38northが核実験前の活動をレポート

2016.9.9


 9月8日に38north.orgが北朝鮮の豊渓里の核実験場で新しい活動があることを報じていました。このレポートが公表された頃に北朝鮮は実際に核実験を行ったことになります。

概要

 8月27日の最近の商業衛星写真は豊渓里の核実験場での新しい活動を示します。特に、少数のトロッコが北と西の坑道入口の両方で選鉱くずの山の上やその近くに見えます。西入口の選鉱くずの山は拡大し、新しいトロッコの線路が敷かれました。そして、南入口の南西に新しい建物が築かれました。全体として、この活動は豊渓里で整備と小規模な掘削が再開したことを示します。しかし、この活動が5回目の核実験の準備に直接関係があるかは不明です。

北の入口

 8月27日の商用衛星の写真は、数週間前に北の入り口で支援用の建物のすぐ南に設置された新しい6×9メートルの網の天蓋が継続的に存在することを示しました。この天蓋は明らかに装備や活動があるのを不明瞭にすることを目的にします。加えて、いくつかの物体、トロッコらしいものが、入口の東の選鉱くずの山にあります。これらは7月7日の写真にはみられず、8月4日の写真には少しみられます。しかし、選鉱くずの山自体は変わっていないようにみえます。

西の入口

 西の入口では、選鉱くずの山の北西角が、過去4週間の間にいくらか拡大され、新しいトロッコの線路がその頂上に敷かれました。3〜5台のトロッコが支援用建物のすぐ南に見え、小規模な掘削活動が再開したことを示します。

主要管理地域

 8月27日現在、主要管理地域で大きな活動はありません。8月4日の写真の中で温室の前に積み重ねられた補給品や木箱はもはやありませんが、いくらかの新しい小さな木箱が主要な中庭の北端にあるようです。

南の入口

 8月27日の写真で、南の坑道の入口に多数の小さな木箱や機材がみえます。さらに、7月8日から8月4日の間に、坑道の北東約60メートルに新しい小さな建物が築かれました。

司令センター地域

 警備された司令センターで大きな活動はありませんが、この施設と隣接する支援地域はよく維持されているようにみえます。


 唐突に感じられた今回の核実験ですが、38northはレポートしていたのですね。レポートには衛星写真も掲載されていますので、合わせてご覧下さい。

 しかし、以前に比べると準備がより小規模になっているようです。作業に慣れたのか、実験技術が向上したのか分かりません。これが核爆弾の技術向上に関係があるのかも分かりません。

 朝鮮日報が「北朝鮮が約2~3カ月前に5回目の核実験の準備を終えていたことを韓国当局が把握していたことが9日、分かった。韓国国防部国防情報本部のキム・ファンロク本部長が国会で行った野党執行部との面会で報告したと、党関係者が伝えた。」と報じていますから、事前に知られていた実験だったことになります。日本政府も情報として知っていた可能性が高い。

 韓国国防部は爆発の規模は10キロトン程度としています。北朝鮮が2006年に行った核実験では、中国へ4キロトンの核爆弾を実験すると通告しながらも、実験結果は0.8キロトンでした。広島市に投下された原爆は15キロトン、長崎市では20キロトン以上とされます。

 核実験だったかは、今後、放射線量の変化や核爆発で生じる希ガスを測定して判定されることになります。

 威力が増したのなら、そろそろ、実験によって地表の形が変わる変化が観測されてもおかしくありません。地下核実験では地上にクレーターができあがることがあります。これまでは爆発が小さくて観測されていませんが、10キロトンなら可能性はより大きくなります。もっとも、地下深くで爆発させたのなら、クレーターは生じないかもしれません。

 ミサイルと核爆弾が完成したとしても、再突入体が完成しないと核ミサイルとはなりません。しかし、これまでの進捗が本当なら、北朝鮮が核攻撃能力を持つ日は近いことになります。

 


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