北朝鮮がさらに火星14号の試験を実施

2017.7.31


 military.comによれば、北朝鮮の指導者、金正恩は土曜日、アメリカ本土を攻撃できる大陸間弾道ミサイルの二回目の飛行試験を行ったと言いました。

 朝鮮中央通信は金正恩が火星14号ミサイルが最大高度2,314マイル(3723.9km)に到達し、日本沖合に正確に着水する前に620マイル(977.7km)移動したことに「深い満足」を表明したと言いました。

 朝鮮中央通信は、試験が大型で、重い核弾頭を運搬できるといわれるミサイルの最大射程とその他の技術面を確認することを目的としたと言いました。

 アナリストは北朝鮮の7月4日の最初のICBMはアラスカに届くと見積もりましたが、最新のミサイルは射程を少し広げたようだと言いました。

 発表の直後、米軍と韓国軍は実弾演習を行いました。韓国の宋永武国防長官(Defense Minister Song Young-moo)は、戦略的な米軍資産の派遣を要請しました。通常、これはステルス爆撃機と航空母艦、追加の最新型米製対ミサイルシステムのランチャーを意味します。

 日本政府の菅義偉官房長官(Yoshihide Suga)は、金曜日の夜に発射されたミサイルは約45分間、最初のよりも約5分間長く飛んだと言いました。

 ミサイルは移動する距離を制限する非常に高い弾道で発射され、北海道の西に着弾しました。

 朝鮮中央通信は金正恩が、発射がICBMシステムの信頼性と、いま射程に収める米本土全体で、無作為の地域と場所に無作為の時に攻撃する能力を再確認したというのを引用しました。

 通信社は試験が、適切な弾道分離と移動と大気圏再突入後の起爆のようなミサイルの重要な性能を確認したと言いました。

 金正恩は打ち上げが深刻な警告を、戦争とより強力な制裁で恫喝して「無意味なトランペットを吹いている」アメリカに送ると言いました。

 北朝鮮の飛行データは、アメリカ、韓国、日本による評価と類似していました。

 科学者で懸念する科学者同盟(the Union of Concerned Scientists)で世界的安全保障プログラムの共同指導者、デヴィッド・ライト(David Wright)は、ミサイルの最大高度と飛行時間の報告が正確なら、少なくとも6,500マイル(10,460km)の理論的な射程を持つと言いました。

 それは、実際の攻撃でそうしたミサイルで運ばれる弾道の大きさと重量のような変数に応じて、ロスアンゼルス、デンバー、シカゴに届くかもしれないことを意味します。


 記事の後半は政治家などのコメントなので省略しました。

 NHK室蘭放送局の屋上カメラが、午前0時28分26秒頃、落下する火星14号の弾頭らしいものを撮影していました。下の写真の赤丸が室蘭放送局です。

図は右クリックで拡大できます。

 室蘭放送局は5階建てで、屋上にカメラらしいものが設置されています(赤丸の部分)。

図は右クリックで拡大できます。

 映像を元にGoogle Earthで判断すると、弾頭は白い矢印の付近に落下しているようにみえます。カメラの方向は313度、弾頭が落下した方向は298度と考えられます。

図は右クリックで拡大できます。

 その方向に線を引くと、こういう形になりました。奥尻島から積丹半島の中間地点に落下したことがわかります。NHKによれば、北の方角を向いていた奥尻島に設置されたカメラが午前0時28分ごろに西側の上空が一瞬、明るくなったのが確認できるとのことです。

図は右クリックで拡大できます。

 日本を狙ったものではないとはいえ、これくらい近いと、泊原子力発電所など、重要施設に近く、危機を感じない訳にはいきません。

 北朝鮮の発表で気になるのは「大気圏再突入後の起爆」に成功したと述べている点です。NHKの映像には燃えながら落ちてくる弾頭が写っていて、起爆したようには見えません。もっとも、実際に何かを爆発させなくても、弾頭と電波で交信できてれば、指令は送れることになります。

 気になるのは弾頭が燃え尽きるのが見えるように思えるところです。以前に、かなり低い高度で隕石が燃え尽きるのを見ました。光りながら落ちてきて、一瞬で見えなくなりました。それに似ている感じがしました。山の向こうに落ちて見えなくなった可能性もありますが、弾頭から何かが外れて行くのも見えるように感じられるのです。本当に弾頭が最後まで核爆弾を守れるかどうかは疑問です。

 もっとも、今回はロフテッド軌道なので、再突入のテストはやる意味がなく、ダミーの弾頭を使ったかもしれません。北朝鮮が実験結果を大きく宣伝するのはいつものことです。

 

 


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