中国の空母が南シナ海で演習を実施
military.comによれば、中国は自国の空母がはじめて、他の戦闘艦と戦闘機との編成により南シナ海で演習を行ったことを認め、この動きはその近隣国との間で懸念を強めるかもしれません。
国防部はJ-15戦闘機数機が空母「遼寧(Liaoning)」のフライトデッキから離陸し、着陸したといいました。
中国の最初で唯一の空母、遼寧は先週、南シナ海に入りました。
この確認は月曜日遅くに、台湾国防部が空母とその他5隻の戦闘艦が台湾の南を通過したと述べた数日後にありました。
自治の島は艦隊を監視するために戦闘機を展開しました。
中国は演習を定期的な公海での演習の一環だといいますが、それらは北京と台北の間で緊張を増すことができます。
台湾の総統、蔡英文(President Tsai Ing-wen)は台湾が中国の一部だという中国政府の概念を支持することを拒否しました。
中国政府は自治の島を自国の領域と主張し、一つの中国の原則を支持できないことは関係を不安定にするといいます。
10年以上前にウクライナから不完全な船体として購入された遼寧は2013年に就役し、11月に艦の政治委員により戦闘に従事する準備ができたと宣言されました。
中国は遼寧をどう使う意図があるのかについて特に述べませんでしたが、米海軍やその他の海軍からの挑戦に直面して、中国の強められる南シナ海での断定的な主張を補強するのを助けるとみられます。
緊張は南シナ海で起こり、そこでアメリカと中国は危険な軍事増強を行ったと互いを非難しました。
中国は海のほとんどすべてを主張し、島、珊瑚礁、ラグーンについての複数の議論において、より小さな隣国たちに挑みます。
この演習は日本でも報道され、日本に対する脅威も主張されていることです。しかし、この記事は中国国防部の情報に基づいていて、戦闘機の離発着がどのように行われたかの重要な情報が欠けています。
中国国防部のウェブサイトでは戦闘機の数について「多批多架次」と書いており、「多批」は「いくつかのグループ」を、「多架次」は「何機か」を表します(国防部の記事はこちら)。中国語に疎い私には、これが実際にどの程度の数を意味するのかが分かりませんが、多分、「数機のグループがいくつか」という意味でしょう。何個飛行編隊がとは書いていません。AP通信が配信したmilitary.comの記事では「数機」と書かれているのです。なぜそうなったのかは不明ですが、これは重要な問題です。
空母の性能の1つは、どれだけの時間でどれだけの戦闘機を発進させ、また着艦させられるかです。短時間で多くの戦闘機を発進させないと、飛行隊は敵に対して向かっていくことができません。編隊の発進と空中集合までの時間は重要な問題です。着艦の時間もできるだけ短い方が、甲板を使用する時間を増やせるので有効です。
米海軍はすでに飛行機を飛ばすカタパルトをスチーム式から電磁石式に替える研究を行っていて、これが実現すれば、発進時間はさらに短縮できます。
遼寧にはカタパルトはなく、そのために武装・燃料をあまり多く持つ機体は離陸できないでしょう。まさに、この武装の程度がどれくらいなのかが重要ですが、ロシアはこの船の完成を諦めてウクライナ海軍へ渡し、そこでも完成が放棄されて、中国が買ったという代物です。恐らく、武装を積んでの離陸実験で芳しい成績がでなかったものと想像されます。つまり、そう大きな戦力ではないと想像されるのです。
我々が遼寧について知るべきなのは、この部分のデータです。演習は他国により監視されていて、米軍などは何機が離発着したかを記録しているでしょうから、中国もここで嘘は言わないでしょう。演習は公海上で行われたので、周辺に他国の軍隊がいても、中国は文句が言えません。AP通信は米海軍には取材していないようですから、この記事だけでは演習の評価はできません。
その上、防空システムと水面下の監視システムがどうなっているかも問題です。これは空母だけでなく、空母攻撃グループ全体の能力が問われます。敵の航空機や潜水艦が防衛網を簡単に突破して攻撃してくるようでは、高額の張り子の虎でしかありません。
この辺を理解しないと、かつてソ連のヘリコプター空母「ミンスク」で大騒ぎした過去が繰り返されることになります。日本は単体の兵器をとりあげて大騒ぎする傾向があり、戦闘単位全体の能力を問うことがありません。
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