太陽節パレードが示す本当の危機の到来
ワシントンポスト紙が北朝鮮が太陽節に行った記念パレードに登場した弾道ミサイルについて、専門家の見解を書いています。機種別にコメントを要約しました。
専門家は「the James Martin Center for Nonproliferation Studies in California」の東アジアプログラムの責任者で、自称「軍縮の虫」のジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)です。記事は彼が映像を見ながらツィートしたのをまとめたようです。分かりやすいように写真と記事に番号をつけました。
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①パレードの最後に北朝鮮軍は巨大なミサイルのキャニスター(容器)を2セットを走らせました(上の写真)。形状は中国のDF-31(ICBM)に似ています。(下の写真)これらはミサイルを保持するキャニスターで、ミサイル自体ではなく、キャニスターの中に何があったかは誰にも分かりません。アメリカに到達する大陸間弾道弾かもしれず、まったくそうではないかも知れません。しかし、ICBMでないなら、ICBMへの架け橋かも知れません。率直な反応は「こいつは何だ?」です。KN-08が中にあるかもしれず、新型ミサイルがあるのかもしれず、何もないかも知れません。それは謎です。キャニスターは北朝鮮がHwasong-13と呼ぶ三段式ミサイルKN-08に適切な大きさに見えます。理論上の射程は7,500マイルで、北朝鮮からアメリカに到達できます。 |
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②二番目の巨大なキャニスター(上の写真)はロシアの大陸間弾道弾トポルM(Topol-M・下の写真)に似ているようです。中に何があるかも謎です。私の推測はこれがさらに到来するICBM、固体燃料ミサイルを運ぶことを意図した物だということです、 |
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③ 北朝鮮軍は潜水艦から発射できる弾道ミサイル6基を展示しました。アメリカはKN-11と呼びますが、北朝鮮は北極星1号と呼びます。 |
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④ アナリストたちはこれらのミサイル6基を見て驚きました。「本物のミサイルに見えます」とルイスは言いました。「彼らは完璧なコピーを製造してあらゆるトラブルへと進めます。 |
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⑤白色と黒色のミサイルは大陸間弾道弾KN-08に見えますが、少し小さいとルイスは言いました。通常は中距離ミサイルに用いられる車両の上で公開されました。韓国の聯合ニュースは1月に、北朝鮮が恐らく50フィート長未満のICBMを二つ建造したと報じました。それは60〜65フィート長の既知のICBMよりも短くしたものです。「私はこれはそれだと思います」とルイスは言いました。 |
一番気になるのは④のミサイルです。これもキャニスターに入っているので、ミサイル本体は見えません。
以前には張りぼてらしいミサイルが展示されたことがあります。それは旧ソ連もやり、西側情報機関を驚愕させたものです。核戦略では、敵に偽情報を渡すのは常識で、偽の核爆発から偽のミサイルまで、あらゆることが試されました。北朝鮮も、それを真似ていることは当然です。
しかし、そういう時代は去ったように思われます。
①②④のミサイルは中身が空っぽの可能性はあります。①は特に長すぎて、本物とは考えにくい面もあります。しかし、④についてルイス氏が本物と思うと述べているのが気になります。この形のミサイルはまったく知られていませんでした。このようにミサイルの種類を増やしているのは、北朝鮮の開発のペースが早まっていることを示します。
張りぼてとしても、北朝鮮はそうして展示したミサイルを最終的には開発してきました。北朝鮮では店に高級品が少ないので、展示するだけの高級品を並べます。見せることで、お客の購買欲を満足させるのです。それと同じで、ミサイルも前倒しで開発中のものを見せることがあります。だから、「張りぼて」だからと笑って済ませることはできません。
特に、日本人はテポドン1号の頃からの対応について、反省すべき時期に来ています。いや、そういうよりは時期をとうに過ぎているといえるでしょう。テポドン2号の際には、朝から大騒ぎで、いつ上空を通過するのかとハラハラしていました。テポドン2号は射程が長すぎて、日本には落ちないというのにです。
公共のNBC兵器対応シェルターは一つもありません。学校の校庭、医療施設の駐車場の地下などにはシェルターを設けるべきです。そこの運営方法も考えておくべきです。放射線を受けた人たちの治療方法や応急処置もできるだけ多くの人が対応できる必要があります。なのに、そんな動きは政界にはありません。迎撃ミサイルの導入だけで満足している有様です。
さらには、新兵器の導入を促すために、安倍晋三首相は「サリン攻撃の可能性がある」と国会で述べ、国民の不安を煽りました。そのくせ、自分は当日は花見の会に参加しました。危機なんかないことを、首相は知っていたのです。それを国民には知らせず、不安を煽ったのです。自衛隊も警戒態勢にはなく、週末の外出に出かけたり、予定されていた行事を行っていました。
そもそも、サリンを弾道ミサイルで散布できるかが疑問です。高速で飛来する弾頭からサリンを放出した途端、摩擦熱でサリンが蒸発する可能性がありますし、高い高度で散布すれば拡散しすぎます。最も適した散布方法は航空機から投下する方法です。
日本に健全な防衛態勢はありません。新兵器を買うために政府が不安を煽り、国民がそれに乗ってしまうことが繰り返されているだけです。国民のための丁寧な防衛態勢は作られた試しがありません。
このようなことをしていれば、イソップ童話の嘘つき少年のように、本当の危機が来た時に誰も信じないという状況になりかねません。いまや、日本人にとって、本当に危険な時期が来たといえます。近隣に日本を直接攻撃できる能力を持った国があり、日本政府には民間防衛態勢を構築する意志がまったくないのです。迎撃ミサイルだけでは撃ちもらしの危険が常にあります。着弾した弾道による被害を防ぐための方策が必要なのです。
日本国民自身が政府に民間防衛態勢の構築を求めていく必要があります。本物の危機は日本国内にあるのです。
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