米議会がトランプの核戦争能力に疑問

2017.11.17


 military.comによれば、退役空軍将官が火曜日に上院で、ドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)や彼の後継者からくる核兵器を発射する命令は、命令が違法だと判断されれば、米戦略軍の最高士官により拒否できると言いました。

 外交委員会の証言の間に、ロバート・ケーラー退役大将(Gen. Robert Kehler)は、米軍は非合法ではなく、合法的な命令に従う義務があると言いました。

 2011年1月から2013年11月まで戦略司令部の長を務めたケーター大将は、軍の必要性、特質、比例の法的な原則もまた、核兵器使用の決定に適用されると言いました。

 司令部は戦時に核戦力部隊を指揮します。

 委員会で最高位の民主党員、メリーランド州のベン・カーディン上院議員(Sen. Ben Cardin)はケーラー大将に、それは戦略司令部が大統領命令を、比例と合法性のテストに不合格なら拒否できることを意味するのかを尋ねました。

 「そうです」とケーラー大将は答え、そうした状況は「非常に難しい会話」になると付け加えました。

 それは大統領に彼の命令を実行することに責任を持つ新しい将軍を置くようにすることを促すかもしれません、ケーラーと共に証言したとオバマ政権の政策担当元臨時国防次官のブライアン・マッキーオン(Brian McKeon)は言いました。

 元核ミサイル発射士官で、核兵器廃絶のための国際的活動「Global Zero」の副創設者、ブルース・ブレア(Bruce Blair)は、核兵器部隊の4つ星の指揮官が大統領の発射命令が違法だと考えても、彼と作戦区域の発射要員に一斉に命令が届き、止めることはできないと言いました。

 指揮官は発射中止命令を送ることで命令を無効にしようとすることができると、ブレアは言いました。

 「しかし、それは遅すぎます」と彼は言いました。

 公聴会は北朝鮮からの核攻撃の脅威が深刻な懸念のままで、トランプの批判者が彼の気質を疑う時に来ました。

 トランプの平壌を狙いとした侮辱的なツィートは、彼が北朝鮮との戦争を奨励しているかもしれないという民主党議員の間の懸念に火をつけました。

 「この公聴会で少しの間、隠しているものを取り除かせへほしい」と、一貫してトランプの批判者である、コネティカット州選出の民主党員、クリス・マーフィ上院議員(Sen. Chris Murphy)は言いました。

 「我々は合衆国大統領があまりにも不安定で、暴力的なこと。非現実的な決断プロセスを持っていて、彼がアメリカの国家安全保障の利益とひどく調和しない核攻撃を命じるかもしれないということを懸念しています」。

 しかし、もし大統領が核兵器を発射するよう命令をしたら、たとえそれが先制攻撃でも、健全で合法的なら、誰も彼を止められません。議会ではありません。国防長官でもありません。制度上は、命令を実行する義務がある軍将校ではありません。

 当時の副大統領、ディック・チェイニー(Vice President Dick Cheney)が2008年12月に説明したように、大統領は「世界が見たこともない悲惨な攻撃といったものを始めることができます。彼は誰かに確かめる必要はありません。彼は議会を招集する必要はありません。彼は裁判官に確かめる必要はありません」。

 北朝鮮がより大きい、より差し迫った、可能に見えたよりも大きい核の脅威をもたらし、その後10年で世界は変わりました。

 アメリカ政界もまた変わり、彼自身の政党の中ですら、核兵器に関して権力を持ちすぎているかについて疑問視します。

 大統領の核戦争を起こす権力の一面は秘密で、そのために公の理解は不十分です。

 システムは議論ではなく素早い意思決定のために構築されます。

 それは迅速さがロシアのような核兵器で台頭の国との危機で不可欠としてみられるためです。

 北朝鮮と違い、ロシアはアメリカを数分間で破壊するに足りる核兵器を持ちます。

 ロシアの長距離ミサイルはアメリカに約30分間で届きます。

 アメリカにより近い沿岸から発射される潜水艦発射ミサイルは、その半分の時間で到着するかもしれません。

 2016年12月の議会調査局の核兵器専門家、エイミー・ウルフ(Amy Woolf)の報告によれば、アメリカの対応の時間の一部が行政的手順にとられるとすれば、大統領は情報を理解し、選択肢を検討し、決断を下すために10分間未満しかありません。

 核攻撃への報復や先制攻撃のどちらでも、核攻撃を決断する大統領はまず、国防長官、統合参謀本部議長、その他の顧問たちと緊急会議を開きます。

 米戦略司令部指揮官は現在、ジョン・ヘイトン空軍大将(Air Force Gen. John Hyten)は攻撃の選択肢を大統領に概説し、大統領は決断をくだします。

 大統領は決断を伝え、軍の側近が運ぶスーツケース、核のフットボール(the nuclear football)と呼ばれる装置を通じて、承認を送信します。

 装置は通信機と戦争計画が載っている本を備えています。

 大統領が攻撃を命令すると決めた彼ら、彼は国防総省の軍当局者に彼に特有のコードで彼自身を特定させるでしょう。

 これらのコードは常に大統領が持ち歩く「ビスケット(the biscuit)」として知られるカードに記録されます。

 彼はそれから発射命令を国防総省と戦略司令部へ送ります。

 元ミサイル発射士官のブレアは、大統領の命令を覆す方法はないと言いました。

 そして、一度発射したミサイルは呼び戻せません。


 トランプ大統領から連邦議員からも信用されておらず、そのためにこういう公聴会が開催されたのです。信用のさなではピカイチといえます。精神科医たちが人格障害を指摘するトランプですから、不安は当然です。

 こ記事にあるように、ロシアは核攻撃でアメリカを破壊できる点で、北朝鮮とは違います。北朝鮮は精々、アメリカの都市をいくつか破壊できるレベルまでにしかならないでしょう。

 ロシアと北朝鮮の違いを、トランプが区別できて、適切に対処できるかは分かりません。そういう不安が、この記事になったのです。

 日本の核ミサイルに対する対処には、トランプとは別の問題があります。

 第一は、かなりの人が核兵器には戦争を抑止する能力があると信じていることです。それも、自然の原理みたいに、常に作用するものだと信じている人がいます。

 日本と北朝鮮の間に核戦力による抑止が働くかは疑問です。十分間足らずで核ミサイルが到達することを考えたら、お互いに反撃が間に合うか分かりませんし、誤認やミス、あるいは故意による発射があった場合、攻撃を取りやめられる可能性はほとんどありません。

 ミサイル防衛を導入した石破茂氏はいまや、アメリカの核ミサイルを日本に配備すべきだと主張しています。この言葉は信用できません。

 ミサイル防衛の導入ついて、彼は著書『国防』の中で「(前略)私はMDを配備することは、最終的に核廃絶に繋がるものだと思っています」(114ページ)と書いています。

 この哲学は最近は変化しているようです。

 産経新聞によれば、石破氏は9月6日のテレビ朝日番組で、アメリカの核兵器を日本に持ち込むべきだとして、「持ち込ませないことと拡大抑止力の維持は本当に矛盾しないのか。そういう状況に日本はあるのではないか」と述べました。

 石破氏が言うようなミサイル防衛が核廃絶につながるという状況は起きていません。

 迎撃ミサイルで北朝鮮がビビらないのだから、核兵器を置けばビビるだろうとの主張ですが、核兵器を完成させて、アメリカと対峙したい北朝鮮に、この脅しが通じるとは考えにくいものがあります。万一、これでも北朝鮮が方針を変えないなら、次に打つ手はなくなります。

 やってみたらダメだったので、さらに付け足すという発想です。核問題をこういう発想で解決しようとすることには問題があります。先に書いたように、十分間でミサイルが着弾する環境では、何一つ間違いが許されません。日本と北朝鮮が核ミサイルを持てば、互いに砂上の楼閣に住んでいる恐怖。いつ創りあげた社会が破壊されるかを心配しながら生活することになります。

 核兵器の問題には容易な解決策はないと考えなければなりません。

 

 

 


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