常時破壊命令はどこに消えた?

2016.9.8


 5日の北朝鮮によるミサイル発射に関して、防衛省は3件の情報提供をしていますが、常時破壊命令に関する記述はまったくありません。

 1件は稲田大臣が予定していた視察を取り止めたというもので、他の2件はミサイル発射そのものについてです。内容は似ているので、1件だけ紹介します。(該当ページはこちら

北朝鮮による弾道ミサイルの発射について
平成28年9月5日
防衛省
1.北朝鮮は、本日12時13分頃、北朝鮮西岸の黄州(ファンジュ)付近から、3発の弾道ミサイルを東北東方向に発射した模様です。発射された弾道ミサイルは、いずれも約1,000km飛翔し、日本海上のわが国排他的経済水域内に落下したものと推定されます。詳細については現在分析中ですが、我が国に対する安全保障上の重大な脅威であり、深刻な懸念を表します。
2.これを受け、防衛大臣は「引き続き、情報収集・警戒監視に万全を期せ」との指示を出しました。その後、防衛大臣の下、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期しているところです。
3.防衛省・自衛隊としては、引き続き、大臣指示に基づき情報の収集・分析及び警戒監視に全力をあげるとともに、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとします。

 というわけで、常時破壊するはずなのに、破壊しなかった理由は書いてありませんし、今後万全を期するのは情報収集と警戒監視だけであり、「破壊」の文字は見当たりません。3件の発表のどこにも破壊命令のことは書かれていません。

 もしかして、常時破壊すると宣言したら、北朝鮮がミサイル発射を止めると考えて、ハッタリをかませてみたのが真相ですか?。

 この調子では、何年経っても迎撃なんかしそうにありません。その内に、北朝鮮の声明の中に「日本の常時破壊命令は口先だけ」「我らのミサイルに恐れをなし、発射ボタンに手をかけることすらしなかった」と書き込まれることになりそうです。そうなった場合の威信の失墜、抑止力の低下について、防衛省は理解しているのでしょうか。

 常時破壊命令なんて、言わない方が賢明だったと思いますが。

 


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