マティス国防長官が同盟国との協議を優先
military.comによれば、ジム・マティス国防長官(Defense Secretary Jim Mattis)は木曜日、イスラム国に対する作戦を加速するために、米軍地上部隊をシリアとイラクに入れることを検討する前に、同盟国と相談したいといいました。
マティスは可能性を排除しませんでしたが、「私は最初に他の同盟国と相談したいのです。そして、我々はどこへ行こうとするのかを決めます」。
アメリカが通常戦力をシリアとイラクに入れるというドナルド・トランプ大統領(President Donald Trump)への勧告問題について、マティスは同盟国からの意見提供なしに、自分自身でこの時点で容易に答えることはないといいました。
中東の同盟国との相談は金曜日にドイツでの安全保障会議に引き続いて、今週末に始まりそうだと、マティスはブリュッセルのNATO司令部での記者会見でいいました。
「私はここから中東へ飛ぶつもりです」と彼はいいました。「状況の相互認識において我々が持っているものが分かれば、我々は前へ進みます」。
マティスは、最初にCNNが報じた、米国防総省がシリアに地上軍を送るために検討している可能性のあるオプションについて問われたのに答えていました。
このオプションは、トランプが1月27日に署名した大統領命令でマティスに30日以内に創案するよう指示したイスラム国を打倒する計画に含められるかも知れません。
トランプもシリアでイスラム国に対する米軍とロシア軍の協調した活動をする可能性を思索しましたが、マティスは木曜日に、共同の軍事行動が実行可能になる前に、ロシアが自身で第一に証明しなければならないと述べたと、ワシントンポスト紙は報じました。
マティスはブリュッセルのNATO司令部で主要国防大臣会議の後で、対イスラム国作戦の加速について話しました。
彼は共に移動した記者たちに「我々は現在、軍事レベルで共闘で活動する立場にありませんが、我々レの政治指導者は共通の基盤や先へ進む方法を見つけることに取り組もうとしており、だからロシアは、責任を果たせば、NATO軍とのちょっとしたパートナーシップへ戻れます」といいました。
記事の前半だけを紹介しました。
米軍の地上部隊投入があたかも既定路線であるかのように報じる国内報道を見て首を捻っていましたが、やはり、まだこの段階でした。まだ、何も決まっていないのです。
簡単にラッカ攻略に米軍を投入できないのは明白でした。なぜなら、まずはトルコの承認を取り付ける必要があるからです。ラッカに進撃するには、トルコのアクチャカレ付近に基地を設けて、そこに部隊を集結し、反政府軍と共に南下する必要があります。ヨルダンやイラクからでは遠すぎます。
重装備部隊を船で地中海を経由してトルコに陸揚げし、陸路をアクチャカレ付近まで移動する必要があります。これだけでも数ヶ月かかります。先に、反政府軍による落下攻撃が始まるかも知れません。
この臨時の基地への確実な補給が可能かも問題となります。トルコ国内ではテロ攻撃もあり、基地や輸送隊に対してイスラム国その他の勢力による攻撃が考えられます。
空軍による支援は、すでにインシルリク基地があるので問題はありません。
また、米軍がやらずに、トルコ軍にやってもらうという選択肢もあります。大軍がトルコにあり、参加する意志もあるのですから、彼らに頼むことも可能です。また、トルコが存在価値を示すために、米軍の参加を拒む可能性もあります。
さらに、クルド軍の一部はトルコにとってテロ組織であり、それらをアメリカが支援していることをトルコ政府は批判しています。だから、米軍がトルコにとってのテロ組織と共に軍事活動を行うことを嫌がる可能性があります。
つまり、トルコとの協議なしに、ラッカへの米軍参加は不可能なのです。国内報道はそこにある複雑な問題を飛ばして、米軍がラッカ攻撃に参加すると報じていますが、これは軍事的分析が欠けているのです。
従って、これから行われる協議如何で、米軍の参加は決まるということです。私は米地上軍が派遣される可能性は低いと考えています。そこまでしなくても、ラッカは占領できるでしょう。
ここへトランプ大統領の特異な性格も影響します。
いまの段階で地上部隊を投入すれば、ラッカ攻略後、安全地帯を防御する部隊として、現地に残る可能性が高まります。トルコ政府はラッカ攻略後に安全地帯を作りたいと述べています。また、ドナルド・トランプも同じことを言っています。トランプが「どうせ安全地帯を作るのだ。そのためにも米軍を投入しろ」と主張すると、話は一気にその方向で決まりそうです。
地上軍の投入は以前から言及されてきたことですが、それは最終段階であり得るかも知れないという程度でした。誰が言い出したのかは分かりませんが、イスラム国との戦いの仕上げとして米軍を参加させるべきだという主旨なのでしょうか?。それは早とちりな考え方としか思えません。イスラム国との戦いは形を変えて、今後も続きます。ここで米軍資産をシリアで浪費する必要はありません。最近、長年の戦いで米軍はガタガタです。むしろ、戦闘に使わずに、整備を優先すべきでしょう。
しかし、アメリカ大統領がトランプであることは、権力が大好きな彼にとって、「自分はオバマと違う」ということを示すための格好のチャンスです。彼は自らをブランド化して儲けてきた人物です。大軍を投入する誘惑に彼が勝つのは難しいでしょう。
しかし、大きな軍事作戦には失敗もつきものです。成功までの過程で起こる失敗にトランプのような性格の人物が耐えられるとは思えません。トランプはヘマをした部下の首を切るのが大好きです。トランプに軍事作戦を勧告して、何か問題が起きたら、誰かが詰め腹を切らされることになります。「寝た子は起こすな」のたとえどおり、トランプに下手な勧告をしない方が側近や軍人たちにとって得策といえます。
ちなみに、トランプの性格を知るには、この本が最適です。
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