また北朝鮮のミサイルを迎撃せず

2017.2.12


 今朝、北朝鮮が弾道ミサイルを発射しましたが、またしても常時破壊命令は実行されませんでした。

 報道や公式発表を見る限り、防衛省はミサイル発射を認識していなかったようです。

 聯合ニュース によれば、北朝鮮は同日午前7時55分ごろ、北西部の平安北道のバンヒョン飛行場(方峴・kmzファイルはこちら)付近から東方にミサイルを発射した。ミサイルは高度約550キロまで上昇後500キロ飛び、東海に落下しました。これは韓国軍の情報です。

 さらに、FNNによれば、海上保安庁は午前9時に航行情報を発令。ミサイルが着弾してから1時間後です。海上に浮遊するミサイル部品に注意する程度の降下しかなく、ミサイルの被害を防ぐためには遅すぎます。そうなったのは、防衛省が何の情報もくれなかったためでしょう。

 防衛省の発表は二つあり、以下のとおりです。

北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(第1報)

1.本日7時55分頃から、北朝鮮西岸より、弾道ミサイルが日本海に向けて発射された模様です。
2.これを受け、防衛大臣は「引き続き、情報収集・警戒監視に万全を期せ」との指示を出しました。その後、防衛大臣の下、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期しているところです。
3.防衛省・自衛隊としては、引き続き、大臣指示に基づき情報の収集・分析及び警戒監視に全力をあげるとともに、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとします。

北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(第2報)

1.北朝鮮は、本日7時55分頃、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様です。発射された弾道ミサイルは、約500㎞飛翔し、北朝鮮東岸から東に約350㎞の日本海上に落下したものと推定されます。詳細については現在分析中ですが、我が国及び地域の安全保障に対する明らかな挑発行為であり、断じて容認できません。
2.これを受け、防衛大臣は「引き続き、情報収集・警戒監視に万全を期せ」との指示を出しました。その後、防衛大臣の下、関係幹部会議を開催するなど、対応に万全を期しているところです。
3.防衛省・自衛隊としては、引き続き、大臣指示に基づき情報の収集・分析及び警戒監視に全力をあげるとともに、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとします。

 防衛省が自分で探知したとは思えない文面です。多分、報道を見て、発射を知ったのでしょう。文中には「日本に危険がなかったので迎撃しなかった」といった表現がありません。あとから打ち上げを知ったといわんばかりの内容です。

 方峴飛行場からミサイルが真東に500km飛んだ場合のイメージは下のようになります。

図は右クリックで拡大できます。

 まず疑問なのは、アメリカの早期警戒衛星から送られてくるはずの情報が今回も受け取れていないらしいことです。即時入電しないと間に合わないものが、必要な時に受け取れていないのです。

 早期警戒衛星の情報がもらえれば、それを元にイージス艦に探知を指示して、飛行予想コースをレーダーで探知することになります。しかし、その基盤となる早期警戒衛星の情報がもらえないのですから、イージス艦が日本海上にいたとしても、何もできなかったと考えられます。

 防衛省は北朝鮮の行為を「断じて容認できない」としていますが、日本国民はこういう防衛省の体たらくこそ容認すべきでないでしょう。

 北朝鮮はすでに気がついているでしょう。日本のミサイル防衛は「張り子の虎」だと。そんな判断を与えたのは、常時破壊命令を発令した防衛省です。迎撃すると言いながら、一度も迎撃していないのですから。ミサイル発射と迎撃せずが繰り返されるほどに、これは確信に変わっていくことになります。ここを防衛省はどう考えているのでしょうか。

 

 


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