空母カール・ビンソンが極東へ
military.comによれば、米海軍のカール・ビンソン空母打撃群(The Carl Vinson carrier strike group)が、ならず者国家の北朝鮮が東海岸から弾道ミサイルの試射を行った4日後、オーストラリアへの計画された寄港を中止して、西太平洋へ移動するよう命令を受けました。
当局者は米第三艦隊が土曜日の夜に、シンガポールへの4日間の寄港を終えたばかりの、サンディエゴを拠点とする打撃群が現在、北へ航行し、西太平洋で配置についたと報告するだろうと発表しました。
複数のメディアが艦船が朝鮮半島に配置されるだろうと報じました。
「米太平洋司令部はカール・ビンソン空母打撃群に西太平洋で即応と存在を維持するための堅実な処置として、北上するよう命じました」と太平洋司令部報道官、デイビッド・ベナム中佐(Cmdr. David Benham)は声明でいいました。
「第三艦隊は目的を持って前衛で活動します。西太平洋の米国の利益を保護すること。無謀で、無責任で、攪乱的なミサイル実験と核兵器能力の追求によりこの地域の最大の脅威は北朝鮮であり続けます」と彼は言いました。
第三艦隊の発表によれば、空母カール・ビンソン、アーレイ・バーク級誘導ミサイル駆逐艦ウェイン・E・マイヤー(Wayne E. Meyer)とマイケル・マーフィー(Michael Murphy)、タイコンデロガ級誘導ミサイル巡洋艦レイク・シャンプレイン(Lake Champlain)はすべて西太平洋へむけて命令を受けました。
打撃グループは1月に展開し、多くをこの地域の配備に、特に南シナ海でのパトロールと共に日本と韓国の軍隊との相互演習に費やしました。
最初の記事は前半を紹介しました。
後半には冒頭に要約があるように、カール・ビンソン空母打撃群の派遣は北朝鮮対策であることが詳述されています。その中身は最近行われた一連の弾道ミサイル発射です。
自民党の佐藤正久参議院議員は自らのフェイスブックに次のように書きました。
【カールビンソンなど米空母打撃群、朝鮮半島へ 。北朝鮮を牽制】
北朝鮮は米国のシリア攻撃に強く反発し、核実験を近々実施そうな勢いだ。これを受け、米国は空母打撃群を朝鮮半島に派遣した。当然、自衛隊はその背後で、警戒の任に当たっている。
日本国民が安寧に土日を楽しめるのはこのような米軍と自衛隊の動きがあっての賜物感謝!
北朝鮮はもともと核実験を行う準備をしており、シリアへの攻撃がその引き金を引いたのではありません。核兵器開発は長期にわたっており、目先の動きに左右されるものではありません。
おまけに最前線は米軍任せで、自衛隊はその背後にいるのだそうです。自分の国は自分で守るのではなく、アメリカに守ってもらうのだそうです。このような現状認識を恥じることのない元自衛官を、私は信じられません。
世界で起きた出来事を、適当に日本と関連づけ、日本が世界の中心にいるかのように偽ることは、そもそも、日本を守るための戦略構築を失敗する原因となります。
普通に考えたら、空母打撃群の配備は弾道ミサイル実験への牽制となります。
これを金正恩暗殺のための準備だとか、近々、アメリカが北朝鮮を攻撃するとかいった見方をする者が出てきています。
佐藤議員へのコメントの中にも、シリアみたいに北朝鮮も巡航ミサイルで攻撃できないのかと述べた愚か者がいました。
シリアは化学攻撃を民間人に対して行ったという容疑が理由です。北朝鮮に同種の理由がないのに、先制攻撃を行う正当性はありません。そもそも、先制攻撃の正当性自体が疑問視されています。
先制攻撃とは、実際に攻撃を受けていないのに、受ける恐れがあると判断された時点でも攻撃を開始することです。北朝鮮は弾道ミサイル実験は行っていますが、攻撃は行っていません。まだ、北朝鮮からアメリカ本土に届く弾道ミサイルはありません。在韓・在日米軍基地を攻撃する能力はありますが、まだそれに着手していません。その段階で攻撃すれば、批判されるのはアメリカです。
北朝鮮が弾道ミサイルに搭載できる核兵器を完成させたかは分かりませんが、通常兵器で攻撃することはできます。それが予見されるのに、巡航ミサイルによる攻撃を行えば、北朝鮮は当然、弾道ミサイルで反撃します。韓国や日本にある米軍基地は住宅地に近い場所にあり、民間人の犠牲が多数出るのは必至です。それが分かっているのに、可能性の段階だけで攻撃することは得策ではありません。
こんなことも分からない人たちが勝手なことを言い始めています。こういうのを「亡国の徒」というのです。
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