ドローンと自動車爆弾に頼るイスラム国

2017.1.12


 military.comによれば、米軍とイラク軍はモスル(Mosul)を奪還する戦いで、イスラム国が偵察と攻撃に使う小型クワッドコプター(ローターが4基あるヘリコプター)を撃墜することで成功を増していると、米軍指揮官が水曜日に言いました。

 イラク治安軍(ISF)も、イラク軍がモスルを分断するチグリス川(Tigris)東岸で獲得を続ける時、数週間でイスラム国の主要兵器、自動車爆弾(VBIED)の使用で重大な現象をみたと、生来の決意作戦(Operation Inherent Resolve)の共同統合機動部隊の攻撃機動部隊指揮官、ベレット・シルビア陸軍大佐(Army Col. Brett Sylvia)はいいました。

 攻撃機動部隊はISFへ、牽引式155mm榴弾砲M777、無限軌道式155mm砲M109A6「パラディン(Paladin)」、高機動ロケット砲システム(HIMARS)M142で、精密な砲撃を提供してきており、空爆を調整するためにISFへ現場顧問も提供している、とシルビア大佐はいいました。

 彼はイラク軍と共に活動する機動部隊の顧問はイラク軍准将と共に移動していると強調しました。「我々の誰も、ドアを蹴倒したり、人を撃ったりして前線にはいません」と彼はいいました。

 ISFもますます米軍から砲撃任務を引き受けているとシルビア大佐はいいました。以前は、自身の砲兵部隊をまったく信用しなかったので、イラク軍は間接砲撃でほとんどアメリカに頼るだけでした」と彼はいいました。「いまや、我々がモスルにいる時、持ち込めるすべての範囲の動的な攻撃があります。その一部はイラク軍で、一部が同盟国です」。

 バグダッド(Baghdad)から国防総省へのテレビ会見で、シルビア大佐はイスラム国は初期に有翼のドローン(無人航空機)を使いましたが、いまや大半が小型クワッドコプターに頼っており、それは彼らが火薬や小型の手榴弾を投下するよう装備できるようにしてきたといいました。

 イラク軍が小火器で直接射撃するのに依存する一方で、米軍は技術的な手段を用いていますが、シルビア大佐はドローンを撃墜するのを説明することは拒否しました。

 シルビア大佐は最近、約数十機のイスラム国のドローンが墜落させられるか銃撃されたといいましたが、彼らがなんとか撃墜した弾薬はISFに被害を出したといいました。

 彼はドローンは米軍には被害を生まなかったといいました。

 彼はドローンがISFへ生じさせた犠牲者の人数やモスルを奪還する攻勢のここ90日間のISFの全体的な損耗率を持っていませんでした。

 戦場からのレポートはイスラム国がイラク軍に対する牽制としてドローンを用いていることを示唆します。

 水曜日のモスル東部地区での市街戦で、イラク軍はドローンの集団が頭上を旋回し、繰り返し機関銃を撃つために戦場の敵から向きを変えました。

 イスラム国によるドローンの使用は、我々がここにいる間に彼らが沢山持っていた能力だとシルビアはいいました。モスルでの違いは、彼らは実際にそれらに武器弾薬を取り付け、投下することです。

 「我々はISFの犠牲者については話しませんが、(ドローンが)いくらかの装備に損害を与え、いくらかの構造物に損害を与え、いくらかの民間人に犠牲を出したといえます。彼らは最初よりもドローンをずっと効果的にしました」。

 イスラム国は未だに自動車爆弾に依存しているとシルビア大佐はいいましたが、ここ数週間で攻撃の頻度と効果は劇的に下落しています。

 彼はVBIED攻撃の約半分は犠牲者を出したり、ISFの防衛を破壊する点で効果がありましたが、有効率は6回の攻撃で約1回へ落ちたといいました。

 イスラム国のVBIEDは以前は装甲化された、シルビア大佐がいう「マッドマックス」型の運転手に小さなのぞき窓があるだけのものでした。「我々はそういうものをもはや見ません」と彼はいいました。

 イスラム国はいまや、民家人の車両と区別するのが難しい、必要最小限のものを装備した車を使っています。

 ISFも、VBIEDをやっつけるために肩に担ぐ対戦車兵器を使うとか、攻撃を避けるために道路中に犬釘をばらまくとか穴だらけにするような単純な防衛手段を使うのに、さらに熟練するようになりました。


 記事の後半は省略しました。ドローンとVBIEDに関する部分だけを紹介しました。

 この記事からすると、イスラム国はいつものやり方に少し手を加えた方法で抵抗しているようです。ドローンで爆薬を頭上に落とす方法が目新しいくらいです。それも、精々が手榴弾1個程度の攻撃ですから、効果は大したことはないでしょう。その内、投下装置も足りなくなり、ドローンそのものがカミカゼ攻撃を仕掛けるようになりことでしょう。

 米軍の秘密の撃墜方法は、多分、レーザー光線ではないかと思われます。妨害電波も考えられますが、より直接的な手法を用いた方が確実です。

 シルビア大佐がマッドマックス型とよぶVBIEDは、多分、下の写真のようなものです。これはクルド軍が撮影したものです。装甲板をつけて防弾性を持たせた大型車両です。

写真は右クリックで拡大できます。

 これが一般の自動車になったということは、大型車両の在庫が切れたということでしょう。

 こういう風に敵の抵抗は戦いが進むと弱くなっていくものです。私はこれを太平洋戦争の日本軍の戦いから学びました。日本軍の抵抗はどんどん弱くなり、散発的、自暴自棄的になっていきました。だから、モスルの西半分の方が戦いが難しいという見解には賛成しないのです。

 

 


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