脱走兵バグダール裁判に見る人間の品格

2017.10.27


 military.comが、脱走の罪で裁判にかけられているバウ・バグダール(Bowe Bergdahl)の裁判で、彼の救出に関わった特殊部隊の隊員が証言をしました。

 特殊オペレーターは彼らが彼が脱走したと知りながら、「彼には母親がいるから」と、バグダール軍曹を救うために命をかけたと、捜索の間に重症を負った元海軍シールズ隊員が水曜日に証言しました。

 退役したジミー・ハッチ海軍上級上等兵曹(Senior Chief Petty Officer Jimmy Hatch)はフォート・ブラッグ基地(Fort Bragg)の法廷で証言台に座り、彼が失踪してから約1週間後に、彼の部隊が東部アフガニスタンで兵士がいる可能性がある場所の情報を受け取ったあと、バグダールを救出することを目的として、早急に計画された任務について説明しました。

 「こいつを見つけようとして、誰かが殺されたり、傷つけられそうだ」とハッチは、彼らがバグダールを見つけるかもしれないと思っていた場所へ飛ぶためにヘリコプターに乗る前に、シールズチームの別のメンバーがいうのを思い出しました。

 ハッチの水曜日の証言は、バグダールの軍事裁判の量刑段階を開始させ、それは数日間続きます。

 先週、31歳のバグダールは脱走と敵前での不法行為で有罪を認め、2009年6月に彼の持ち場を不法に立ち去り、彼らはゆく不明の兵士を仲間の兵士を取り戻すために作戦をはじめたときに危険にさらしたことを認めました。

 主任検事ジャスティン・C・オシャナ陸軍少佐(Army Maj. Justin C. Oshana)からの質問の中で、ハッチはバグダールを改宗するための任務と、敵が彼に向けてAK-47を放ち、右膝のすぐ上に命中させ、彼の大腿骨を粉砕したとき、戦いで激しく負傷した不安な感覚を思い出しました。

 ハッチは出血多量で死ぬところだったと言いました。

 彼の心配にも関わらず、シールズのメンバーはバグダールを取り戻す危険を冒す勇気をもっていたと、ハッチは言いました。

 「彼はアメリカ人です」とハッチは言い、あとで「彼には母親がいます」と付け加えました。

 負傷したあと、ハッチは脚を修復するために18回の手術を経験しましたが、永久に足を引きずることになりました。

 彼はシールズを退役することを強いられました。彼はそこで約26年間勤務しました。

 追加の目撃者の証言につづいて、来週判決をバグダールに宣告する裁判長のジェフリー・R・ナンス陸軍大佐(Army Col. Jeffery R. Nance)は、バグダールを救出する任務で負傷した隊員のさらに2人の証言を聞くことになっています。

 被告弁護団はバグダールの精神状態と、タリバンにつながる民兵グループによってパキスタンで5年間監禁される間に、彼が直面した恐ろしい状況と拷問について証言する目撃者を喚問することになっています。

 バグダールは10月16日の罪状認否公判の間に、彼が指揮系統の中で気がついた問題について不満を述べるために、近くの基地へ歩いていこうとして、2009年6月30日にメスト監視哨(Mest)を立ち去ったと述べました。

 潜在的な処罰を制限するために陸軍と公判前の合意のないまま有罪答弁に入ったとき、彼は彼の行動を「許しがたいこと」と言いました。

 パクティカ州(Paktika)で外哨を去った数時間後、バグダールはタリバンの戦闘員によって捕まり、結局、彼が拘束されたパキスタンへ密かに連れて行かれました。

 2014年5月、キューバのグアンタナモベイの拘留施設に拘束されていたタリバン指揮官5人との議論を呼んだ捕虜交換で、彼は釈放されました。

 バグダールは「指揮、部隊、場所の安全を危険にさらす敵前の不法行為」と「重要であり危険な任務を忌避することを意図した脱走」で2015年3月に起訴されました。

 彼は最高で終身刑、二等兵への降格、給料すべての喪失、不名誉除隊の最大の罰に直面します。

 水曜日の朝、ナンス大佐はドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)による先週のコメントによって、バグダールの最大の処罰を処罰しないか少なくとも拘禁しないかに制限する10月17日の弁護団の申し立てについて、彼の決定を発表することになっていました。

 トランプ大統領は最近、10月16日にホワイトハウスの記者会見の間に兵士の軍事裁判について質問されたとき、大統領は繰り返し大統領選挙候補者として発したバグダールについて軽蔑したコメントに言及しました。

 弁護団は今年早く、トランプの選挙遊説の弁舌で、依頼人の事件を棄却させる試みに失敗しました。

 彼らはトランプがバグダールに言及したとき、彼と「汚い腐った裏切り者」と呼び、大統領になったら、バグダールの事件を再調査すると約束したことを含めて、60以上の事例を記録しました。

 バグダールの主任弁護人のユージン・フィデル(Eugene Fidell)は月曜日、バグダールの判決をあらゆる知覚を和らげるために制限するようナンス大佐に求めました。裁判官(トランプの指揮下にある現役陸軍将校、およびその他の陸軍当局者)は最高指揮官による影響下にありました。それは非合法の指揮の影響に達します。

 検察官は10月16日のトランプ大統領の声明はバグダールの名誉を傷つけないか、兵士が受けるべきいかなる特定の処罰にも言及せず、ナンス大佐は最大の潜在的な処罰を制限する必要はないと反論しました。

 「私はまだそれを検討しています」とナンス大佐は申し立てについて言いました。

 裁判官は釈放されてから現役のまま、サン・アントニオ統合基地(Joint Base San Antonio)でデスクワークを務め、公判前の拘禁を受けていないバグダールに、彼が判決を下す前に、判断しなければなりません。


  ハッチ上級上等兵曹は脱走兵とてアメリカ人であり、彼を救出するのは当然と考えています。トランプ大統領は救うに値しないといいます。

 ハッチ兵曹はバグダールを助けようとして重症を負いましたが、トランプには兵役逃れの疑惑があります。

 徴兵を免除させる診断書を書いてもらって兵役を逃れた大統領が、脱走兵を「汚い腐った裏切り者」と呼ぶ資格があるのでしょうか?

 どちらがまともなことを言っているのかは明白です。

 おまけにトランプは選挙期間中の発言で、この裁判に悪い影響を与えています。早く大統領を辞めてほしいものです。

 日本でも、自衛隊が違憲だという者は災害にあっても自衛隊に助けを求めるべきではないなんて意見を聞きます。そういう人たちは、ハッチ上級上等兵曹とくらべて、品格がないといえそうです。米軍兵士は脱走兵でも命がけで守ります。それが兵士の仕事だと知っているからです。

 

 


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