んでいます。国民もなぜかのんびりしています。
しかし本来なら、ことは重大のはずです。アメリカはキューバにミサイルが配備されただけで侵攻を決意しました。キューバを封鎖して、ミサイルの撤去を要求しました。距離関係からいうと、この時のミサイル危機と日本の状況は似ています。相手がミサイルを発射すると、もう一方にはほとんど対応のための時間はありません。従って、キューバのミサイルは排除しなければならないというのが、当時のアメリカの考え方でした。
同じような環境にあるのに、日本は公共の核シェルターも用意せず、避難計画も立てず、ミサイル防衛だけで対処しようとしています。そして、誰もこれを変だと感じていません。
さらに、風水害が多い日本では、折角建設した核シェルターが水害で使えなくなる頻度も高く、それについても検討しなければいけないはずなのに、何もしていません。
だからかもしれませんが、アメリカが核先制攻撃を放棄しようとするのに日本政府が反対しているのかも知れません。しかし、これとて直接的に核ミサイルを防ぐための手段とは言い切れません。相手がケツをまくると、核攻撃は止めようがないのは、キューバ危機の際にカストロ議長がロシア政府に、アメリカが侵攻するのなら米艦隊を核攻撃してくれと求めたことで明らかです。
稲田防衛相の「深い懸念を表明する」との声明はあまりにも弱々しいのです。
拉致問題が表面化した頃から、私は北朝鮮を崩壊させなければいけないと考えていました。それが拉致問題を解決する唯一の方法だからです。少数の者を助けるために、そんな大事をやるのかといわれそうですが、北朝鮮が崩壊すれば、核・ミサイル問題も解決することになるので、一石二鳥なのです。もちろん、中国がどう出るかで結果は変わるでしょうが、このままミサイルが完成するのを待つよりは、何かした方がよいともいえます。
そこで、ゲームチェンジャーとなるためには、北朝鮮のミサイルを迎撃してみせるしかないはずです。防衛省は常時破壊命令を出したのです。実際にやってみせなければ、実力を示せません。その気もないのに「言ってみただけです」では、誰も感心しません。
防衛省は明らかに国民をミスリードしていて、防衛省のホームページには下のようなミサイル防衛の概念図が掲載されています。あたかも迎撃ミサイルが弾道ミサイルを追いかけて爆発によって撃破するかのような説明です。
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大気圏外では爆発は圧力を生み出さないので、イージス艦から打ち上げられるSM-3は弾道ミサイルの弾頭に衝突することで破壊する仕組みです。運動エネルギーが破壊の基本なので、飛んでくる弾頭を迎え撃たないと運動エネルギーを確保できません。追いかけるのでは運動エネルギーは足りないはずです。命中してもオレンジ色の炎は出ず、弾道がバラバラになるといった効果が出るはずです。
現在は迎撃ミサイルの射程が短くて日本全体をカバーできないため、破壊命令を実施しなかった理由を正直に説明すると「射程外だったので」となってしまうため、何の発表もしないというのが真相かも知れません。奥尻島から250kmまで撃ち込まれたのに、射程外だったでは笑われてしまいます。結果、国民には何も知らせないということかも知れません。
これが健全な国家防衛でしょうか?。日本政府は総合的に核ミサイルからの防衛を考えていないのです。
なお、稲田防衛相は「3発同時に発射し、しかもほぼ同じ地点に落下した。確実に能力は向上している」と述べていますが、これは時間をかけて準備した場合の能力を示しているとみるべきです。緊急に発射するような場合は、CEP(半数必中界)は倍程度に広がるともいわれます。つまり、戦争の始まりの第一撃がこの程度の精度と考えておくことです。
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