クルド軍がデリゾール州へ侵攻

2017.2.23


 alarabiya.netによれば、アメリカが支援するシリア民主軍(The Syria Democratic Forces)は、イスラム国に対する攻勢の一環として、はじめてデリゾール州(Deir al-Zor)へ入ったと、クルド軍筋はいいました。

 大半が過激派の支配下にある州への前進は、シリア北部のラッカ(Raqqa)を包囲し、最終的に占領する作戦の一環です。

 作戦の一つの狙いは、ラッカ州からデリゾール州への補給路を切ることです。

 この動きはイスラム国に対するシリア民主軍のサクセス領域も拡大します。火曜日遅く、監視団体「the Syrian Observatory for Human Rights」は、アメリカが主導する同盟国の軍用機が活動するデリゾール州北部の街で、空襲により、少なくとも11人が死亡し、35人が負傷したといいました。どの空軍が空爆を行ったや、シリア民主軍の前進と関係があるかは不明だと団体はいいました。「シリア民主軍の軍事作戦は現在、デリゾール州の域内で北部、つまりハサカ州(Hasaka)の南部から行われています」とクルド軍筋はいいました。

 クルド人のYPG民兵とアラブ人戦闘グループを含むシリア民主軍は、州内への侵攻で、約15カ所の村を占領したと、同筋は時期を特定することなく付け加えました。

 イスラム国はシリア政府が支配するデリゾール市と軍用空港を別として、デリゾール州の大半を支配します。

 ロシアが支援するシリア軍とその同盟はデリゾール市へのイスラム国の攻撃を撃退し、さらに西方でこのグループと交戦します。

 一方、トルコが支援するシリア人反政府派は、大半がイスラム国支配下にあるアル・バブ(al-Bab)の支配を巡って戦っており、反政府派が前進しています。

 その戦いはトルコが支援する反政府派を、反政府派が街に入る前にもう一つの方向からそこに向かっていたシリア軍の間近へ持って行きました。

 アル・バブへのシリア軍の前進は、トルコとの対立を起こさせる恐れを引き起こしました。

 国連は火曜日、アル・バブ周辺に民間人5千人が閉じ込められ、12月以降に大半は空爆で非戦闘員300人が殺されたといいました。

 トルコとロシアはどちらも街周辺で空爆を行っていました。

 「作戦が進み、紛争各派は市街戦の準備をしているかもしれません。それはこの地域の民間人を人間の盾として使われやすくし、死傷する高い危険へと置きます」と国連人道調整機構は声明でいました。

 火曜日、デリゾール州のアル・サー(al-Sur)への空爆は、ガレージ、ガソリンスタンド、商業地域を攻撃したと監視団体はいいました。


 先に紹介したように、イスラム国の一部はすでにラッカを見限って移動しています。ラッカは一部の者たちが残って戦いますが、全滅は必至です。

 退却した者たちが向かったのがデリゾール州で、クルド軍はそこへ侵攻を開始しました。つまり、イスラム国が逃げたところへ先回りするのです。これは実に的確な作戦です。デリゾール州で残存部隊も駆逐されることになるでしょう。これでイスラム国は終わりです。名称の中に入れたシリアとイラクの両方から排除されることになります。

 これで彼らも学ぶかも知れません。兵力以上に占領地域を増やしても、兵力が集中できなくなるので、各地で負けることになると。イスラム国が最初から破綻した発想で創設されたこと明白になります。

 

 


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